① 「多様性(diversity)」の定義的検証
・英語圏・国際的な定義
Diversity means “the condition of having or being composed of differing elements or qualities, especially including people of different races, cultures, religions, genders, and ideas.”
(多様性とは、異なる要素や性質をもつ状態。特に、人種・文化・宗教・性別・考え方などが共存することを指す。)
重要なのは、多様性とは単に「異なる意見がある状態」ではなく、互いの存在を尊重して共存できる枠組みを前提としているという点です。
② 「多様性否定も多様性の一部」という主張の論理構造
この主張は、しばしば「逆説的包摂(paradox of tolerance)」の誤用に基づいています。
つまり「多様性を認めるなら、異なる意見として“多様性を否定する意見”も受け入れるべきでは?」という主張です。
一見、寛容に見えますが、論理的に破綻しています。
・論理的な誤り:自己矛盾(performative contradiction)
「多様性を否定する意見」自体が、多様性という概念の存立条件(共存の前提)を破壊するため、「多様性の中で認めること」は自己矛盾になります。
・一部の人たちによる主張:
「多様性とはあらゆる意見を認めること。だから“多様性を否定する意見”も多様性のうちに含まれる。」
・論理的反論:
1. 定義的誤り
→ 多様性とは「差異が共存できる状態」であり、他者を排除・抹消する立場は「共存の否定」である。
ゆえに、多様性の“中身”にはならない。
2. 自己矛盾(パラドックス)
→ 「多様性を否定する立場を多様性として認める」ことは、「多様性を破壊する行為を制度内で正当化する」ことになる。
結果として、多様性自体が消滅する。
・定義上・論理上の結論
定義的(概念論) 「多様性」とは共存可能な差異の存在であり、共存を否定する立場は範囲外。
論理的 「多様性否定も多様性のうち」とするのは自己矛盾であり、哲学的に成立しない。
社会的 「多様性否定」は表現の自由の一部ではあり得ても、「多様性の一部」ではない。