「・・・」
「こんなタイミングで聞くタイミングじゃないんだけどな。」
あの日の夜、エレボス様から呼び出された
「なぁ、本当にいいのか?」
「誘ってきたのは貴方からでしょうに。」
「ザルド達にも言ったが、最終確認というやつだ。特にお前はあの二人と違って雪崩式に参加する形となった。しかも記憶喪失のお前をだ。神にも罪悪感はあるもんだ。」
「正直、僕が貴方達に拾っていただいた前の記憶は何も思い出せません。自分が何をやっていたのか。どこにいたのかも。もしかしたら『悪』に手を染めたことに後悔することがあるかもしれません。」
瞼を閉じれば、思い浮かぶはオラリオに住む人達の様子
悪の脅威に怯えながらも、日々を過ごしている人達
そんな彼らを守りながらも楽しく過ごす冒険者たち
これから僕達が壊そうとしている彼らの日常が流れ込んでくる
「でも、これだけは絶対の自信を持って言えます。」
「ほう?」
「彼らに着いてきたこと。それだけは胸を張ることは出来ます。」
「悪いな、お前らに罪を被せる形になってしまって。」
「誘ってきたのは神様でしょうに。」
「ククク、あぁそうだな。なぁに、俺も手を抜くことは無い。全力で立ち向かってくれ。」
「はい!」
・・・・
「今日まであった事件、及び伝達事項はこれくらいかな。誰か、他に共有しておきたい情報はあるかい?」
オラリオの各【ファミリア】代表が1つの部屋で席を囲んでいる
ギルドの最高権力者であるギルド長ロイマンを議長として定例の
最初こそ【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】のいざこざで険悪な雰囲気だったものの、アリーゼの一言で収まっていた
「・・・我々も『倉庫』制圧の際、素性不明の女1人と男1人と遭遇した。両者共に魔道士、あるいは魔法剣士だと思われる。直接の被害はなかったものの、女の方は私を含めた総勢三十の団員が手玉に取られた。」
【フレイヤ・ファミリア】の報告を受けたシャクティが続けて報告に入った
「【ガネーシャ・ファミリア】を一人で?どこの所属の魔道士だ・・・」
「それで?もう1人の男の方は何かあるかい?」
「はっきり言って女以上に掴みづらい男だった。わざわざ我々の前に現れたと思えば、私と鉢合わせになった途端退こうとした。追いかけようとするも、こちらは一撃で鎮められてしまった。手負いだったとはいえ不覚だった。すまない。」
「
「・・・後者の2人はともかく、前者の戦士が
「私からも1つ良いかしら。」
「何かな?」
「昨日、輝夜がイアンって子に会ったらしいの。」
「【イアン】?そういえば私と対峙した男もイアンと名乗っていた。」
「彼は自分を【ヘスティア・ファミリア】所属だと名乗っていたそうよ。」
「【ヘスティア・ファミリア】?聞いたことないファミリアだね。」
「えぇ。アストレア様に聞けば、ファミリア以前にまだ地上に降臨さえしてないそうよ。」
「それは本当かい?」
「えぇ。そのヘスティア様の神友であるへファイトス様に念の為もう一度確認したわ。でも、結果は変わらなかったわ。」
「とは言っても、わたくしたちの邪魔をしているわけでもなく、けが人の手当など、敵だと判断しきれる材料がなかったもので保留とさせていただいていましたが、『倉庫』襲撃の件もふまえると敵さんと思っておくべきかと思います。」
「そうか、ありがとう。皆彼らにも十分警戒するよう伝えておいてくれ。彼らに目立った動きが無いとはいえ、警戒するに越したことはない。くれぐれも1人でち向かう事のないように。」
フィンの一言で、その場全員が無言で頷く
「さて、最後になるが・・・『本題』に入る。【ヘルメス・ファミリア】の偵察によって、
・・・・
「ギルドの内通者から報告が入った。敵の掃討作戦は・・・3日後。」
「ハハッ!でかしたぜ!あの
ダンジョンのとある一角、そこにオリヴァスとヴィトー、ヴァレッタが集まっていた
「敵の懐に潜り込ませてから何の報告もさせねえ、一度っきりの『密告』。5年前から仕込んでた甲斐あったぜ〜。」
「フフ、間者を放ってきながら今日まで連絡を絶っておくとは・・・普段は型破りそのものの癖に、随分と辛抱強い1面もお持ちですね。」
「ば〜か。ここぞって時に切るから『切り札』っつうんだよ。ましてや、フィンはもとより神々を出し抜くんだ、怪しい真似して目をつけられた時点で、嘘なんて見抜かれる。なら目につかねえほどコソコソさせるしかねぇだろ〜。」
「それよりも『顔無し』、てめえの主神はどこに行った?計画の発起人だろうが。」
「さてさて、あの方も御多分に漏れず神なので。今も一人でふらついてるのではないでしょうか?」
「ちッ、黒幕は黒幕らしくイスの上にふんぞり返ってやがれ。落ち着きがねぇ。まぁ、いい・・・」
ヴァレッタは奥に佇む
「・・・っつぅーわけだ。『宴』は三日後。準備をしといてくれよ?『本当の切り札』さん方よぉ。」
「細かいことは関知せん。その時になったら呼べ。どうせこの身は戦場でしか役に立たん。・・・それまでは、腹を空かせておく。」
「フフフ、百を語らず一刀のみで存在を証明する戦餓鬼・・・恐ろしい御仁がいたものです。」
「てめえらがいねえと話になんねえからなぁ。あの出鱈目な猪野郎と、道化の連中をぶっ潰して ー」
「
「は?」
「耳障りを通り越して汚泥そのものだ、貴様の声は。気分が悪い。吐き気がする。今すぐ口を閉じろ。」
「こ、この女ぁ・・・!」
「私は粛々と利用されてやる。ならば貴様等も、黙って利用されろ。」
「その辺にしておけ。我々は既に同志。目的は違えど、辿る過程を同じくする者なのだから。ついに、我が主神の念願叶う時・・・オラリオの崩壊はすぐそこだ。」
「すまん、少しだけいいか?」
「おいおい、随分と自由にやってくれてるじゃねえか神様よォ。」
「すまないすまない、ちょっとオラリオ観光に勤しんでたら帰れなくなっちゃって。」
「ある程度の作戦は伝達済みです。発起人である我が主神がどこで何をしようと問題はありません。」
「酷いなぁ、もっと主神である俺を敬ってもらっても良いんだぜ?」
「貴方が主神らしくあれるのであれば考えないこともありませんが。」
「そんなことはどうでもいい。わざわざ何をしに来たんだよ。おちょくりに来たわけでもねえんだろ?」
「あぁ、そうだな。ヴァレッタ、お前の担当箇所イアンと変わってくれないか?」
「あぁ?私じゃフィンとは張り合えねぇってのかよ?」
「そうじゃない。ただ、彼のバージンくらい華々しく飾ってやりたくてな。それに多分だが、フィンはそこには来ないぜ?」
「根拠は?」
「ただの勘さ。なに、その場所意外ならどこでも構わないさ。」
「けっ、癪だが今回は神様の勘とやらに賛同してやるよ。算段は変わんねえな?」
「あぁ。大いに暴れてくれて構わない。全ては3日後オラリオは絶望に堕ちる。」
「ヒャハハハハッ!待ってろよオラリオの冒険者共!もうすぐ血で真っ赤に染めてやるからなぁ!」