確かに私が最初にあげた「自動車・半導体・工作機械」以外にも、設計筋力を鍛える業界や環境は多数あると思います。しかし、「どの業界でも一緒」というのはラフ過ぎる見解だと感じました。
というのも、「市販品で80%が構成されている = 設計としては同じ」という前提そのものが、業界構造の実態とはズレていると思います。
まず、「市販品を組み合わせる装置が多い」のは、確かに一部の産業領域では事実ですが、それはあくまでも「装置の外観構成が似ている」という話であって、業界ごとに求められる「設計そのものの深さ」は全く別物です。
例えば自動車業界だと、ISO 26262 を中心にした安全要求の分解、システム全体の機能階層の設計、故障モード分析など、「モノを組む前の設計」が極めて重いです。
これは市販品を並べるだけでは絶対に成立せず、要求管理の設計脳が鍛えられると思います。
半導体製造装置の場合は、そもそも市販品では性能が成立しない為、自前で作ることが多いです。工程にもよりますが、熱・振動・電磁・真空・流体が同時に作用する多物理場の世界で、サブミクロンの位置決めや温度ドリフト補償を設計で見積もる必要があります。
「市販品を組み合わせて」では成り立ちません。
工作機械も同じで、熱変位・剛性・振動・制御応答をまとめて最適化しないと精度が担保できません。市販品パーツを繋いだだけでは剛性も動特性も出ないので、結局「基礎物理の理解+構造設計+制御設計」を総合的にやる必要があります。
冒頭に戻って、
確かにどの業界にも難しさはあると思います。しかし、「市販品が多い = どの業界でも同じ」は、少し乱暴すぎるかなと。
実際には、
・要求管理の重さ
・物理現象の理解
・設計に必要な解析工程
・機構/制御/材料/環境の統合
などが業界ごとに大きく異なっており、それによって鍛えられる設計力も変わってきます。
つまり、装置の見た目からは判断しづらい深いところで、業界差がはっきりと出ていると思います。
Quote
増田司郎
@masu1952
Replying to @toki_engineer
今は、制御が発達した為に、機構を主にした装置が少数です。
結果、装置の80%は市販品で、後はフレームと取付金具の設計して終わってしまう装置が多いと思う。
後は、あつかう製品の取り合いで苦労するぐらいです。
基本、個人の考の方で変るから、どの業界でも一緒です。