「鏡に恋して」を振り返る(製作後記)
初めまして、わたしです【わたし】と申します。
先日、エロう丸イクイクイクイクイクイク様主催の「音MAD UNDER19」という企画の生放送が行われました。
今回はこの企画で私を含めた計4名が製作した作品である「鏡に恋して」について、私の視点で振り返って書き残しておきます。
無駄が多い記事にはなりますがご了承ください。
また、今回製作を共にしたうちの一人であるUtopiaさんがツイートで映像構成について解説しているので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
Utopiaさんのツイート
「音MAD UNDER19」とは
企画の内容を説明すると、「19歳以下の音MAD作者で4人チームを作り、作品を完成させて生放送で公開しよう!」というものでした。
生放送で実際に公開された作品については、19歳以下での製作ということで、どこか若々しさを感じるような素材や選曲が多かったように思います。
そして、この企画で肝となるのがやはり「チーム決定」です。総数100人を越える参加者の中から、運営の皆様によるGoogleフォームでの事前調査(どのような素材を使うか、得意な分野はなんなのか、好きな音MAD作者は誰なのか…など)を踏まえた上で、チームが決定されます。決してランダム抽選とか、仲いい人同士で組めるとか、そういった方式ではありません。チーム決定においては運営の皆様が大変苦労されていたような覚えがあります。
また、4名での製作となるため、各々の強みを活かした作品の提出が期待されているはずです。音声/映像で分担して2名での製作などはよく見受けられますが、今回の企画においてはその限りではありません。どのように分担して製作していくのか、というのを考えていくのも非常に難しい点になります。
企画始動
チーム決定
運営皆様での協議が終わり、いよいよチームが発表されました。
(ちなみに、日本国外の作者のみ事前にチームが確定されていました。)
私の所属するチーム06のメンバーは、「84kb」「Utopiaさん」「あるひま」そして私、「わたしです【わたし】」の4名となりました。(敬称略)
分かる人は分かると思いますが、見ての通りです。チームの平均レベルが非常に高いです。明らかに強力なメンバーを携えての製作となりました。
84kb さん
After effectsを使用しており、映像の技術が高いです。激しいモーションを使用したり、彩度の低い色調が特徴的な映像を作る方です。音声においては、細かい、テンポのいいセリフ合わせが強みだと私は捉えています。使用素材も幅が広い印象です。
Utopiaさん さん
こちらは珍しく、うごくメモ帳を使って映像などを作っておられる方です。音声についてはおそらく製作当時、あまり触れていなかったと思われます。使用する素材についての深掘りや、製作物の中で素材の要素を拾うこと、また理解を深めることにすごく重きを置いている方です。
(以後、名前を挙げる際は「さん」一つにします。)
あるひま さん
とんでもない腕の持ち主です。After effects、Blenderなどを使用して、とにかくこだわっている、クオリティを極限まで高めた映像を製作されます。音声の技術においても、人力、MIX、どれも完璧と言っていいほどに抜群に優れています。素材では、主にうごメモや、windows効果音などを使用されています。
わたしです【わたし】
現在はAfter effectsを使用していますが、当時はAviutlを使用していました。ということだけ書いておきます。
サーバー作成、会議
合作の主催経験の有無や活動歴などを考え、私が主導しての製作となりました。サーバーを製作して、先ほど説明した三人との合作が開始しました。
サーバーに参加していただいた直後、Googleフォームを製作して、みなさんの使用ソフト、使用素材、得意分野、尊敬している作者…などの質問を改めて回答していただきました。最初に述べた通り、U19運営の皆様が事前に同じような調査を行なっています。が、その回答は共有されていなかったので、チーム内でお互いを知る目的で再度行い、結果を共有しました。
また、この時点でチームメンバーの作品から作風の傾向を分析して、メモに残していました。今後の製作でどのように動いてもらうかのイメージを模索していました。
その後通話にて、顔合わせを兼ねて「使用素材」「使用する曲」についての会議を行いました。Utopiaさん、あるひまさんの2名はうごメモを主に活動されていることもあり、「うごメモ素材でやることになるのかな?」と考えていましたが、「伝わりづらい」「各々の強みが出ない」ということで却下。ゲームやアニメなどの素材がいいのでは?という話になり、その後、私が提案した「Needy girl overdose」を84kbさん、Utopiaさんが知っており、賛成してくれたので、素材はNeedy girl overdose(ニディガ)になりました。あるひまさんにはイチから履修してもらうことになりました。マジでありがとうございます。
楽曲についても決めあぐねていましたが、素材がニディガであることからボーカルのある曲がいいだろう、ということになり、私から晴いちばんさんの「鏡のむこうでは」を提案しました。みんないい感じにハマってくれたみたいで、こちらも決定しました。
最近はプロセカに「エクスプロウル」が収録されました。
「鏡」というワードをPCの液晶、もしくは画面に置き換えて考え、画面のむこう側とこちら側、つまりニディガにおいての「超てんちゃん(超絶最かわ天使ちゃん)」と「あめちゃん」の関係を描けるといいよね、とこの時点で構想を思い浮かべていました。
素材も曲も私からの提案が通ったので、実質的に私が作りたいものに皆さんが付き合ってくれてる、みたいに感じてしまっています。本当にありがとうございます。また、テーマについては、「超絶最かわ天使ちゃん」を意識して、「超絶かわいい音MAD」となりました。
補足
ニディガについて何も知らない人は勘違いしているのをよく見受けますが、超てんちゃんとあめちゃんは同一人物です。
「Needygirl overdose」は、女の子を立派な配信者として育成していくゲームです。その女の子こそが、「あめちゃん」。
あめちゃんは配信外の姿、リアルの姿です。あめちゃんとしての姿、言動が彼女の本質であり、現実なのです。配信を行う際には、インターネットエンジェル「超てんちゃん」になる、もしくは演じることで、オタクたちからの愛を獲得しています。配信時とリアルでほぼ正反対と言ってもいい人格を持っているんですね。
そのことを知った上で「鏡に恋して」、そしてここから述べる実際の製作の振り返りを見ていただけると、より理解が深まると思います。別々の2人のストーリーではなく、1人が別の側面を持ち、それに基づくものなのです。
製作開始
分担について
投稿された「鏡に恋して」の概要欄、説明欄を読んでくださったみなさんはご存知の通り、かなり細かく分担を行いました。各々の強みを活かすために、またみんなに役割を持ってもらえるように割り振りを行いました。
分担について改めて説明しておきます。
84kb
・セリフ合わせ
・2番Aメロ映像
・2番サビ後半映像
Utopiaさん
・全編絵コンテ製作
・実写素材撮影
・イラスト
あるひま
・MIX
・映像まとめ
・音合わせ
・超てんちゃん人力ボカロ
・他の人が担当してない映像全部
わたしです【わたし】
・耳コピ
・ドラム
・あめちゃん人力ボカロ
・ラスサビ前半映像
改めて見ると、あるひまさんの負担が非常に大きいですね。
製作を行ううちに決定した役割もあるので、順を追って解説します。
大まかな構成
楽曲、素材を私が決定したので、全体の構成も私がざっくりと決めました。ストーリー性を含んだものになっています。ただ、ニディガというゲーム自体、複雑なストーリーを孕んでいるわけではなく、「病んでる雰囲気」「あめちゃんの裏表」「行動やステータスによるEDの分岐」「時々挟まる古のネット要素」を楽しむゲームだと思っているので、要素は多く拾うにしろ、文脈をめちゃくちゃ盛り込んだ!とかそういう感じにはなっていないです。
1番…超てんちゃんボーカル。人力のみを行い、とにかくかわいさをアピールする。
2番…あめちゃんボーカル。セリフ合わせを入れてガラっと雰囲気を変える。暗い雰囲気。病み要素を入れる。
ラスサビ…二つの人格が入り混じってカオスに。
といったように、まさに「これがニディガというゲームだ!」を表したような、雰囲気を楽しむ音MADとして構成を考えていました。それに加えて、ニディガの細かい要素を映像で拾っていくことで、素材への解像度を高めていこうという流れでした。
また、歌詞改変は行わずに、原曲の歌詞をニディガの視点で解釈すると言う方向で製作を進めました。
製作後半からはUtopiaさんを交えて一緒にさらに詳細な構成を考えました。映像全体の絵コンテを作成してくれたのも彼なので、間違いなくUtopiaさんなしではこの作品は完成していませんでした。
これについては最初に述べたUtopiaさんのツイートを参照してください。
構成については思いついたら都度共有を行なっていました。かなりすんなり進んだ印象です。
全体の音声について
音声の制作においては、主に私とあるひまさんで行いました。私が耳コピを行い、midiにしてあるひまさんに共有したのちに、音合わせをあるひまさんに行ってもらい、ドラムの打ち込みを私が行いました。
ドラムに使用した素材は、ゲーム内効果音もしくはゲーム内のBGMなどが主になります。(全く関係のない素材をサンプルとして使用することはしていないです。シンバルの一部はサンプルでした)
音合わせについても同様に、ゲーム内効果音などからシンセを作っています。ところどころチップチューンっぽい音作りになっていたり、「ニディガらしさ」を散りばめられたものになっています。あるひまさんはかなり立体的にMIXをしてくださっていて、これは敵わないな…と思いました。
裏音が完成するまでは一週間もかからずに進行しました。
作品解説・製作後記
1番Aメロ・Bメロ
1番は超てんちゃんのターンになります。MVみたいな感じでかわいさを詰め込んだ映像にしています。ただ、ところどころ薬とかチェーンソーとか出てきて物騒な予感だけ醸し出している感じです。
また、1番と2番、ラスサビでドラムや裏音の作りを変更していますが、1番はスネアにクラップっぽい音を使用して聴き心地を軽めに仕上げています。
原曲の歌詞を一部ニディガに寄り添って解釈したものが以下です。
「冷たい鏡面に触れた(モニター・ネットの世界に触れる)」
「微笑むわたしが居た(もう一つの自分・インターネットエンジェルとしての自分)」
「本当のわたしはどこにいるの(自我の混在)」
この1番Aメロ〜Bメロに関してはシンプルに見せることを意識して映像が作成されました。サビで一気に盛り上げて緩急をつける狙いです。(ってあるひまさんが言っていたはず)
ただシンプルながら非常に多くの情報が画面の中に詰め込まれています。そして以後も出てきますが、ウィンドウの素材はあるひまさんが作成したものになります。windows効果音の音MADなどを作っていたあるひまさんの技術が、ここで活きてきたわけです。
1番サビ
サビの直前に「†昇天†」を入れるかどうかでかなり論争したような覚えがあります。AメロBメロのシンプルさからサビで一気に盛り上げるためには、サビの直前を静かにした方が差が出るため、入れない方が音楽として捉えたときに優れていると考えられるわけです。
今回はファンアート的な面の強い作品ということで、ニディガらしさ、要素を優先して「†昇天†」を入れることになりました。
原曲の歌詞をニディガに寄り添って解釈したものが以下です。
「誰も見ていない わたしのこと(承認欲求 もっと見てほしい、注目を受けたい)」
「微睡む夜 向かい合う鏡に 夢を見たの(インターネットエンジェルとして輝くことに夢を見る) 」
「そっと目を閉じれば引き込まれるわ(そのままネットの世界に引き込まれる感じ?) 」
あるひまさんは1番サビの映像に1番最初に着手してくれたのですが、裏音が完成して約10日後にもう大方完成していました。早すぎ
不穏な要素も垣間見える
カワイイと不気味の両立が素晴らしい
1番はほとんどあるひまさんの担当区分でした。
2番Aメロ・Bメロ
2番は1番と違い、スネアの音をより重たいものに、シンバルもインパクト大のある音になっています。
2番ではあめちゃんとしての面を強く映していきます。原作においても「はいしん」を行うとあめちゃんのストレスゲージや「やみ度」ゲージが溜まっていき、場合によっては強制でイベントが発生するのですが…そういった要素を反映させています。「超てんちゃん」を演じることに対する限界、本当の自分を見てもらいたい、認めてもらいたいという承認欲求の増幅…
2番Aメロは84kbさんの担当区分になります。セリフ合わせ、映像を84kbさんに担当していただきました。
1番を人力のみで表現したため、2番でセリフ合わせをいきなり入れることで雰囲気をガラッと変える狙いがありました。84kbさんの映像に関しては、あるひまさんの作風に合わせてか、普段より穏やかめなモーションをやってくれた風に感じています。
漫画素材や楽曲など、ゲーム外からの素材を主に使用して、1番とかなり雰囲気の違った味のするパートになっています。
Bメロ、あめちゃんにボーカルがバトンタッチします。
歌詞の解釈ですが…
「取り繕おうとして歪んでいった」
「本当のわたしに価値はあるの」
2番で表現したい内容そのまんまですよね。
2番サビ
音声については、1番サビと音合わせの素材を変更することで雰囲気を大きく変えています。
歌詞の解釈は以下の通りです。
「言い聞かせて 向かい合う鏡に 嘘をついたの(病んでいる自分を隠し続けていること→嘘 超てんちゃんとあめちゃん人格のずれ)」
「想像するだけで眩暈がするわ 鏡のむこうのこと(超てんちゃんを演じる限界)」
実写素材を用いた映像に挑戦しました。
挑戦しましたって言っても映像作ったのあるひまさんですけど。
ニディガのゲーム本編において、ODをした際に実写の映像が流れる演出があります。それに関連づけて、あめちゃんパートは実写映像を用いよう!と考えたわけです。
「実写、モニターに映る私」が超てんちゃん、「現実の私」があめちゃんなわけですから、全体の構成にマッチした手法となりました。
都会の風景の撮影はUtopiaさんに行ってもらいました。その際、「反射するもの」を撮影することをお願いしていました。「鏡」が原曲の主題ですからね。
反射するあめちゃんの影、薬を大量に持った手が一人称で映されていることから、あめちゃんの視点から見た映像であることが分かっていただけるかと思います。(これは全体の映像構成を担当してくれたUtopiaさんが本当に素晴らしかった)
また、色鮮やかだった前半とは反対に、2番サビの映像はモノクロメイン、アクセントに赤色の3色を主に使用することで、落ち着いた雰囲気、暗い雰囲気を演出しました。
なお、当時ちょうど風邪をひいていたUtopiaさんの薬が余っていただけなので心配不要。
サビ後半に入りますが、こちらの映像は84kbさんに担当していただきました。OD演出から切り替わるため、完全に狂った、壊れた映像を作りたい、と考えていました。映像をあるひまさんは丁寧に映像を製作される方なので、より「狂気」を感じる映像を作るのに適しているのは84kbさんかな、と判断してお願いしました。
2番サビ後半では、ドラムの音を増やしています。「Angel yamu」のガバキックや、「Do you love me?」のアーメンブレイクを使用して、激しい音声にしています。1番と対照的なものに仕上がって最高でした。
Cメロ
ラスサビで一気にぶちあげるための落ち着いた区分です。
透き通った映像と音声が特徴的ですね。
また、ラスサビに入る直前でED演出を挟んでいます。唐突に挟むことで視聴者を驚かせる意図です。この演出はKKKANTENさんの作品を参考にしたものです。
ラスサビ
音声について、ドラムがさらに激しくなっています。「Angel yamu」の叫び声が入ったり、絶えずゲーム内効果音が流れることでカオス度が最大限まで高められています。
あめちゃんと超てんちゃん、2人での人力になります。歌詞は1番と変わらないので省略。
ラスサビの前半は「INTERNET YAMERO」の一部映像を参考にし、映像が頻繁に切り替わる演出を行いました。担当者はわたしです【わたし】、つまり私です。ややこしい不気味な映像を作るように意識しました。イメージ的にはあめちゃんと超てんちゃんの人格が混在し、ぐちゃぐちゃになるという感じ。作成した映像にはある程度参考にしたコンテンツがあるので、いくつか紹介します。
目に映したら全然見えなくなっちゃった
U19生放送でゲストのお二方が触れていましたが、後半で急に明るくなって2人が手を取り合うの、逆に恐ろしい演出になっています。ここにきてシンプルな2人構成はインパクトがすごいです。映像構成考えてくれたUtopiaさんのおかげですね。
余談
作品には反映できませんでしたが、ゲーム内で「鏡」というワードに触れているシーンがありました。
あとタイトルの「鏡に恋して」なんですが、作品を製作している途中に、Utopiaさんが「鏡のむこうでは」と勘違いして動画ファイルに「鏡に恋して」とタイトルをつけてしまったのをそのまま使用しています。すごく語感が良かったので。偶然の産物だったわけですね。
U19放送が近づいたタイミングで、ニディガのアニメ化が決定したりして色々合わさっての盛り上がりになったのかな、と思っています。ニディガで個人作も作っていたんですけど、U19で出しきっちゃったので来年以降になるかな。
ということで、U19、めちゃくちゃ大変だったけどいい刺激をもらえる企画でした。エロ丸イクイクイクイクイクイクさんありがとう。
以上になります。駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
†昇天†


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