東大への寄付金、5年で百億円増 運営費交付金の減少で獲得を推進
医療機器メーカーから賄賂を受け取ったとして、東京大学医学部付属病院の医師が19日、収賄の疑いで警視庁捜査2課に逮捕された。「賄賂」の疑いがもたれたのは、寄付金名目で渡った金の一部だった。東大を含む国立大学は、国からの「運営費交付金」が減る中、寄付金の獲得に力を入れている。
「この状況が進めば大学病院の機能を維持できない」。国立大学の学長らは今月7日、付属病院の赤字が膨らんで経営危機に陥っているとして、文部科学省などに緊急要望を提出していた。
国立大学病院長会議によると、2025年度は8割近い33病院が赤字で、総額は330億円になる見込みという。こうした中で、国立大学が頼りにしているのが寄付金だ。
東大の財務諸表によると、2024年度の寄付金受け入れ額は約200億円と、過去5年で2倍超になっている。今回の贈収賄事件で賄賂とされたのは、企業や団体、個人などが、研究や教育目的で支払う寄付金だった。
文部科学省によると、寄付金は、ほかの外部資金(民間などとの共同研究や、受託研究など)に比べ、弾力的に使うことができる。
使い道は、寄付する人が指定しなければ、大学側の判断で決めて良いという。会計処理や使い道は、各大学内でチェックしているという。
寄付金が増えた背景とは
寄付金が増えた背景の一つに…