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index:バンドリ! 報告

二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1753019794596.png-(672924 B)
672924 B25/07/20(日)22:56:34No.1335262207そうだねx11 00:28頃消えます
※前半のともさきは一度ここに投げたので読み飛ばしてもらっても構いません。

🐧
「…ふふっ。燈の部屋は面白いですわね」
私の部屋を訪れた祥子ちゃんが、そう言って小さく笑った。
部屋をキョロキョロと見回して、何かを見つけてはクスリと笑う。
やっぱり、おかしなものばかりなのかな。
気になったもの。目を引かれたもの。見つけたもの。
集めて、整理して、揃えて、その繰り返し。
そうしていつの間にか出来上がった部屋は、私だけしか好きなものばかり積み上がって。
この部屋はみんなが好きなものは全然無くて、だから祥子ちゃんに呆れられてしまうんじゃと怖かった。
「燈、これは何ですの?」
「ぉ…えと…それは…」
祥子ちゃん、どう思ってるんだろう。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/07/20(日)22:56:49No.1335262274+
怖くて、確かめることなんてできない。
私が好きで嬉しいものが、嫌なものだったりするから。
「燈? どうかしまして?」
いつの間にか、祥子ちゃんが不思議そうに私を見つめていた。
何か喋らないといけないのに、私は何を言えばいいのか分からなくて、ただ、俯いてしまう。
怖いと思った。どうしようもなく。
「…わ、私…集めるのが……それしか出来なくて…」
それしか出来なくて。それすら普通じゃなくて。
クラスで流行ってたキーホルダーを買ってもらっても、全然分からなくて。
普通は石とか、葉っぱとか、そういうものは集めたりしない。
一つ買ったら良くて、全部、たくさん揃えたいとは思わない。
「燈。燈にとって、この部屋にあるものは見たくないものなの?」
「え…?」
だから、祥子ちゃんのその言葉にどきりとして。一瞬呼吸を忘れるほど、身体が固まったような気がした。
225/07/20(日)22:57:01No.1335262344+
祥子ちゃんは部屋にあるものをぐるりと見回して、私に問いかける。
「これも、あれも、嫌いなものでして?」
「う、ううん。違う…!」
祥子ちゃんの声は、本当にそう思っているのかと諭すようで。
だからそうじゃないって、ちゃんと言わなきゃいけないと思った。
私が探して、私が選んだものだから。
「…燈」
祥子ちゃんは私の手をそっと包むように握った。
優しくて、温かくて、急にホッとして、涙が出そうになる。
「差し出がましいことして、ごめんなさい。私にもちゃんと、燈の大切なものだと伝わってますわ」
「伝わる…?」
「ええ。もちろんですわ」
どうしてだろう。
私はなにも言ってないのに。何一つ、祥子ちゃんには伝えられてないのに。
雑多で、違うものばかりで。そればかりなのに。
325/07/20(日)22:57:15No.1335262424+
「ふふっ。どうして、って顔してますわね」
「あ…」
「見れば分かりますわ。この部屋は、燈そのものですもの」
祥子ちゃんは私から手を離して、にこりと笑いかけてくれた。
「わ、私、そのもの…?」
「ええ。だからとても素敵な部屋なのですわ」
そんな言葉を貰ったのは初めてで、私はどうしてか胸が高鳴るような気がした。
その高鳴りは私の内側をじわじわと温かな気持ちで満たしてくれるようで。
「ありがとう、祥子ちゃん…」
気づけば思いは言葉になって、祥子ちゃんへただ伝えていた。
私の部屋は、私の好きなものばかりで、それでいいんだって思えて。
「こちらこそ、そんな大切な場所に迎え入れてくれてありがとうですわ」
425/07/20(日)22:57:29No.1335262495+
祥子ちゃんが微笑む。
きらきら、お日様みたいな笑顔。
温かい気持ちをくれて、私が見えてないところも照らしてくれる。
祥子ちゃんとなら、私もみんなみたいになれるのかな。
窓から差し込んだ陽の光が、とても心地よかった。
525/07/20(日)22:57:39No.1335262564+
🐧
「ともりん、今日は天文部の日誌?」
「う、うん…」
部室で机に向かっていた私の手元を覗き込んで、あのちゃんがふうんと頷く。
それから何かに気付いたように笑みを浮かべた。
「あ、今日が七夕だから?」
「え…?」
「あれ? 違うの?」
ただ部の活動報告を書いていて、七夕のことは頭の中になかった。
いつものようにプラネタリウムやベランダから見る星空のことを書いているだけのもの。
「そっか〜…なにかあるわけじゃないんだ」
「…うん。七夕は、季節の行事?で…」
天の川を挟んだベガとアルタイルに物語を見出したものであって、天体としてなにかあるわけではない。
だから、あのちゃんに言われるまで結びつけて考えてもいなかった。
625/07/20(日)22:57:51No.1335262637+
「あっでも、色んなところで…天体観測とかイベントとか、やってるよ…!」
「へ〜。ともりんはしないの?」
「考えたこと無かった…」
笹に短冊を飾るくらいしか、馴染みがない。
東京の夜空じゃ、肝心の天の川は見ることができないから。
あのちゃんもそのことに気付いたのか、うんうんと頷いている。
「あ~そっか、そもそも都内じゃ星とかあんまり見れないもんね」
「えと…確かに見えにくいけど…ちゃんと、星は見れる」
「えっそうなの!? じゃあ織姫と彦星の星も見れちゃう感じ?」
「あ…う、うん。えと…ベガとアルタイル。見れるよ」
天の川を隔てて輝く2つの星。
夏の大三角形も構成する2つの星は、東京の夜空でも見ることができる。
あのちゃんが興味を持ってくれたのが嬉しくて、私も天体観測をしたくなってきた。
「へ~! 全然知らなかったな~」
725/07/20(日)22:58:11No.1335262781+
「あっ…ベガとアルタイル、それとデネブは北極星と同じ1等星の恒星だから、都会でも見れて…
それにその3つは夏の大三角形って言って、明るくて見えないけど夕方には空にあって…」
「あはは、ともりん本当に好きなんだね~」
「う、うん…!」
コクコク頷くと、あのちゃんはくすくすと笑う。
なにがおかしいのか私には分からないけど、居心地の悪さは全然感じなかった。あのちゃんの笑う顔を見てると、ホッとする気がする。
「なんだか私も星が見たくなってきたかも~」
だから、そんなあのちゃんが星に興味を持ってくれて、もっと嬉しくなった。
「あ…家に望遠鏡、あるよ…! あのちゃんも星…見れる」
あのちゃんには、折角だから都会の夜空に薄く瞬く星を見てほしい。
プラネタリウムの方が星空を楽しめるはずなのに、なぜかそう思った。
「え、え~? 私、星のこと全然分かんないよ?」
「お…教える、から…!」
「う~ん…ま、たまには良いか」
あのちゃんと、私の家のベランダで天体観測をすることになった。
825/07/20(日)22:58:32No.1335262898+
🐧
「あ~なんか光ってる!」
「うん…それがアルタイル…えと、彦星」
「へ~…星って感じ!」
望遠鏡を覗きこみながら、あのちゃんが声を上げた。
自室のベランダで、あのちゃんと2人並んで星を見ているのが少しくすぐったく感じる。
暑かった昼間は夜になると少しだけ過ごしやすい気温になった。
…春先はまだ少し肌寒くて、制服の上着を着て見ていたのを思い出す。
「本当に東京でもちゃんと見れるんだね」
「う、うん。もちろん暗いとこのほうが良いけど…あ、それに望遠鏡がなくても、見れる星もあって…」
「北極星とか?」
「あと、オリオン座も」
「あ~なんか3つ並んでるやつ!」
ベガとアルタイルを早々に見てしまったから当初の目的も終わって、とりとめなくただ空を見る。
街の灯りに照らされた夜空は薄い紫色をしていて、星もまばらで寂しい。
925/07/20(日)22:58:48No.1335262983+
私にとっては見慣れた、そんな夜空で星を見つけるのが楽しくて。
あのちゃんにもっと見てほしくて望遠鏡を覗き込んでいると、あのちゃんがくすりと笑う声が聞こえた。
「ともりんってほんとに色々集めてるよね」
夜空からあのちゃんへ視線を移すと、あのちゃんは私の部屋の中を見つめていた。
星が少しでも見やすくなるよう部屋の明かりは落としてあるのに、どうして楽しそうに見てるんだろう。
「それに集めたものもちゃんと大切にしまってあってさ」
「あ…そ、そうかな…」
「うん。ともりんは全部、覚えていられるように整理してるんだろうな〜って」
そんな風に考えたこともなかった。
集めたもの、手放すことが出来なくて、でもこうして綺麗に整理するのも好きで。
私の好きなものが詰め込まれた、私みたいな部屋。
あのちゃんも気に入るものがあるのかな。
「え…えと、なにか…気になるもの、ある?」
「ん~…そうだね、いっぱいあって面白そうかも!」
「ぉ、面白い…」
1025/07/20(日)22:59:04No.1335263065+
「うん。ともりんの好きなものばっかりじゃん? ともりんの宝箱みたいだな~って」
笑いかけてくれるあのちゃん。
あのちゃんのその言葉に、私はどきりとした。
いつかの、春の日。
私の部屋を見て、同じ様に笑顔を向けてくれた、とても大切な人。
私らしい部屋だって褒めてくれた、祥ちゃんを思い出して……
1125/07/20(日)22:59:16No.1335263127+
🐧
私なりにともりんの部屋を褒めたつもりだったのに、ともりんが俯いてしまった。
しゅん、って感じで見るからに落ち込んでる。
なんかやらかしちゃった、かも。
確かに、ちょっと私には分からないものも多いけど…ともりんの部屋を見ていいなって思えたのは事実だから。
全然星とか分かんない私を天体観測に誘ってくれたともりんに、こんな顔してほしくない。
「ともりん、カラオケ行く?」
「……え」
驚いたように顔を上げたともりんに、私はまた笑いかけた。
懐かしいってほどじゃない、ともりんをちょっと強引にカラオケへ連れて行った思い出。
「暗い顔してるんだもん。そういう時は遊びに行かなきゃ」
私がなにも知らないままバンドに誘って、ともりんが暗い顔してたのが嫌で。
そうしてともりんの手を引っ張ったが全部の始まりだったような気がする、大切な思い出。
「い、今から…?」
1225/07/20(日)22:59:31No.1335263199+
「…な~んて冗談!」
「え…!?」
「今日は天体観測じゃん。ともりん主催の!」
「あ…う、うん」
こくりと頷くともりん。目を白黒させて、ちょっとは気が紛れたかな。
私が変なこと言ったわけじゃなさそうで安心もして。
ともりんは夜空を眺めた。
やっぱり都会だから肉眼じゃあんまり星は見えなくて。
けどともりんは星が見えてるみたいに、じっと見つめる。
「祥ちゃんと…星を見たのを思い出して…」
「…へー、祥子ちゃんと?」
ちょっと予想外の名前にびっくりして言葉に詰まる。
二人で星を見たりしたこともあったんだ。
CRYCHICの話はともりんもりっきーもそよりんもあんまり話したがらないから、知らないことばかり。
ちょっとだけ寂しい気持ちもあるけど、それは表に出したくないから気にしてない風な顔をする。
1325/07/20(日)22:59:45No.1335263276+
「えと…星を見る前…部屋に来た時のことで…」
「ふうん?」
「私の部屋が、私そのもので…素敵だって、言ってくれて…あのちゃんみたいに」
「あー…」
私の言葉で、そのことを思い出してしまったらしい。
ともりんが思い詰めていたのが私のせいじゃなくて少し安心した。
けど同時に、冗談にせず本当にカラオケに行ったほうが良い気がしてくる。
「祥ちゃんは笑いかけてくれてたのに…今は…詩を受け取ってくれなくて…」
MyGO!!!!!が形になった後、ともりんが差し出したノートを祥子ちゃんは読むこと無く突き放した。
何に怒ってるのか分からないけど、私の横を通り過ぎていった祥子ちゃんはピリピリしてて。
とてもじゃないけどともりんの言葉を読んでくれそうな雰囲気じゃなかったのを思い出す。
「あんなに楽しかったのに…もうなにを話せば良いのかも、分からなくて…」
泣きそうな声で、ともりんは分からない、と零す。
「祥ちゃん」なんて呼んでるし、きっと二人には、CRYCHICにはいろんなことがあって。
きっととても楽しかったんだと思う。そよりんが私や楽奈ちゃんを利用してまで戻りたいと思うくらい。
1425/07/20(日)23:00:00No.1335263360+
「すぐ近くにいるのに、すごく、遠く感じて…そう思う自分が、すごく…」
「ともりん」
その先の言葉を聞きたくなかった。
割り込んで、けど何も考えてなかったから慌てて話を合わせる。
「あ~ええと、隣のクラスってさ、自分から会いに行かないとめっちゃ遠くに感じるよね」
「え…あのちゃんも?」
「そうだよ~中学の時とか学年上がって友達とクラス違っちゃったらさ、なんか急に接点なくなるんだよね」
私はちょっとだけ情けない、取り繕ったように笑った。
ともりんが絆創膏を貼ってくれた、その下にある傷口はまだ治りそうもないから。
「別に喧嘩したとかじゃなくて、違うクラスでお互い新しい友達ができたりしてさ。
だから最初はメッセージ送ったり遊びに行ったりするんだけど、よっぽど仲良くないとお互いなんとなく離れていっちゃうんだよね」
いまだって私は、中学の友達とは会えないし連絡も取れない。
多分、顔も見れないままだと思う。
学校も違うから、前みたいにばったり遭遇でもしない限り、今後も接点なんて無い。
1525/07/20(日)23:00:15No.1335263423+
「でもさ。会えないわけじゃないよ」
「え…?」
「祥子ちゃんとは、会えないわけじゃない」
私の話を聞いて俯いていたともりんが、また顔を上げて私を見た。
その瞳にはそよりんも私も離さないって叫んだときのような真っ直ぐさは無くて、ただ迷うように揺れて見えた。
「圏外で話せないくらい遠い場所じゃなくて、すぐ近くでさ。
隣の教室に行って祥子ちゃん居ますか?って声かければすぐ話せちゃうじゃん」
「でも…」
そうして音楽室へ会いに行って、駄目だった。
ともりんが言いたいこと、そんなこと分かってる。
「まあ今すぐってのは無理かもしんないけど。けど一生このままってのも絶対違うと思わない?」
でも、だから諦めようなんて、私は絶対に言わない。
ともりんは私がギターできなくてわーってなったときに出来ないとは言わなかった。
一緒に頑張ろうって手を握ってくれた。
だから私も、ともりんが祥子ちゃんと仲直り出来ないなんて絶対に言わない。
1625/07/20(日)23:00:28No.1335263510+
ともりんなら…きっと多分、なんとかなる。
「いつか、また話せる日が来るよ」
「いつか…」
「そう! 織姫と彦星みたいに、一年に一回しか会えないわけじゃないし」
「あ…」
ともりんの瞳が見開かれて、溢れるみたいに涙が一粒ポロリと落ちた。
こういう湿っぽい空気にしたかったわけじゃないんだけどな~と思いながら、私はハンカチでそっとともりんの目元を拭う。
「ありがとう…あのちゃん…」
「どういたしまして~」
ともりんが小さく笑ってくれたから、私も笑った。
ともりんはまた、夜空を見た。
その瞳が見つめる先に、織姫と彦星──ベガとアルタイルがあるような気がした。
私達はそうやってしばらく、星の見えない夜空を静かに眺めていた。
1725/07/20(日)23:00:41No.1335263575そうだねx2
Ave Mujicaという仮面を被ったバンドがデビューしたのは、それからすぐのことだった。
1825/07/20(日)23:09:15No.1335266421+
良いともあのだ…
1925/07/20(日)23:13:12No.1335267790+
本編の裏でありそうなしっとりともあの
2025/07/20(日)23:27:41No.1335272785そうだねx1
Ave Mujicaのデビューライブは7/25
2125/07/20(日)23:32:47No.1335274501+
すぐ星見るの飽きちゃうあのちゃん…
2225/07/20(日)23:33:49No.1335274851+
すごくいい…
2325/07/20(日)23:34:08No.1335274954+
光の祥子が光すぎてつらい…
2425/07/20(日)23:35:51No.1335275526+
さすがあのちゃん
2525/07/20(日)23:41:13No.1335277354そうだねx1
>「へ~…星って感じ!」
このペラペラな感想好き
2625/07/20(日)23:47:42No.1335279585そうだねx3
祥子と違って言語化というかアウトプットされる形は軽いだけどそれでもちゃんと伝わってるのがいいよね…
2725/07/20(日)23:48:09No.1335279754+
とてもいいあのともでした…
2825/07/20(日)23:48:24No.1335279841+
軽いけど的確に燈ちゃんにぶっ刺さる言葉を言えるのが愛音ちゃんだからな…
2925/07/20(日)23:49:39No.1335280253そうだねx3
>とてもいいあのともでした…
ともあの😠
3025/07/20(日)23:49:58No.1335280352そうだねx3
mygo序盤の愛音と祥子の中学時代の旧友に合わせる顔がなくて会えないのが共通点っていうのは盲点ですごい良い着眼点だなって
3125/07/21(月)00:01:21No.1335284063+
作中でも愛音ちゃんは祥子の気持ちがわかるって言ってるからな…
3225/07/21(月)00:02:34No.1335284448+
あのさきキテる…?
3325/07/21(月)00:05:37No.1335285410+
あのさき好きだけど燈を含む多くの人が🤯ってなるから困る...
3425/07/21(月)00:15:08No.1335288385+
ポテンシャルはあったけど物語上あまり強く関わらないようにされてる気がするあのさき
3525/07/21(月)00:16:02No.1335288640+
ストーリー的に燈抜きで絡む意味ないし…


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