今回は、ちょっと厳しいことを言います。
人によっては直視したくない内容かもしれません。
でもこれは、PLCに触れ始めた方を助けたい一心で書いています。
そして、最初に結論を言わせてください。
次にAIでリストラされるのは
“ただ動かすだけの人”
あなたは大丈夫でしょうか。
すでに事務職の多くはAIに置き換わり、大量リストラが現実になっています。
そして製造業では、装置を“ただ操作しているだけ”のオペレータが、次のリストラ予備軍と言われています。
理由は単純で、
“指示通りに動くだけの作業”が、AIとロボティクスに最も代替されやすいから。
でも、ここで一つだけ安心してほしいことがあります。
あなたの周囲を見渡してください。
PLC技術者、あふれていますか?
いませんよね。
FA・自動設備の需要は毎年増え続け、
リクルートなどの求人データを見ても、
・求人数は増加
・年収も上昇
・未経験〜中級者まで幅広く不足
という状態です。
需要はさらに伸びるのに、
供給(技術者)が全く追いついていない。
むしろ 圧倒的に足りていません。
これは“危機”ではなく、
あなたにとっては完全にチャンスです。
こう断言できる理由は、単なるネットの情報ではありません。
私はこの20年で大手のAI活用会議に同席し、
各PLCメーカーの開発や営業と直接話し、
100社以上の設備を納入・立上げしてきた一次情報ベースの感覚です。
その経験から見えていることを話します。
今、大手がAIにやらせているのは、ざっくり言うと 「頭の整理」 です。
・仕様書の要点を抽出
・リスク候補の洗い出し
・リスクアセスメントやプレDRの壁打ち
・作業順序の案出し
ここまでは確かにAIが得意。
ただし、本当に大事なところ
・インターロックをどう組むか
・異常系をどこまで想定するか
・安全とサイクルをどこで最適化するか
こういった “設計の中枢” は、今も人間が責任を持って判断しています。
AI任せの設計案が、現場の会議で通ることはまずありません。
というより、通るはずがないんです。
考えてみてください。
「この設備、安全は本当に大丈夫だよな?」
と確認されたとき、
「AIが設計したので大丈夫です!」
なんて言えますか?
私も20年現場にいますが、そんな返事をした技術者を一度も見たことがありません。
設備の安全、異常時の挙動、サイクルのバランス。
ここは“責任”が伴う領域であり、
最後の判断は、どうしても人間がするしかない。
PLC設計もまったく同じです。
「Aを押したらBが動く」程度なら、AIでも“っぽい”ラダーは出せます。
ですが本当の勝負はそこから。
・どの動作の優先度が一番高いのか
・安全は本当に守れているか
・タクトやサイクルは破綻しないか
複雑なブロックが絡み合った瞬間、
“全体を俯瞰して判断できる技術者” が不可欠になります。
こここそ、PLC技術者の価値そのものです。
初心者がこの視座を身につけるには、
「なぜそう考えるのか?」を熟練者に噛み砕いてもらい、
自分が納得するまで思考し、対話し、その判断基準を育てていく必要があります。
そして現場では、その対話相手は 設備そのもの になっていきます。
「ST言語の方がAIと相性良いのでは?」
という声もありますが、現場的にはまだ難しい。
理由はシンプルで、
夜勤帯の保守が読めない言語だとラインが止まるから。
24時間止められないラインで、
“誰が読めるか”が最優先される世界です。
だからこれから数年のAI活用の最適解はこうです
① AIに“下準備”をやらせる
② 自分の頭で判断する
③ 自分の手でラダーを書く
④ 検証し、設備と対話する
これしかありません。
AIを「仕事を奪う存在」と見るか、
「設計とリスク検討を加速させる相棒」と見るか。
その捉え方ひとつで、
あなたの10年後の立ち位置は大きく変わります。
一次情報ベースで断言します。
AIに食われるのは、“なんとなく仕様をなぞっているだけの人”。
AIを使いこなし、判断し、設計し、設備と対話できるPLC技術者は、
これからの10年で最も強い存在になります。
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