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現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変  作者: 二日市とふろう (旧名:北部九州在住)
小さな女王様

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二巻特典SS 栄一くんコミュ 大人になったら…… 2024/11/27 投稿

 帝都学習館学園にも授業参観なるものがあるが、日本のVIPである親が子供の授業参観に来るという事はまずない。

 という訳で、大体は執事やメイドが代理で出席する訳で。

 授業参観後の三者面談も将来が決まっている連中なので形式的なものになっている。


「成績については何も言う事はありません」


 そんな感じで面談が終わって橘と帰ろうとしていたら、執事を連れた栄一くんと出会う。


「栄一くんも今から帰り?」


「ああ。

 瑠奈も終わった所か」

 

 橘と栄一くんの執事が少し長話をしていたので、二人に言ってから待つついでに学園内のカフェテリアへ。

 昼食のピークを外れた事もあり、高等部や大学生数人しか居なかった。


「栄一くんはいつものコーラか」


「瑠奈もいつものグレープジュースに、何だそれ?」


「生チョコ。

 最近流行っているみたいで、ちょっと頼んでみたのよ」


 そんな事を言いながら窓際の席に。

 当然会話は、授業参観で盛り上がる。


「しかし、三者面談必要あるのか?

 俺の所は挨拶してから五分で終わったぞ」


「私も似たようなものよ。

 職業選択の自由なんてないようなものだからねー」


「瑠奈はOLらしいが、どうもそんなイメージが湧かないんだよなー」


「何それ。世の女子の多くが選択する職業なのに?」


 私は生チョコをパクリ。

 栄一くんは話ながらも生チョコが気になるらしい。


「働いているのは想像つくけど、お前が人に頭を下げている所が想像できない」 


「ひどくない?それ?」


 笑いながらカフェテリアを眺める。

 多分大学生らしい女子がスーツ姿で就活の準備をしているのが見えた。

 バブルの頃と違って就活生は苦労しているみたいだが、それがどれだけ幸せなのかを知っているのは私しかいない。


「元々、女性が仕事にというのは新しい概念なのよ。

 女性は嫁に行って、子供を産んでってのが長く言われていたからね。

 働く女が一般に広がったのは、高度成長期からバブルのころあたりなのよ」


 それに伴って生活習慣が変わってゆく。

 私の時は、それにバブル崩壊という不況が重なってひどい目にあったものだ。


「どうした?瑠奈?

 ボーっとして?」


「あ。ごめん。

 私もああいうのを着て就活をするのかなって思って」


「就活も何も、瑠奈は自分の会社に就職するんだろう?」


 コーラを飲み終えた栄一くんがあっさりと言い、私も肩をすくめて答えた。

 前世では絶対に味わえない悩みを。


「まぁね。

 今度は何処に入るのかで色々頭を痛めないといけないけどね」


「あー。そっちか」


 私は桂華グループを統べる桂華院家の人間である。

 となると、その桂華グループの創業企業である桂華製薬に就職というのが本来のコースなのだろう。

 だが、今の私は桂華銀行や桂華証券、赤松商事や帝西百貨店、桂華ホテルやAIRHOとより取り見取り。

 多分だが、私が入社した際に、その会社が私の本社になるのかなと思ったり。


「栄一くんはその点楽でいいわよね。

 入る会社決まっているし」


「否定はしない。

 ただ、入る時に背負うものが大きいなとは思ったことがある。

 父や祖父はそれを背負っていると思うと、俺も負けていられないな」


 かっこいい事を言う栄一くんに何か返そうとした時に、少し離れた就活中の女子の嘆きが届いた。


「あーーーっ!

 早く私も、お嫁に行きたいーーーー!!!」


 その声になんとなく互いの顔を見つめる私と栄一くん。

 頭を傾けて、ぽつり。


「……行くのかな?お嫁に?」


「むしろ、行かない訳にはいかないだろう?

 瑠奈の場合は」


 黙りたかった私は、その理由の為に生チョコを口に入れる。

 甘くておいしいが、栄一くんの目は私の言葉を待っていた。


「……行くのかな?」


「何で繰り返すんだ?瑠奈?」


 私がお嫁に行くという事を一番理解できなかったのが私である。

 昔は、そんな夢があったのかもしれない。

 けど現実は……


「瑠奈?」


 栄一くんが私を呼ぶ声に心配の色が混じる。

 ふと、悪役令嬢らしいいたずらを思いついた。


「そうね。

 行けなかったら、栄一くんがお嫁にもらってくれる?」


「っ!?」


 ゲーム内のエピソードで、昔言っただの言わなかっただので喧嘩するイベントがあったのだ。

 ならば、ここでこういう事を言っても大丈夫だろう。

 悪役令嬢だし。


「そうだな。

 お前に貰い手がないのならば、もらってやるよ」


 栄一くんは、そう言って首を横に向けた。

 私はそれを楽しそうに眺めながら、最後の生チョコを口に入れたのだった。

女性の就職観

 労働者としての女性は、明治維新後から注目され始め、二度の世界大戦を経て完全に定着します。

 ただ、男は仕事で女性は家事という考えは今だ根強く、それが抜けたのはバブル崩壊後だったりします。 

 この頃から女性の労働観に変化か出てきて、『仕事か?結婚か?』という揺れ動く心情を描いた作品が多く世に出てきます。

 問題だったのは、女性がこうやって本格的に仕事に出る時代になった時、バブルが崩壊してその仕事そのものがなかった事でしょう。


生チョコ

 ブームになるのは99年。

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― 新着の感想 ―
ジャンル 現実世界〔恋愛〕 そう言えば!!
読者は思い出した この小説が恋愛カテゴリーだったことを
女性労働力が定着したら今度は子育ての逸失所得が高くなっていまい少子化とままならないものですね。
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