「・・・なぁアルフィア。」
「なんだザルドこんな時に。聞くに絶えない雑音なら今すぐその雑音を漏らす口を永遠に開かないようにするぞ。」
「ははっ、それは勘弁してくれ。」
「ならば要件とはなんだ。イアンも既に動いている。我々の仕事ももうすぐだ。」
「そのイアンについてだ。」
「ほう?」
「お前も気づいているとは思うがあのイアンとかいう青年。もしかしたら・・・」
「それ以上は言うなザルド。それを認めてしまえば我々がこれから行うことの意味が半分なくなってしまう。」
「あぁ、そうだな。」
「奴が誰であろうと我々のやることは変わらない。」
・・・
「報告!都市南西方面の味方がっ、冒険者が全滅しました!!」
オラリオ本陣中央広場
バベルを死守するために敷かれたこの場所でフィンとロキに一報が伝えられた
「ー!!全滅!?全ての冒険者が!?」
「は、はい!撤退した者もいるようですが・・・今、南西区画に立っている冒険者はいません!」
「ロ、ロキ!団長!リ、リヴェリアさんとガレスさんが・・・敗北したと、報せが・・・」
「なんやと!?二人は無事なんか!」
「【
「なんやて!?あの女神のとこの娘らが全滅した!?」
「
「灰の髪の魔導士、妙齢の女!超短文詠唱を駆使し、桁違いな攻撃はおろか、魔法による砲撃も効かないそうです!もう1人の方は白髪で齢20にも満たない少年だそうで!ロングナイフを使っている模様!」
「【ガネーシャ・ファミリア】は『狼煙』の直後に避難誘導に動いとった。その甲斐あって東方面地区は無事や。彼女らは責められんなぁ。」
「(灰髪の魔導士、更に魔法の『無効化』・・・アルフィアか!
「【猛者】達の敗北を受け、各【ファミリア】の士気が下がっています!南方を中心に、敵の蹂躙を押し返せません!」
「だ、団長!せめて援軍を!リヴェリアさん達のもとへ・・・!」
「駄目だ!僕達は中央広場を、『バベル』を死守する!この戦いの中で、敵の狙いは間違いなく・・・!防衛戦より以南は放棄!残存勢力は都市中央に集結するよう号令を出せ!北の
・・・
都市を焼オラリオ全土に響き渡る地響きとともに神の送還を示す光の柱が出現する
それが意味することはただ1つ
ふたーつ。
「馬鹿な・・・!!」
みーっつ。
「・・・うそ。」
よーっつ。
オラリオ各所で連続して神の送還が行われていく
それが示すは冒険者達の無力化
『恩恵』のない冒険者など無力な一般人と何ら変わらない
つまりここから起こるは闇派閥による一方的な大虐殺
「助けてくれぇぇぇぇ!!!」
五つ。
「ハハハハハハハハハハッ!ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「本当に、ゴミみたいに冒険者が殺せるじゃねぇーか!」
「最っ高だぜぇ、神様ぁ!!てめぇがやっぱり、最凶だァァ!!」
「
むーっつ。
「【ベレヌス・ファミリア】主神、送還!」
「【ゼーロス・ファミリア】全滅!!」
「送還・・・全滅・・・?『神の恩恵』を失った冒険者が、闇派閥に狙われて・・・!?」
「止まりません・・・止まらない!!【ファミリア】の殺戮が!?」
「ば、馬鹿なァァァ!?」
ななーっつ。
「・・・破壊!蹂躙!殺戮!!いいですねぇ、実にいい!なんて鮮やかな血の宴!まるで童心に返ったかのよう!」
「壮観だな。」
「あぁ、景色だけは。だが目を閉じればー神もやはり雑音だ。」
八つ、九つ・・・十
『生贄』は終わった。
さぁ、行こうー
「君は空から見ていてくれよ、『正義』の潰えこの混沌に染められたオラリオで起こる『全て』を。」
「今日までの闇派閥の襲撃は、神々の『居場所』を把握するため。無差別と見せかけ、都市全域で事件を起こし、神送還の地点を全て洗い出していた・・・!」
「聞け、オラリオ。」
「聞け、
「『約定』は待たず。『誓い』は果たされず。この人地が結びし神時代の契約は、我が一存で握り潰す。」
「全ては神さえ見通せぬ最高の『未知』- 純然たる混沌を導くがため。」
「傲慢?- 結構。」
「暴悪?- 結構。」
「諸君らの憎悪と怨嗟、大いに結構。それこそ邪悪にとっての至福。大いに怒り、大いに泣き、大いに我が惨禍を受け入れろ。」
「我が名はエレボス。原初の幽冥にして、地下世界の神なり!」
「冒険者は蹂躙された!より強大な力によって!」
「神々は多くが還った!耳障りな雑音となって!」
「【
「貴様等が『巨正』をもって混沌を退けようというのなら!我等もまた『巨悪』をもって秩序を壊す!」
「告げてやろう。今の貴様らに相応しき言葉を。」
「脆きものよ、汝の名は『正義』なり。」
滅べ、オラリオ。
-我等こそが『絶対悪』!!
その日、オラリオは最も長い夜を迎えた
破壊と慟哭、恐怖と絶望
街は燃え、血が流れ、数々の星が散った
後に『死の七日間』と呼ばれる、オラリオ最大の悪夢の始まり
都市に深過ぎる傷を与えた絶対悪は、笑みを残し、去っていった
立ちつくす子供達と神々に背を向け、遊戯を楽しむように
あるいは、とっておきの『終焉』をもたらすために
その日、オラリオは最も長い夜を迎え
そして昏い朝を迎えた