傭兵はいつもの様に依頼された場所での警備にあたっていた。何の変哲もない、指示された場所で見張るだけの簡単なもの。羽振りのいい仕事だ。
「……暇だな」
防護と防御を兼ね備えたマスク越しに欠伸をする隣の同僚に、言葉なく同意する。たまに来るエーテリアスを除けば随分と退屈な仕事だった。一箇所に集めたジジイババアどもは銃を向ければ簡単におとなしくなるし、張り合いのなさを感じてならない。
「おい、これ終わったらどうする?」
「そうだな、また女集めてパーティでもするか?」
報酬の使い道を暇つぶしがてら話し合う傭兵の2人は、コツコツと響く革靴の足音に遅れて気がついた。2人は視線を見合わせ、すぐさま音の方向へ手に持つ小銃を向ける。現れたのは、メガネをかけたスーツ姿の男だった。
「一般人……?迷い込んだのか?」
「関係ねーよ、コイツを黙らせりゃいいだけなんだからよ」
何故ここにいるのか、という疑問は後回しに。どんな人間だろうとここを通す理由にはならないのだから。2人は銃を向ければ怯えて逃げるだろうと考えていた。
「醜いですね」
ズレたメガネを指で押し上げ、レンズの奥からこちらを見据える男の視線は、汚物を見るかの様に嫌悪感を隠さない。銃口を向けられているのにも関わらずその歩みは止まらない。
「止まれ!」
ダンッ、威嚇するように発砲。それを皮切りに一気に走り出す男はこちらに迫る。2人は一斉に射撃する。弾丸はいつも通り真っ直ぐ飛んでいき、それは間違いなく命中した。なのに──
「なんで止まらねぇ!?」
「撃て撃て撃て!!!」
一切の傷がつくことなく向かってくる男に、半分パニックになりながら撃ち続ける。そうして手の届く距離にまで来た時、瞬きの一瞬のうちに、隣にいたはずの同僚の顔を男の拳が打ち抜き、遥か後方へと吹き飛んで何度も地面を転がり瓦礫の中に埋もれてしまった。
「ま、待てッ──!」
命乞いの言葉は最後まで続かなかった。続いての第二撃の拳が、自分の額を打ち抜く瞬間を最後に、ドロドロした視界の中で意識が消えた。
「ふぅ……」
男、いやアナハイム社において秘書を務めている七海建人は一息つく。一仕事を終えた者がする安渡ではなく、まだまだ仕事があることに対する諦めや呆れのそれ。視線は物音を聞きつけこちらにやって来る傭兵達に向けられている。
「残業は御免です、気張っていきましょうか」
背中に隠し持っていた鉈を引き抜く。布を巻いた鉈はどう見てもナマクラで、とても切れそうにないものだったが、それを片手に傭兵達へと走っていく彼の姿には迷いなどなかった。
740:瓦落瓦落
こちら別動隊。行動開始しました。結構敵を惹きつけられたと思いますが
741:固形蛇
助かる。奴ら通信を聞いてそちらに駆けつけてるようだ。
742:zzzを救いたい転生者
1人で隊というのも変な話だよね
743:zzzを救いたい転生者
協力者がたくさんいるんだから実質隊だよ、うん。
744:zzzを救いたい転生者
細えこたぁ良いんだよ!
745:そけぶ
あー、報告。例の人がrandom playに入っていった。なんか扉の向こうでなんか大騒ぎしてる
746:zzzを救いたい転生者
ニコだな。っていうか>>745は学生だろ?まだ終業には早いぞ
747:そげぶ
やむ終えない事情で抜け出して客としてrandomplayにいた。しかし関係ない一般人に裏の話が漏れ聞こえてるのはいいのか店主よ
748:zzzを救いたい転生者
割とガバガバな気はするけど、リンとアキラの人徳故か、あえてスルーされてる節はあるよな
749:zzzを救いたい転生者
実際いい子だしなぁ。周りの住人がああなるのも納得というか。
750:zzzを救いたい転生者
野良のホロウレイダーから新情報。急遽発生した共生ホロウにて傭兵の姿を確認したらしい。どう見てもホロウに落ちた金庫もといfairy狙いですね?
751:zzzを救いたい転生者
原作に無かった流れだな。
752:zzzを救いたい転生者
むしろこれが正常じゃね?中身からしたらなんで赤牙組なんていうチンピラ紛いの集団に依頼してたんだよ相手は。このくらいしてもいいだろ
753:zzzを救いたい転生者
規模から組織的なものであると思われたく無かったんじゃないか?資金源とか探られたら痛いし。
754:zzzを救いたい転生者
公に讃頌会やそれに連なる企業の名前が上がることを奴らは恐れてる。いずれバレるにしても時期が悪いんだろう
755:zzzを救いたい転生者
そうか、今は選挙も控えてるからか
756:白い悪魔
そう、奴らにとって最悪の時期なんだ今は。だから原作ではサクリファイスの存在をひた隠しにして、それが過ぎ去った後の衛非地区ではサクリファイスをどんどん出していた。
757:zzzを救いたい転生者
つまり、奴らを叩くなら今しかない
758:固形蛇
こちらエーテル爆薬を積んだ列車に潜入成功。停車していたが俺が乗った途端発進した。何処へ運ぶ気だ……?
759:白い悪魔
馬鹿な、まだ早いはずだぞ!?
760:zzzを救いたい転生者
別動隊の騒ぎを聞いて作戦を変更したか?
761:zzzを救いたい転生者
不味いぞ。エーテル爆破の範囲には例の場所も混じってる。止めなきゃ
762:zzzを救いたい転生者
証拠もまとめて吹き飛ぶ。奴らの思惑通りに。
763:固形蛇
あまりにタイミングが良すぎる。これは罠かもしれん
764:zzzを救いたい転生者
それに、まだ民間人の避難が済んでない!列車が無ければ救出も難しい!
765:そけぶ
俺も動く。だけど間に合うかどうかは……
766:天才兎
はいはーい!私の出番きたかなー!?
767:zzzを救いたい転生者
げっ
768:zzzを救いたい転生者
マットサイエンティストきたな……
769:天才兎
酷いなぁ、私は思いつくままに開発してるだけだよ?
770:zzzを救いたい転生者
……うーん?あれが?
771:白い悪魔
本当に遺憾ですけど、お願いしてもいいですか博士?
772:zzzを救いたい転生者
しっぶい顔になってそう
773:天才兎
はいはーい。まっかせてー!
774:zzzを救いたい転生者
不安だ……
天井のハッチを開けて列車の内部へ侵入したスネークは、ゴトンと揺れ出す列車に片膝をつく。視界に敵の姿はない。しかし列車の揺れは周期的に続いている。ガタンゴトンと単調な音が響いている。間違いない。列車が動き出しているのだ。
「…………」
内心の動揺を抑え、そのまま列車の奥を目指して着実に歩を進めていく。動く影を見つけ、すぐ壁を背中につけ、様子を伺う。
「おい、どうなってる?まだ作戦時間には早いぞ」
「それが、クライアントが予定を早めろとの事で」
「……チッ、気に入らねぇな」
雇われた傭兵達にとっても、この動きは予想外だったようだ。この列車を止める必要が出た以上、ここで眠ってもらうしかない。そう判断し、銃を構えようとした時だ。さらに奥に続く扉から誰かが来た。
白い礼服のような服を着た男だ。ここからじゃ上手く見えないが、仮面のようなものを付けていた。
「何か問題でも?」
「……コイツは傭兵としての経験ですがね。急な予定変更は失敗を招くと忠告しておきますよ」
「失敗などあり得ない。我らが主は全てを見てくださっているのだから」
「……ふん」
讃頌会、服装から察するに幹部級ではないにせよ構成員の1人。これで完全に奴らの黒が確定だ。しかし、あくまでヴィジョンという建前で動いていたはずの讃頌会が、ここまで露骨に動くとは……。動くならここしかない。物陰から一気に飛び出して一番近い傭兵の懐へと飛び込む。銃は使わない。万が一流れ弾で積まれた爆薬が誘爆すればタダでは済まないからだ。
「ふっ!」
突然の襲撃、しかし傭兵も驚きこそしたものの硬直する事なくこちらに銃口を向ける。だが遅い。銃口を片手で抑え軌道を逸らし、もう片手で相手の襟元を掴み、足払いしながら引き倒す。装備がいかに重厚であろうと衝撃は中まで響く。激しく床に叩きつけられ気絶する傭兵。残り2人、銃は不利と悟った残る傭兵は、ナイフを取り出し向かってくる。
鋭利な鋒がこちらを刺す直前、顎を思いっきり掌底で撃ち抜きながら後頭部を床へ叩きつけて無力化した。下手な打撃よりも硬い床は使い方次第で何よりも凶悪な武器になる。
「動くな!」
残る1人、讃頌会の手下は逃げようと後ろへ走ろうとするが銃を向けて静止させる。ゆっくりと近づき、銃口を背中に突きつける。
「こっちに向け、ゆっくりとだ」
一歩一歩とゆっくりこちらに向き直る手下と目が合う。濁った目だ。信じるべき現実を捨て、盲信する事に溺れた狂信者の目だ。
「言え、貴様ら何をするつもりだ」
「何を?ふ、ふふ。救済するだけだとも」
「はっきり言え」
ガチリ、と歯を徐に噛み合わせる手下。しまったと思った時にはもう遅い。手下はゴボゴボと口から血を吐き倒れ伏す。
「始まりの主よ……さい、そうを」
それが奴の最後の言葉だった。首元に指を当て、脈がない事を確認してからその場で通信を開く。
「こちらスネーク。情報を持つ男が死んだ。どうやら口に毒薬を仕込んでいたようだ」
どうにも嫌な予感がする。信者といい、この毒薬といい、スネークが来ることを予見していたのではないかと。
『妙ですね……いや、この事態が既におかしいんですけどね』
通信しながら列車の奥に進んでいく。あれらがこの列車の警備であったようで、中はガラッとしていた。エーテルの不気味な紫色が蠢く爆薬が所狭しと左右に敷き詰められている空間を抜けていくと、ようやく操縦席へとたどり着いた。
「そちらでハッキングすることはできないか?」
『試したんですけど、完全にロックされてますね。例えるなら鍵を閉めた後に合鍵含めて全部壊したから誰も開けられない、みたいな』
「制御不可能、という事か」
試しに操作コンソールを弄ってみるも、反応はない。発進してから全ての操作を受け付けないようになっている。
「何か手段は……」
『列車なら、こう言う時のために緊急用の物理ブレーキがあるはずなんですけど……あります?』
「待て、探してみる」
手探りで操縦席の周りを見れば、赤々と目立つレバーを発見した。力一杯レバーを倒すが、手応えは薄い。
「ダメだ、ブレーキワイヤーを切られている」
『……マジですか?そうなるともうお手上げなんですけど……』
冷酷な事実を前に、スネークの心は思いのほか凪いでいた。こういった緊急事態を過去に幾つも経験し、自分が死ぬかもしれない事実を達観していたからかもしれない。それに、まだ死ぬつもりなどサラサラないのだから。
──ジジッ
そんなスネークを前に、列車の管内放送のスピーカーからノイズが聞こえる。
──聞こえてるかしら?間抜けな蛇さん?
その声をスネークは知っている。讃頌会で暗躍する要注意人物、サラだ。
──貴方なら必ず来ると思ってたわ。お陰でこうして邪魔な人物を排除できる。
「生憎、俺の死に方は老衰と決めている。悪いがキャンセルさせてもらおうか」
──あら、それは御免なさい?せっかくのプレゼントだもの、受け取って欲しいわ
その言葉を最後に、スピーカーからの声は消えた。ホロウと外を繋ぐ通信技術は特異だ。一部の例外を除き不可能。となればこのホロウ内に奴も居るはずだ。まずはここから脱出、いや、この列車を止めることを最優先にする。
「エネ、列車を比較的安全なルートに変更することはできるか?列車の操作ではなく、列車が走るレールの切り替えだ」
『それなら可能です』
「よし、あとは誘導先の選定だ。時間がない、探して欲しい」
800:電脳少女
そう言うわけなんですけど、なんかあります?
801:zzzを救いたい転生者
……むずくね?
802:白い悪魔
くそ、考えたな奴らめ。強引に進めたのもそれが目的か
803:zzzを救いたい転生者
作戦を早めたことで阻止の為動くやつを炙り出して
804:固形蛇
証拠と纏めて吹っ飛ばそうと言うわけだ。奴らにとって一石二鳥いや、三鳥にもなる。幸いなのは奴らが見ているのが俺だけな事だな。組織にまで気がついていないようだ。
805:zzzを救いたい転生者
原作のようにデッドエンドブッチャーに誘導しようにもできる奴がいない!どうする!?
806:天才兎
んー、それをするには手が足りないかなぁ。民間人の避難で手一杯。っていうか今のままだと避難完了より爆発が早いかも
807:zzzを救いたい転生者
戦闘得意なネームドは今あるメンツ以外出払ってる。今ある手札で勝負するしかねぇ
808:zzzを救いたい転生者
せめて邪兎屋がいれば……!
809:電脳少女
整理しましょう。原作のようにデットエンドブッチャーめがけて突撃させるにしても、相手の場所と相手を惹きつけて固定するメンバーがいない。エーテル爆薬は時限式でこちらからの解除は不可能。
810:zzzを救いたい転生者
そもそもなんでデットエンドブッチャーである必要があるんだ
811:白い悪魔
民間人がいる場所はホロウで、そのホロウの主がデットエンド。そいつ倒せば多少ホロウの範囲が縮小する。そうすれば民間人はエーテル侵食の危険性が減って安全に脱出可能。それが原作だったはず。
812:天才兎
あと、エーテル爆薬の威力を抑えてくれるかもね。エーテル爆薬もエーテルから出来てるからデットエンドブッチャーが多少喰ってくれるかもしれない。
813:zzzを救いたい転生者
つまり爆破範囲が減る、と言うことか。
814:そけぶ
あー、一ついいか?悪いニュースと良いニュース、どっちから聞きたい?
815:zzzを救いたい転生者
>>814いい方から聞こうか
816:そけぶ
ホロウに向かおうとした俺が例によって不幸で突如発生した裂け目に落ちてデットエンドホロウのど真ん中に落ちた。そこには猫又、原作ネームドと遭遇した。
817:zzzを救いたい転生者
なんて???
818:zzzを救いたい転生者
>>816お、おう。もう既に色々突っ込みたいが時間がない。悪い方は?
819:そけぶ
そのデットエンドブッチャーと猫又が戦ってる最中、俺が巻き込まれた
820:zzzを救いたい転生者
?????
821:zzzを救いたい転生者
なんで猫又が戦ってんだよ!?
822:そけぶ
俺も要領を得ないけど、話を聞く限りやぶれかぶれとか、そんな感じの気配がする。なのでちょっと頭冷やしてもらう。
823:zzzを救いたい転生者
……いけるか?
824:zzzを救いたい転生者
足止めしつつ誘導、いけるか>>822
825:そけぶ
やらなきゃヤバいんだろ?やるさ、その代わり、後は任せる。
826:固形蛇
死ぬなよ
827:瓦落瓦落
君がいつも相手にしている雑魚とは話が違います。決して油断しない様に
828:そけぶ
大丈夫大丈夫。旧都陥落で似た様なことした事あるし。妙な剣持った人助けた時だったかな
829:zzzを救いたい転生者
なんて????
830:zzzを救いたい転生者
今とんでもなく重要な事言わなかった???
831:zzzを救いたい転生者
ええい後回しだ!とにかく頼んだぞーッ!!
832:zzzを救いたい転生者
ネームドほどじゃねぇが俺たちも出来ることをするんだ。避難先の用意とかするぞ!
833:白い悪魔
炊き出しの用意とかお願いしたいな。場所の提供は僕がする。
834:zzzを救いたい転生者
了解!
【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること!
転生者その9
掲示板ネーム天才兎。作品や見た目はまだ内緒。アナハイム社の技術主任で問題児。浪漫を求めてさまざまな兵器や武器を開発している。殆どがお蔵入りになるくらいヤバいものだが、一部はダンテなど使える人が持ち出している。元ホワイトスター学会出身。倫理観とかその辺ぶっ飛びすぎて追放された経歴を持つ。