仕事の帰り道で、子供が泣いているのを見つけた。交差点を行き交う人々はその子に目を向ける事なく各々の目的の為横切っていく。義憤を覚えながら、泣きじゃくる子供に、膝をついて目線を合わせ聞く。
「どうしたんだ、何処か痛いのか?」
「うぅ……お兄ちゃん、誰……?」
茶色の革ジャケットを着た男を見て、少女は尋ねた。よく見れば、泣きながらも背負われたリュックに取り付けられた防犯ブザーの紐に手が掛かっている。しっかりしているというか、強かというべきか。慌てて男は自己紹介する。
「俺はレオン。怪しい人じゃないから安心してくれ。これでも元治安官だ」
サラサラとした金髪の間から覗く目は信じて欲しいと語っている。子供は素直でありながら、何処か真実を見抜く目を持っているものだ。小細工などあっという間にバレる。ここは素直に話すのがいい。レオンはそう判断して尋ねてみた。
「その様子じゃ怪我って訳じゃなさそうだが……迷子か?」
「うん、道に迷って……」
「何処に行きたい?」
「ルミナスクエア」
その言葉に、随分と迷ってしまったのだなと思った。ここは六分街だ。ルミナスクエアからは結構離れた位置にある。
「参ったな……」
車でも乗っていればそこまで送る事も出来たが…あいにく今日は違った。どうしたものかと考え始めたその時だった。
「如何したか、レオン」
若い、しかし老獪さを感じさせる話し方で声を掛けられた。この声には覚えがあったレオンは振り返る。そこに居たのは、治安官の朱鳶と青衣の2人がいた。よく見る二人組のコンビだ。レオンとは顔見知りだ。しかし。
「どうも、レオンさん」
「……ああ」
相対する朱鳶は何処か冷たいというか、よそよそしい態度だった。レオンもまた、歯切れが悪い。
「ふむ、朱鳶よ。見たところ迷子の子供の様だ。我はレオンに話がある故先に向かって欲しい」
「もう、先輩」
そう言って戸別訪問から逃れるつもりじゃないですよね?という圧のある目を向ける朱鳶だったが、レオンがいるこの場に少し後ろめたさがあった。なので仕方なく子供を保護し、その場を後にする。その後ろ姿を2人で眺めていた。
「……助かった」
「まだ仲違いをしておるのか」
咎める様な事を言いながらも、そこに責めるような色はない。むしろ呆れているような、そんな声色だ。
「仲違い、って訳じゃないんだがな」
朱鳶は正義感の強い人間だ。真面目で規律正しい、模範となるべき治安官。治安官を志した理由も、かつて自分が助けられたからだった。しかし、レオンはその助けられた相手をよく知っていたが故、つい言ってしまったのだ。
──治安局の英雄、ね。本当にそうか?
尊敬する人を貶されたと怒った朱鳶と言い争いになり、その後疎遠になってしまったのだ。だが、レオンも言葉を撤回する気はなかった。レオンは過去を知っている。旧都陥落の時、彼がした所業を。あれを知る者は自分しかいない。だから言ったところで信じられることはないだろうが。
しかし朱鳶も何処かで思っているはずだ。今もニュースなどで見るブリンガー長官にかつての輝きがないと。
「なんにせよ仲直りをして欲しいものだ。毎回こうでは我の擁護も限界がある」
「善処するよ」
「しかしお主、久々に会ったが随分と様変わりしたではないか?今は何を?」
レオンは治安官を旧都陥落後、辞めた。元々旧都陥落のあの日、勤務初日だったから実質的に治安官であった期間は無いに等しかったが。
「そうだな、今は新エリー都市営直属で色々やってるよ」
「ふむ」
細々としたところを濁しているあたり、あまり口にできる事ではないのだろうと青衣は判断した。
「壮健そうでなにより。お互い危険も多いだろうが気張って行くとしよう」
「そうだな……この後仕事か?上手いラーメン屋があるんだ」
「いや、やめておこう。お主と茶をしばくのには惹かれるが朱鳶に釘を刺されてるのでな」
「なんだ、また自動応答で誤魔化して怒られたのか?」
笑いながら聞いてみれば、青衣は目を逸らすばかりだった。別に悪いとは言わないが、真面目な朱鳶からすると余り良い目では見れないのだろう。
「そうだな、六分街には俺の知り合いがいるんだ。そこなら茶でも出してくれるんじゃ無いか?レンタルビデオ屋なんだが」
「ああ、あの2人か。そうさな、少し寄ってみるとしよう」
そうして、2人は別れた。
【ルール】
・自分の転生キャラになりきること(解釈違いを恐れるなかれ!)
・キャラ達の原作でやらない行動はできるだけ避けること
転生者その2
言わずと知れたゾンビもの主人公レオン・S・ケネディ。見た目は4の時のもの。旧都陥落の時にはそれはもう2の時みたいな脱出劇があった。リンとアキラにもその時出会っており、ヘーリオス研究所を3人で脱出した。もちろん列車で。