ハッピーエンドを目指して   作:上条@そぉい!

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そげぶ

 終業を告げるチャイムが響く。それは学生にとって福音であり、自らの自由を謳歌する合図だ。一人、また1人と校門を抜けていく。その中にサメの尻尾でビタンビタンと地面を叩きながら歩く少女がいた。その足音もズカズカと、何処か不機嫌そうなものだった。

 

「……最悪」

 

 ポチポチと携帯のディスプレイを指で叩いていく少女の目はどんどん鋭さを増していく。それは次第にピークへと達し、爆発するかと思われたがその前に萎んでしまう。

 

「はぁ……」

 

 今日は金曜日。土日を挟んで月曜までの学生にとって長い休みだと言うのに、いつも絡む友人は皆用事で都合が合わないときた。いつもならめんどくさいくらい絡んでくる友人達がいない事に何処か寂しさを感じながら、いやいやと首を振る。

 

「えー……どうしよっかな」

 

 咥えた棒付きキャンディーを口の中で転がしながら思案する。適当に人捕まえてカラオケでも行こうか、と。だが今の気分で行ったところであまり盛り上がるとは思えなかった。却下だ。

 ではいつも行く喫茶店は……1人じゃつまらない。バイトまでは時間があるし、何かで暇を潰したいところだった。仕方なしに普段歩く道にある自販機で飲み物でも買おうと足を運べば、そこには誰か居た。

 

「げっ」

 

 思わず声が漏れた。飲み物の取り出し口に顔を捩じ込むようにして覗くツンツン頭の少年がそこに居たのだ。彼とは残念ながら顔見知りだ。同級生であり自分がバイトで働いてる姿を見られている、というのもあり良い印象が無かった。あとなんかいっつも災難に遭ってる気がする。

 

「あれー?全然出てこないんだけど……」

「何してんの」

 

 こちらに背中を見せ自販機に夢中な彼に声を掛ける。思いのほか棘がある言葉になってしまったが本人はそんな事気にしないだろう。

 

「ん?その声は……ってなんだサメイドか」

「その呼び方、辞めてって言ったよね?」

 

 腕を組み、カツカツと靴音を鳴らして威嚇する姿に彼は怯んだ。

 

「っていうか退いてくれない?自販機使いたいんだけど」

「ん、ああ悪い。だけど気をつけろよ、その自販機壊れてるからな」

「は、なにそれ」

 

 横に退く彼を見る。肩を竦めてこちらを見る顔は何処かうざい。

 

「さっき金入れたんだけど、うんともすんとも言わなくてな」

 

 なるほど、だから変な事をしていたのか。今この自販機はただ金を喰うだけの機械となっていると。

 

「……めんどい」

 

 金を入れ、尻尾で自販機の側面を強めに叩く。ドン、と子気味よく響いた音と共に、ガラガラと飲み物が取り出し口に落ちてきたので取り出してみれば、自分が買ったものとは別のものも落ちてきた。

 

「はい、これ」

「うわ……って、ん?俺にくれるのか?」

「だってアンタの分でしょ、これ」

 

 温いそれのラベルを見れば『炭酸おしるこ』と書かれていた。よくもまあ見てわかるような地雷商品を買おうとするものだと思う。

 

「え、俺これ頼んでないんだけど……不幸だ……」

 

 項垂れて諦め、缶を受け取った彼はこの缶の処分をどうしようかと悩み始める。私はそう言えば、と。確認の為に聞いてみる。

 

「私の事、言ってないよね」

「言ってねーよ、言ったらどうなるか怖えから」

 

 彼には以前、バイト中の姿を見られている。ホロウ内で何をしていたのかと思えば、武器も持たず拳一つでエーテリアスを一撃で消し飛ばした姿には驚かされた覚えがある。うちの学校の制服だったから厳しく口止めしたが、やはり不安なものは不安だ。学校にバレたら、と想像するだけでめんどくさい。

 

「で、俺はなんて呼べばいいんだ?」

「……言わなかったっけ」

 

 首を横に振る彼に、あの時言いそびれたっけ、と改めて……改めて言うのなんか恥ずい。

 

「内緒で」

「内緒!?」

 

 何か文句でも?と尻尾で地面を叩く姿に相手も閉口する。

 

「そう言えば、アンタあそこで何してたの?」

 

 出会った時の事を思い出す。あの時はバレるかもしれないという焦りで思考の外だったが、今考えてみれば何故あそこに居たのか。学生でホロウレイダーなんて余程の事情が無ければならない。では何かに巻き込まれたとかと言えば、そう見えなかった。

 

「あぁ、人助けだよ」

「人助け?」

「子供が迷子でホロウに迷い込んだみたいだったから、たまたまそれを見ていた俺が助けに行った」

「なにそれ」

 

 ホロウは学校でも習うくらい危険な場所だ。資格もなく入ればそれだけで犯罪となるし、ホロウ内部の危険性など言うべくもない。治安局にでも通報すればいいのに、人が良いのかお節介と言うべきか。

 

「好き好んであんな場所に行くわけねーだろ?」

「それもそっか」

 

 しかし、その割にはエーテリアスとの戦闘に随分と慣れていた様に見えたが……今時流行りのVR訓練か何かで覚えていただけかもしれない。

 会話していたら、ポケットに突っ込んでいた携帯がプルプルと震える。取り出してみれば、バイト先のボスから連絡が来ていた。もうバイトの時間か。

 

「それじゃ……えーっと、名前なんだっけ」

「お前は聞くんかい!上条だ、上条当麻」

「そ、じゃあね」




【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避ける



転生者その6
掲示板ネームはそげぶ。作品はとある魔術の禁書目録。元祖男女平等パンチの使い手。しょっちゅう不幸によりエーテリアスとの戦闘やホロウレイダーなどに巻き込まれて戦ってきたので割と場慣れしている。右手のアレも健在だが中条さんはいないかも知れない。
実は出席日数が足りず留年している。旧都陥落の時はまだ幼かったが、とある姉妹を救ったことがある。本人に自覚はなし。
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