レオンは今、衛非地区へと訪れていた。店立ち並ぶ商店街は活気があり、店前には威勢のいい声掛けが左右から聞こえてくる。人たちが行き交う道を潜り抜け、向かうは一つだ。1人の人物に会う為に彼はここに来たのだから。
人の流れから逸れ、歩く彼の足が止まる。目の前には『適当観』と達筆な字で書かれた看板。衛非地区では聞く人ぞ聞く雲嶽山の拠点だ。しかし、今は人が居なくなり寂れてしまっている。石畳からは雑草が顔を出し、陽の光を浴びながらも建物は何処か燻んで見える。だが、それも今日までだろう。何故なら──
「待たせてしまったか」
門の前で立ち尽くすレオンに、その門を潜り現れたのは、長髪の女性だ。雲嶽山のカラー、黄色を基調としながら袖などを改造し動き易さを重視した服装。しかし、彼女の雰囲気が気安さを感じさせない。荘厳さすら醸し出すだろう。
「いや、今来たところです……突然の事だったのに、来てくれてありがとうございます。儀玄さん」
「気にするな、そろそろ適当観も復興させなければと考えていた所だった。それに、お前さんの話も無視できないものだしな」
雲嶽山現宗主、儀玄。噂に名高い虚狩り級の実力者。レオンにとっては初対面。しかし名前は幾度も聞いた。その活躍も。顔の知らない同僚のようなものだ。同じように市長の依頼で動く者。違いがあるとすれば、彼女は外部の協力者で、自分は雇われである事だろう。彼は、懐から一枚の写真を取り出す。それは、市長にすら秘密にしている彼が裏で所属する組織によって齎された情報。
ミアズマが蔓延するラマニアンホロウで撮られた写真には、サクリファイスと讃頌会の構成員が写っている。
「……」
眉を顰めその写真を見つめる儀玄に、レオンは説明する。ラマニアンホロウで讃頌会が動いている。その調査を彼女に依頼したいと。ラマニアンホロウは、雲嶽山の術法ありきでなければ転生者であってもどうなるか分からない特殊な場所だ。ミアズマも転生者の記憶と共鳴した結果、どんな事が起こるか予想がつかないからだ。
下手に人員を讃頌会に送り込んだところで、こちらの手札を晒す結果になり得る。だから一定以上の実力者が必要なのだが……。今は郊外で『ツール・ド・インフェルノ』が始まる時期だ。それと並行して新エリー都で行われる選挙も近い。はっきり言って人が足りないのだ。
「それは構わないが……お前さん、どうするつもりだ?」
言葉の裏には市長に黙ってこんな事して、何をするつもりなのか、と儀玄の疑念があった。もちろん、市長の下で動く事に不満はないが、レオンには、いや転生者達には目的がある。陳腐でも、無様でも、不恰好でも。三流の喜劇を作る事。その為なら全てが優先される。
「そうですね、誰かの幸せを守りに」
我ながら答えになってないな、と苦笑する。だけど、それが答えなのだから仕方ない。この街は、この世界は、あまりに悲劇があった。目を覆いたくなる惨劇があった。その全てを覆したくて仕方ない、どうしようもない連中なのだから。
「……まあいい。こちらは任せてもらおう」
「ありがとうございます。それでは俺はこれで。あぁ、儀降さんにもよろしく伝えておいてください」
「姉様にか?」
「ええ、俺の直感が嘘を言っていなければ、でかいヤマになりますよ」
なにしろ、原作で讃頌会が衛非地区をサクリファイスに襲わせる事件を起こした実績がある。似たような事を企む可能性は充分にある。まぁ、衛非地区にもネームド転生者は何人かいた筈だし大事にはならないとは思うが。
零号ホロウの一角で、激しい銃声が響く。他のホロウでは比べ物にならない強度を持つエーテリアス達の群れが迫るのだ。しかし、対峙する者達もまた一般人とは比べ物にならない者達だった。
「ふっ!」
鋭い声と共に放たれる弾丸が化け物の装甲を削る。怪物に肉薄する白髪の兵士の赤熱した鉈が炎を巻き上げながら一刀両断にし、残った者達は、遠くからの電撃のような弾丸に貫かれていく。
彼らの死角を突いて鋭い爪を振り下ろさんとするエーテリアス達は、上空から降ってくる巨体に気が付かないまま潰されていく。時間にして10秒ほどの出来事だ。辺りの鎮圧を確認し、警戒を解く。
「ターゲット、沈黙したわ」
「こっちも終わったよ〜」
「遠くにも敵影は見えません」
各々の報告を聞き、それを纏めるのは鬼火と呼ばれるその部隊の隊長だ。
「ここらで合っている……そうだな?スネーク」
「……ああ。しかし、君達は優秀だな。俺も多くの兵士を見てきたが……ここまで連携の取れる部隊は初めて見た」
『えへん、我らオボルス小隊は優秀なのでありますよ!』
「お前は何もしてないだろオルペウス」
また始まった鬼火とオルペウスの言い合いに、その場の皆はまたか、と苦笑する。しかし、敵影はいないとは言えここは零号ホロウ。油断ができる場所ではない。いい加減気を引き締めてほしいとスネークが目を細める。その変化を目敏く気がつくのは、『シード』だ。
『ゔぅん……あー、隊長。目的の場所は近い。そろそろ……』
なんとも言いずらそうに言うシードをよそに、その様子をクスクスと笑って横に立つフローラと表情を変えないまま腕を組む11号。
「む、そうだな。それでスネーク。ここに一体何があると言うんだ?」
「そうだな……俺は、仲間を探しているんだ。その仲間が最後に消息を絶ったのがここだ」
そう言って部隊の面々が足を運ぶ先にあったのは、乾いた土地だ。未だ都市の名残を残す零号ホロウでも異質。瓦礫すら黒く染まり、常に雨が降る区間。10年間に渡って様々な機関が調査して分かったのはこの区間には長居してはいけないというルールのみ。エーテリアスだろうと、人間だろうと、ホロウ耐性のある知能構造体であっても例外ではない。
かつてホワイトスター学会が実験した結果では、長居した人は五感を次第に喪失していき、最後には存在すら喪失して影のように黒く染まって崩れ去ったと言う。その事実からその区間を『虚空区』と呼んだ。
「……旧都陥落の奇跡、と呼べば聞こえはいいがな」
その場所に、鬼火の顔は複雑そうだ。彼女にとっても無関係ではなかったからだ。旧都陥落当時、オブディシアン大隊で戦っていた彼女はあわや壊滅するかも、といった時に突如発生した強烈な衝撃波によって大隊が救われている。
そうしてその跡となったのが10年経った今でも残る零号ホロウの外殻に刻まれた一筋の切り傷だ。
『あの時か……俺も、フローラもスネークに救われた』
シードはあの頃を思い出し、己の機械の足に抱きつくフローラを撫でる。その横ではトリガーもまた、あの頃を思い出しているのだろう。この場にいる誰もが、あの旧都陥落の奇跡と呼ばれた現象によって救われている。
しかし、スネークの表情は渋いままだ。
「彼女が居ればな……」
きっと、我々フィランソロピーの最大戦力になってくれただろう。と彼女の不在を嘆くばかりである。
798:zzzを救いたい転生者
束の間の休息〜、この時間に飲むティンさんのコーヒーが美味いんじゃ〜
799:zzzを救いたい転生者
見てごらん、あれがコーヒー中毒者の末路だよ
800:zzzを救いたい転生者
ままー、何あれー
801:zzzを救いたい転生者
しっ!見ちゃいけません!
802:zzzを救いたい転生者
クク……酷い言われようだな。まぁ事実だから仕方ないけど
803:zzzを救いたい転生者
実際相手に動きがないからなぁ、多分今は潜伏期間なんだろう。
804:白い悪魔
こっちもヴィジョンの負債を肩代わりする条件で会社吸収したから忙しくてね。お陰で色んなノウハウがウハウハです
805:瓦落瓦落
死んだ目でパソコンと睨めっこしながら言っても説得力ありませんよ社長
806:zzzを救いたい転生者
そろそろTOPS入り、あるんじゃない?
807:白い悪魔
既にそう見込んだ連中からのアポが多くてね……お陰で休みがない。誰か助けてほしい
808:zzzを救いたい転生者
自分で蒔いた種やん
809:zzzを救いたい転生者
そうなるのが目に見えてたのにやったの社長だし……
810:白い悪魔
仕方ないじゃん!発言力とか諸々考えたら取らない選択肢ないんだから!
811:守護る者
そっちは大変そうだな、郊外も今慌ただしくなってきてるぞ
812:zzzを救いたい転生者
ツールドインフェルノの時期だろ?って事は奴らが……
813:zzzを救いたい転生者
讃頌会とは無縁だけど無視はできないよなぁ
814:zzzを救いたい転生者
石油施設が潰れるのは痛すぎる。カリュドーンの人達も。
815:悪魔も泣き出す男
だからか、この前からツインテールガールから催促が煩いのは
816:zzzを救いたい転生者
何したんお前
817:悪魔も泣き出す男
この前零号ホロウに突っ込んだ時バイク借りたんだわ。大破したけど
818:zzzを救いたい転生者
大破したというか壊したというか
819:zzzを救いたい転生者
そりゃルーシーだって怒りますわ
820:zzzを救いたい転生者
アホまみれですわーッ!ってキレてるのが見える見える……
821:龍を背負う男
郊外か、俺の知り合いがいた筈だし行くか
822:白い悪魔
知り合い?誰ですか?
823:龍を背負う男
ポンペイ
824:電脳少女
中心人物じゃねーですか!?
825:守護る者
知り合いその2だ。旧都陥落前の若い頃に付き合いがあってな……
826:zzzを救いたい転生者
世間は狭いなぁ
827:宝石お嬢様
時々おじ様のその意味不明な人脈は何処から来るのか聞きたくなりますわ……
828:zzzを救いたい転生者
いいなぁ、俺も誰か知り合いてぇよ
829:zzzを救いたい転生者
ふふん、聞いて驚くなかれ。俺は青衣さんとたまに将棋を打つ仲だぞ
830:zzzを救いたい転生者
くっそ羨ま
831:zzzを救いたい転生者
負け続きで勝てた事ないけどな!その度「ほっほっほ、お主はもう少し頭を柔らかくするとよい」って言われるんだ、ドヤ顔で。
832:zzzを救いたい転生者
くっそ、私も歩いてたらイヴリンさんとばったり出会わないかなぁ!
【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること!
転生者その10
掲示板ネーム守護る者。作品はグラップラー刃牙及び関連作品より本部以蔵。守護キャラ。この世界においても独自の流派を掲げ道場を持つが郊外という立地の悪さと知名度の無さから門下生は1人として居ない。若い頃はやんちゃもした。その頃の関係からポンペイやカリュドーンの元首領とも知り合い。