酒と煙草とハンドガン 作:にわかセソセイ
コロッたので投稿です。
「いやぁ災難だったねぇ、嬢ちゃん」
俺とツートンJKは、薄汚い建物が建ち並んでいた地域から離れた公園にいた。
「あ、ありがとう……ございました?」
「クハッ、敬語なんざ別にいいよ。おじさん敬われるような人間じゃないし」
「そう……じゃあ、助けてくれてありがとう」
「どういたしましてー。あ、なんか飲む?おじさんが奢ってちゃる」
「いやいいよ、そこまでしてもらうのも悪いし」
「いーのいーの。若い子がそんな気にすんな」
絡んできたスケバンたちからもらった金だし。
それにしても驚いた。現代日本と全く違う、見たことない通貨なのにも関わらず、単位が「円」だった。なんつーか日本に都合のいい世界だな。
現実で今どき酒売ってる自販機は少ないが、コッチの世界でもそれは同じようだ。残念。
俺はコーラを、ツートンJKは水をそれぞれ自販機で選んでベンチに腰掛ける。
数秒の間、沈黙が場を支配する。
「……聞かないの?」
「んー?」
「いや、なんで襲われてたのとか」
「聞いていい話?それ」
「……あまり話したらいけないことかも」
「じゃあ聞かない」
ぶっちゃけこのJKがなんで襲われてたとかなんも興味がない。
この世界の常識やらの生きていく上で必要な情報さえ知れりゃいい。
「そっか。じゃあこれは独り言だけど───」
そう言ってJKは自身の経歴やら今日の動向を語った。
『万魔殿』、『キングスカンパニー』、『雷帝』などよく分からん固有名詞が多かったが、大体の事情は分かった。
気になったのは学園が統治をしていることについて。
なんで大人の存在がある世界で学校通ってるガキが政治してんだよ。
んなこと考えてもしゃーないか。
「───それで貴方に助けられたってワケ」
「……」
「正直、怖かった、もう無理だと思った。だから……わた…し…は……グスッ」
そして独り言をしていたJKは、安心感が湧いてきたのか知らんが俯いて泣きだした。
俺は黙って、JKの頭を強めに撫でた。
「……度々ご迷惑をおかけしました」
ツートンJKは顔を少し赤らめながら頭を下げた。
「まぁそんな時もあるさな。泣きたいときは素直に泣いとけよ女子高生。これ、おじさんからのワンポイントアドバイス」
大人になるほど涙腺は緩めど泣けるタイミングは減るからな。
「えっと……チェレンさん?」
「ん?あーそれ偽名。さっき適当に思いついたの名乗っただけ」
「え」
あんな奴らに名前知られたら煩わしいだろうしな。
煙草に火をつけ、挑発的に笑う。
「俺の本名知りたいかい?嬢ちゃん」
「はい」
真顔で即答かよ。まぁいいけどさ。
「俺の名前は”デュー・グラム”。デューでもグラムでもおじさんでも好きに呼びな。あ、さん付けは無しな」
「じゃあ、デューって呼ばせてもらうね」
「……おっけー」
久しぶりに本名を名乗ったし、本名で呼ばれたな。うーん感慨深いね。
「そんで?なんか言いかけたろ嬢ちゃん」
「……その嬢ちゃんって止めて」
「えー俺のキャラがブレるなぁ。はいワットユアネーム」
「何そのこだわり……私は”鬼方カヨコ”。呼び方は何でもいい」
「じゃあ鬼方の嬢ちゃん」
「やっぱカヨコって呼んで」
「カヨコちゃん」
「まぁいいや。それでなんだけど、なんで助けてくれたの?助けてもらった身で言うのもなんだけど、あそこでデューが私を助けるメリットがない」
ちょーっとこの子のこと舐めてたなぁ。
年頃のJKなんざ、俺みたいな歳上のイケメンに助けてもらったら、善意以外の理由があるなんて疑わんのに。流石、情報部。
「これオフレコでお願いしたいんだけど、俺って実は別の世界から来てんだよねぇ」
「知ってる。ヘイローないし、今までデューみたいな人の情報を聞いたことがないから、キヴォトスの外から来た大人だと思ってた」
「へいろー、きう゛ぉとす」
「そこから?キヴォトスはこの世界のこと。ヘイローは私たちの頭の上にあるこれ」
そう言ってカヨコちゃんは自身の頭上の輪を指さした。
なるほどなぁ。俺のいた世界でキヴォトスなんざ聞いたことないんだよなぁ。
理由は知らんが、キヴォトスのない世界からある世界に転移しちまったってことか?
そんで俺を見れば一撃で外の人間だと分かるとか、オフレコの意味ねー。
「ま、知ってるなら話は早いな。助けた代わりにこのキヴォトスでの常識、作法、裏知識、カヨコちゃんが教えられる限りの情報、全部教えて♡」
ここで両手を顎にあて、渾身のぶりっ子ポーズ!!
イケメンの俺様がやることで女には必ず刺さる!!
カヨコちゃんは冷たい視線でこちらを見ている!!
失敗!!
カヨコちゃんはため息をついた。
「で、それだけでいいの?」
「それだけと言われましてもねぇ。いきなりここに飛ばされて右も左も分からんしなぁ」
「……デューあんた、自分でキヴォトスに来たわけじゃないの?」
「いぇーす。おかげで酒も煙草もなんもない」
「いや家やお金を心配しようよ、そこは」
「家はそこら辺で野宿か廃墟に居座ればいいし、金はそこら辺のチンピラから巻き上げりゃいいからなぁ」
「デューってもしかしてヤバい人?」
今さらだねぇ。情報部所属として、もう少し観察眼を磨きましょう。
「……お酒や煙草は売ってる場所は知らない。けどさっき私たちがいたブラックマーケットになら、売ってる店もあるかもしれない」
「まじで?かもしれないってレベルで酒煙草ないの?」
「キヴォトスは学生が統治しているから。そもそもの需要がないんだよ」
「それだよ。ちょっとそれ気になってたんだよねぇ。大人は統治しないのか?」
「ここでは大人の統治はないよ」
「あの機械人間や二足歩行の哺乳類は?」
「言い方はアレだけど、あれがキヴォトスでの大人。正直、デューみたいな純人間の大人を見たのは初めてだよ」
混乱してきたな。
風俗とかどうなってんだ?機械姦も獣姦も興味ねぇぞ俺。
流石に現役JKにこんなこと聞かないが。
カヨコちゃんは少し微笑み、こちらを覗き込むようにして、
「ま、時間が許す限り教えてあげるよ」
「それはおじさん、助かるなぁ」
カヨコちゃんは、日が落ちるまでこの世界の様々なことを教えてくれた。
日が完全に落ち、辺りはかなり暗くなった。
真後ろにある街灯が俺たちだけを照らしている。
さっき買った飲み物は、もう空だ。
「今日は色々助かった、ありがとうな」
「それは私のセリフ。改めて助けてくれてありがとう」
「良いってことよ。おじさん、こう見えてかなり強いから」
「そっか……デューはこれからどうするの?」
「ま、適当にキヴォトスの夜を楽しむとするよ」
酒と煙草の売ってる場所と俺の癖に合う風俗を探しがてらな。
俺の今後の動向を聞いたカヨコちゃんは、少し下を向いて思案したあと、躊躇いがちにこちらを向いた。
「もし、さ」
「んー?」
「デューが良かったらなんだけど……」
どこかカヨコちゃんの顔が赤い気がするのは気のせいじゃないだろう。
あーこの流れは、
「───ウチ、泊まる?」
次回!お泊り回!
オリ主のエミュすらママならんかったです。
文才がないんであたたたたたたたかい目で見てください。
原作2年前のカヨコならこのくらいの感情発露するでしょ多分。
将来的にカヨコはヤニ吸います(ネタバレ)。