「正気か?お前。何処の子も知らんやつにこんなことを頼むなんぞ。」
「別に。あえて言うなら『神々の勘』ってやつかな。全知零能である
「わしはこれ以上は何も言うまい。」
「だが、力の方はどうする。まともな恩恵もなしに生き抜けるほどヤワじゃないぞあそこは。」
「えー、そこら辺は鍛えてくれよ。」
「俺もあいつもそんなものはお断りだ。満足して逝くだけの俺たちの死に様に率先して巻き込むほど安い覚悟はしていない。」
「・・・そうだったな。まぁそう本気にするな。それに、
エレボスは改めて少年に目線を合わせる
「それで?どうだ、俺たちと『世界の踏み台』にならないか?」
口は笑っていてもその瞳は真剣そのものだった
「頷けばお前はすなわち悪に手を染める事を容認するわけだ。周りのヤツら全員が俺たちの敵となる。お前はそいつらを殺す覚悟で挑まなきゃならねぇ。その時、お前は冷酷に、残酷になれるか?」
「僕は・・・」
少年の腰掛けるベッドのシーツにシワが寄せていく
「僕はあなた達に着いていきます。」
広いとは言えない一室に3人のどよめきが広がる
「本当にいいんだな?お前はここからとてつもない『巨悪』に身を落とすことになる。そうなっても耐えられるのか?」
「僕には、その『巨悪』がなんなのかは分かりません。あなた達と過ごした時間もほんの数時間にすぎません。 ですが、何故かあなた達が言うほど『巨悪』だとは思えません。それだけです。」
「ハッ!ハハハハハ!!!」
「コホン。失礼、自分から言っといてあれだが予想外だったもんでな。そうか、そこまで言うなら受け入れようじゃないか。」
ザルドは諦めたように笑っている
「でもいいのかエレボス。アルフィアには伝えてないのであろう?」
「それは…まぁ、なんとかなるさ。ともかく。」
「えっと、アルフィア?さんでしたっけ。さっきまでこの部屋にいらっしゃった。」
「そうだ。アイツにも色々と思うことがあるんだ。あぁ見えても俺たちの中じゃ1番心配してたんだ、難しいやつだが気を悪くしないでやってくれ。」
「
アルフィアと呼ばれた女性の1発で黒髪の男性が殴り倒されていた
彼らの力関係が垣間見えた気がする
「あぁ、そういえば俺たちの紹介がまだだったな。俺はエレボス。
『神』・・と言っても伝わらねえよなぁ。まぁ、お前とは違う存在とでも捉えてもらえばいい。んで、こいつがゼウス。俺と同じ神さ。」
「・・・ザルドだ。俺は納得などしていないが拒む理由もない。足でまといだと考えた瞬間切り捨てる。それだけは注意しとけ。」
「は、はい!」
「・・・私もか?」
「お前だけしないってのも変だろう。」
「・・・アルフィアだ。言っておくが間違っても『おばさん』とだけは呼ぶなよ。」
それだけ言うと、アルフィアは黙ってしまった
「自己紹介も終わったことだ、友情祝いって訳じゃないが、脱いでくれないか。」
「え?」
「あー、なんだ。俺の趣味じゃねえよ。なんと言うかな、お前に力を授けるだけ。変な意味は無いからそう身構えなくていい。」
「は、はい。」
「あ、上だけでいいからな。そこで横になってくれ。」
「まだまだだな。」
「お前と比べるのは可哀想すぎないか?」
黒シャツから見える彼の筋肉は同年代の少年と比べても鍛えられているのは一目瞭然だった
先まで倒れて記憶喪失とは思えない肉付きは冒険者のソレ
彼に対する疑問は増えるばかりだった
背中に向けて一滴の血が落とされる
エレボスが羊皮紙に写し取り、しばらく眺める
「ある程度予想はしていたが・・・こう現物として突きつけられるとなぁ。」
「え、えーっと・・・」
「あぁ、悪い悪い。ちょっと写してくるから待っててくれ。ゼウス、来てくれないか?」
「あぁ。」
・・・・
「わしを呼んでどうした。」
「とりあえずこれを見てくれ。」
羊皮紙を1枚、広げる
そこにはこう書かれていた
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ベル・クラネル Lv.7
力: B 756
耐久: B 780
器用: B 740
敏捷: A 820
魔力: C 680
幸運:E
耐異常:F
逃走:I
・・・・・
魔法
【ファイアボルト】
・速攻魔法
スキル
【▪️▪️一途】
・早熟する
・▪️▪️が続く限り効果持続
・▪️▪️の丈により効果上昇
【▪️▪️願望】
・▪️▪️▪️▪️▪️
【
・猛牛系との戦闘時における、全能力の超高補正
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「こっ、これは・・・」
「俺がこの少年を見かけた時、少しだけどピンと来るものがあった。『ありえない』と端から否定するのは簡単だが、こうして見せつけられる形で出されるとなぁ・・・」
「下界に同姓同名が存在する事はないことは無い。だが、ここまで一致するとなると、考えねばなるまい。『可能性』とやらを。」
「下界は神々以上にぶっ飛んでるとヘルメスから聞いてはいたが、こんなこともあるとはなぁ。」
「メーテリアにもう一人息子がいた話はない。信じたくはないが、エレボスの言葉を信じよう。」
「それで、これどこのファミリアだ?」
「うーむ、わしがオラリオにいた頃には見覚えがないエンブレムじゃからなぁ。」
「それよりも、だ。名前、どうする?このままじゃアルフィアが怒りそうで心配だぜ。」
「そうじゃな、ここはイアンとしとこうか。」
「
「とにかく、色々と気になる点はあるけど全ては整った。あとは来るべき時まを待つだけ。」
・・・
「本当にいいのかアルフィア。」
「何かだ。」
「そっくりだろ?あの『子供』に。」
「抜かせ。妹の子は1人だけだ。今も1人私たちの分まで生きているあの子だけだ。この子とは全く違う。」
「それなら・・・いや、やめておこう。また殴られても面倒だ。」
「賢明だな。」