県が、6月に閉鎖したワシントン事務所に関する報告書をまとめた。

 同事務所を株式会社として設立する際、文書による意思決定を怠った。そのため、職員間で株式会社であることが認識されず、必要な株券の管理や、県議会への経営報告が抜け落ちたことを問題点に挙げている。

 一方、行政のプロがなぜ法人設立の文書を残さなかったのか。そうした疑問に十分な説明はなく、釈然としない部分が多い。

 当時を振り返ると、名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事が2014年12月に就任、15年4月に事務所を設置した。駐在員は知事訪米の準備や、米国世論への働きかけなど看板政策を担ってきた。

 政治が主導する中、行政の手続きがおろそかになったのではないか。

 報告書は、問題が10年近く放置されたことに「本庁で適正に整理していると考えた」「設立時に適切に処理した『だろう』という意識が働いた」と弁明する。

 その間に県議会では何度も事務所に関する質問が出ており、軌道修正の機会はあったはずだ。

 弁護士などでつくる県の調査検証委員会は「正式な意思決定手続きを意図的に省いたことを否定できない」とも指摘していた。

 これに対し、県の報告書では「意図的と示唆する記録を確認できない」「合理的な理由を見いだせない」などと否定している。

 これだけで意図的ではなかったとする結論は納得できず、「身内に甘い」と言われても仕方ない。

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 県のワシントン事務所を巡っては、昨年10月以降、県議会などで手続きの不備や不適正な事務処理などが相次いで指摘されてきた。

 調査検証委は事務所の設立手続きに「重大な瑕疵(かし)がある」、事務所の維持に「違法性を否定できない」と厳しく言及している。

 一方、県は関係した職員37人について「懲戒処分に該当しない」と判断し、現職6人を文書や口頭による「訓告」とした。

 行政が法を軽んじていたとしたら、ことの外責任は重い。県民の信頼を損ないかねない。

 玉城デニー知事は「信頼回復への決意を示す」として、自身の減給案を県議会へ提出する方針だが、これで幕引きとはならない。

 一連の問題で、責任がどこにあったのか、誰にあったのかを明確にする必要がある。

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 県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、この問題の究明が続いている。 県の報告書で明らかにならなかった不適正な事務処理の実態や背景を探るには、百条委の役割は欠かせない。

 県はワシントン事務所の必要性を強調し、事務所再開を目指している。であれば、なおさら徹底した事実究明が求められる。

 来年には知事選が控える。与野党では問題を政局とする向きもあるが、そうなれば逆に解決が遠のく恐れがある。県民の理解を得るためにも県は説明を尽くすべきだ。