ホシノに殺された俺。どうやら先生の弟だったようなので、とりあえず黒服とお茶会してみた   作:ラトソル

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ヒフミが仮面付けてたメグルを初見で見抜いたのは刀じゃなくて普通にメグルを見て見抜いてます。ヤバいですね。
多分これと同じことが出来るのはユメ先輩ぐらい。一年生ホシノでわんちゃんいけるか……無理か。
あとは目の前で先輩二人失って脳破壊された狼ぐらいじゃないですかね。


一件落着とはいかないんですよねぇ

 ビルの屋上からこんにちは。どうもどうも■■廻だよ。

 

 空は雲ひとつない晴天。これぞまさに青天の霹靂ってね! 使い方あってるか知らんけど。

 主人公すぎるヒフミの宣言と、厨二心を爆発させたかのような兄さんの行動。どうやら彼らの勝利のようだ。アツコ達は敵ポジだったんだね、どうせ兄さんに攻略されるんだろぉ? 未成年にしか手出してないなあの人、冷静に考えてヤバいやつか? 

 

「カイ……」

 

 地上からの数多の視線を一身に受ける。これだけ注目されたのはいつぶりだろうか。まあアリウスとの訓練で似たような人数相手にしてたけど、それと意味合い変わってるからねこの場は。

 

 というか、ヒフミとアツコ以外から向けられる視線がだいぶベクトル違うんだよなぁ。警戒マックスすぎる。俺なんもしてないよ。嘘、サオリ達はボッコボコにしたわ。

 

 アホみたいな顔したホシノも気になるが。とりあえず、投げた刀を回収しないとね。

 

 刀が突き刺さっている地点へと移動。目が追いついていないのか、まだ俺が居たビルに視線を向けたままのサオリの肩に手を置きながら刀を抜き回収。

 

「っ」

 

「お前らの負けだよ」

 

 ビクッ、と跳ねるように動いた肩。目線以外の全てが停止したように、サオリはゆっくりと俺の方を見やる。

 後悔、憤怒、妬み。色々な感情が混ざったような表情で歯噛みしている。

 

「……いいや、まだだッ!! まだ終わっていない!」

 

 形勢は完全に逆転した。けれど、サオリは諦めることがない。諦めてはいけないのだと吠える。

 銃を握りしめてそう言ったサオリの言葉を聞きながら、ふと感じ取った視線。

 

(遠くから視られてるな……この感じ……マエストロさんか)

 

 覚えのある感覚に、恐らくマエストロさんが監視していることを感じ取る。視られてるのは俺と……アツコか? なんで? そして当然のように兄さんの事見てるんだろうなぁ。人外からも好かれてるね、愛情受け止めろよ兄さん。

 

 もしやベアトリーチェさんからもアプローチを受けたりして。老害ババアはキチィぜ。俺を巻き込まないでいただきたい。

 

「ミサキ、ヒヨリ。お前達もだ。これ以上は無駄だと分かるだろ」

 

「脚動かないんだけど」

 

「めっちゃごめん」

 

 ん〜、腱斬るのはやりすぎたね。冷静になってから考えたら普通にやべぇよ。というかそんなに冷静じゃなくなってたのか俺。馬鹿だな。あの時学んだだろ。後先考えずにキレて行動してもロクなことにならないって。

 しっぺ返しは絶対くる。あの時は、全身ズタボロからのトドメの一撃で死んだわけだが。

 

「後で治すから許してね」というニュアンスのことを言っておき、アツコからのじーっとした視線を跳ね除けて、対処しなければならない問題へ立ち直る。

 

「────はじめましてかな、先生?」

 

「……あなたは、一体何者だい?」

 

『カイ』として会うのは初めてだからあながち間違いでは無いだろう。どうせ仮面が音声を自動変換してくれるんだから口調を気にする必要は無い。ロールプレイと思っておこう。

『なんちゃらの先生』、みたいな肩書きだった気がするけど、どこ所属か聞いた気もするし聞いたことない気もする。というか知らないからとりあえず先生とだけ言っておこう。

 

 生徒たちの前に立ち、代表として話してくる兄さん。その瞳は、身内に向けてるとは思えないくらいに警戒心を多分に含んだもので、それを見るだけでこの仮面すっげぇと思える効果だ。

 

 ただ一人、事情を知るヒフミはあたふたしてたけど。なんか申し訳ないな。

 

 さて、俺が何者か、か。どう答えたものか。

 こういった場面を想定したことはなかった。兄さんと対面する気は無かったのだから。この状況はかなりイレギュラーと言っていいものだろう。

 

 まず、正体を明かす気は全く無い。黒服さんからは好きに生きて構わないと言われているが、そうすると契約内容が一部守れなくなるし、恩人であるあの人の手伝いくらいはしようと思ってるし。

 というかそもそも、現時点でアビドスに帰ろうという気が無いのが一番の要因か。ユメ先輩とホシノがいるなら大丈夫でしょ。今更死んだ人間が生き返ったとかいう厄ネタ持ちかけられても困るだろうし。大人しく死んどくよ俺は。

 

 となれば、自己紹介はシンプルにこれでいいか。

 頭の中で文を作り、俺は兄さんに向かって背筋を伸ばすことなく、腰に手を当てて身体を軽く傾ける。

 

「周りからは『カイ』って呼ばれてる。呼びたかったらそう呼んで……何者、と言われると少し困るな……まぁ、黒服さんの協力者、ってとこかな」

 

「……黒服……ッ」

 

 嘘は言ってないよね。というか全部本当だし。うんうん、正直ものだね俺。だからそこ、『うわぁ』って顔するなヒフミ。敬礼もするな。なんで分かるんだよ俺の考え。テレパシー? 

 

「勝負はそちらの勝ちだ。おめでとう、先生。もう帰っていいよ」

 

 何が勝ちかは知らんけど。とりあえず勝ったんでしょあなたたち。はい、解散解散。ちょっと疲れたから俺も帰りたいんだよ。兄さんも早く寝たいでしょ? 寝るの好きじゃん。

 相手を思っての提案だったけど、兄さんは何故か引く気は無いらしい。なんでやねん、はよ帰れ。

 

「私は……彼女達と話があるんだ。今帰るわけにはいかないよ」

 

 身内がナンパしようとしてる現場に居合わせた件について。

 もう堕とそうとしてるのかよ兄さん。手出すの早いよ。ギャルゲーなのかこの世界。R18? 

 

 あー、でも、そうだな。こいつらを兄さんに預けるのは割とありかもしれない。害悪ババアことベアトリーチェさんはこういった作戦失敗を許す人なのだろうか。否、人ではない。ゴミクズです。

 ノコノコと四人を帰らせて粛清タイムが始まるのは後味悪いし、この状況を作ったベアトリーチェさんに一切のお咎めなしなのも少し腹が立つ。ちょっとぐらい意地悪してもいいと思うわけですよ。

 

 まあ結局は彼女達の意思次第だが。

 そう思い、とりあえず振り返って四人に聞いてみる。突然の選択肢に戸惑う三人。相変わらず表情の変わらないアツコが口を開く。

 

「カイはどっちがいいと思うの?」

 

 俺に聞くな。自分で決めろ。

 

「姫っ、声が……」

 

「今更だよ、サオリ。それに、もう彼女は私達の処分を決定してるだろうし」

 

「いや……だがっ!」

 

 突然始まった口論。いや、口論ってほどでも無いか。

 アツコが淡々と語って、サオリが熱く何かを語る。本当に焦っているな。よほどベアトリーチェさんの恐怖政治が身に染みているのだろうか。やっぱあの人クソだな。世のために死んだ方がいいのでは? 眼一個ぐらい潰してもバレないでしょ。

 

「俺にあなたの選択を縛る権限はない。好きにしなよ、先生────」

 

 干渉は最小限にしようと何となく決めている。

 だから兄さんの決定に異を唱える気はないし、あの四人のためにもなるのかもしれない。

 

 ベアトリーチェさんからの隠れ蓑としては正解に近いだろうし。

 そう思って兄さんの言葉を肯定しようとした時、俺は刀を抜き、向かってくる弾丸を斬り落とした。

 

 一度の発砲音。

 祭りの如く鳴り響いていた銃声に比べれば小さなものでも、今この場においてそれはあまりにも大きな音と存在感を放っていた。

 

 知っている。この銃弾の感触。

 

「…………返せ」

 

 あの、あまりにも目立つパッションピンクの銃を。

 俺の知るものとは長さが違えど、その薄桃色の髪を知っているからこそ。

 

「……返せッ」

 

 その声は、あの日。

 ユメ先輩が消えた前日に初めて聞いた、彼女の低い叫び声と似ていたから。

 

 俺に向けられていた視線が、全て彼女一人に集約される。

 カタカタと震える腕、荒い呼吸で上下する肩、長い髪で隠された目元。

 

 その小さな身体からは考えられないほどの覇気を放つその少女は、この世でただ一人の俺の同級生。

 

「────返せぇぇぇえええ!!!!」

 

(俺のです)

 

 アビドス高等学校、現三年生である、小鳥遊ホシノ。

 血走った瞳を向けてきた彼女は、俺の持つ刀を見てそう叫ぶ。

 

 もう一度心の中で言っとこうか。

 

(俺のです)

 

 謂れのない疑いが、俺をおそう。怖っ。ガチギレじゃねぇか。あんなホシノ見たことないぞ。

 

「ホシノ先輩!?」

 

 うわっ、先輩って言われてるあいつ。なんか感動だわ。感動してる場合じゃねぇな。殺意ビンビンなんだけど。また殺されんのかあいつに。いや、死なないけどね。ブラックジョークってやつさ☆

 

 とまあ冗談は置いておいて。

 

 馬鹿みたいに飛びかかってくるホシノ。もう周りが見えていないのか、銃を乱射して俺の逃げ道を塞いでくる。射線上にいるサオリ達を抱えて一時後退した後、安全圏に四人を置いてすぐに俺もホシノの元へと接近。獣のように襲ってくるホシノの銃弾を全て避けて刀を振るう。ホシノの愛銃と俺の刀が衝突、金属音を鳴らして互いに停止する。

 

「返せっ、その刀!!!」

 

「お前のじゃないだろう」

 

 歯を剥き出しにして、浅く息を吐き続けるホシノ。力つっよ。脚の骨が悲鳴をあげてるんですけど。やっぱ競り合いになった瞬間俺は最弱だな。

 刀を押してホシノを弾き、挨拶代わりの蹴りを叩き込むがその程度の攻撃はもちろんホシノは銃でガード。

 

 なんで俺ホシノと戦ってんの、マジで。どこで狂った? 

 

「今は俺のだ」

 

「ッ……黙れぇぇえええ!!!」

 

 ホシノの叫び。目をかっぴらいて歯を剥き出しにして。これでもかという魂の雄叫びはただそれだけで衝撃波を巻き起こして四方八方見境なく破壊の波が襲う。

 

 震脚。波には波をぶつける。

 瓦礫の山で足元が覚束無い中、それでも強く踏み締めた脚。その力は瓦礫を貫通し、その底に眠る大地へと伝播。跳ね返ってきた衝撃波がホシノのそれとぶつかり合い相殺。

 

「ぐっ」

 

 俺とホシノの間にあるそれは消えても、離れた位置にいる生徒たちにはダイレクトに伝わる。共鳴した二つの衝撃波は威力を増幅させて彼女達の元へ届き、恐らく三半規管の揺れによる目眩や立ちくらみで膝を突く。某覇気みたいな感じなってるけど大丈夫そ? 

 

 震脚による衝撃波。効果はそれだけにとどまらず、瓦礫の山を一撃で粉砕。ついでに俺の脚も粉砕。弾け飛んだ瓦礫に足場を無くしたホシノは体勢を崩されることを余儀なくされるも即座に反転して空中の瓦礫を足場に飛び跳ねる。

 右脚から噴き出した血液にズボンが濡れて僅かな重みを感じつつ、死角からこちらを狙うホシノの弾丸を屈んで避ける。

 

「チッ!!」

 

(舌打ちデカ)

 

 あいつ俺の事殺しに来てない? どれだけ欲しいんだよ俺の刀。一応同級生の形見だから返せよ的なあれか? だとしても話し合いの前に銃が出てくるあたりキヴォトスクオリティと言わざるを得ないね。

 

 刀を納め、徒手格闘による制圧。

 ガンギマリのホシノの懐へと一息で接近し、銃を持つ方の手首を握る。耳元で鳴り響く発砲音に鼓膜がジンジンと痛むのを感じながら、蹴りを放ってきたホシノから回避することなく、手首を起点にホシノの身体を振り回して地面へと叩き付ける。

 

「かハッ、!」

 

 普通に強いんだよなこいつ。正面衝突で鎮圧するのは骨が折れる。というか実際に骨砕け散ってるんだよなぁ。治ってるけど。

 

 肺の中の空気が一気に外に吐き出されて、チカチカと点滅する瞳孔に一時的に行動不能へと陥ったことを確認して、ホシノの持つ銃を取り上げた上で顎先目掛けて鞘を振るおうとした時、横から放たれた弾幕の嵐に流石に大きく飛び退いて回避する。あれホシノにめっちゃ当たってない? 同士討ちかよ怖っ。

 

「アレ、メグルくんの物なの?」

 

「……かはっ、ゴホッゴホッ……ひな、ちゃ────」

 

「さっさと答えて。吐き気がする」

 

「……う、ん……そうだよ」

 

「────そう」

 

 次から次へと、なんなんだこの子達。殺意高すぎじゃね? 

 鳥のようにふわりと舞う少女。その子は直近でボロボロになっていたところを俺が助けて安全地帯へと運んだ子と同じ顔をしていた。

 体積がありすぎる白い髪。デフォルトで鋭いのだろう瞳。身長はホシノと同じぐらいで小さい。けれど、放たれる覇気はホシノ同様、この世界の中での上澄み。

 

 身長と実力が反比例する世界なのかここは。ということは、自称生徒会長とか吐かしてるベアトリーチェさんは身長高いからクソザコということになる。小指で勝てそうだなあの人。突いたら爆散するんじゃね? 

 

「その刀」

 

 そんな妄想を膨らませていたところで、その少女から声がかかる。反応を返す俺に、その子は言葉を重ねる。

 

「私の大切な人の形見なの。悪いけれど、返してもらえるかしら」

 

 おっと、この刀の持ち主を誰かと勘違いしていらっしゃるようで。

 あの子と関わった記憶無いしなぁ。大切とか言ってるし、相当な関係値築いてるだろうし。似たような子はいた気がしないこともないこともないけど、二、三回しか話してないしなその子。じゃあ別人か。

 

 しかし、まず話し合いという手段をとったこの子には賞賛の嵐である。どっかの脳筋共とは違うね。まあ初手でマシンガンぶっぱなされてる訳だが。そこは目を瞑ろう。

 

 そして、返してくれと言われたからには、返答は変わらずひとつ。

 

「それは無理な相談だな」

 

 相手が変わったから言い方も変えてみた。意味は変わらず拒絶だが。

 

 そして、そんな俺の返答を聞いた少女は。

 

「────なら」

 

 ホシノがなっていたように。

 その子を中心に吹き荒れる嵐。威圧とも違う、質量を伴っての現象。

 

 小さな瓦礫の破片が飛び散る。重量感のある白髪がなびく。

 近くに倒れているホシノが目を見開く。俺もまじで面倒な流れになってきたなと息を吐く。

 

「力ずくで奪う」

 

 奪うって言ってやがる。野蛮人だわ。

 深紫の瞳が一層輝く。他の子達に比べても異質なヘイローがバチバチと電気を帯びたかのように蠢く。それに呼応するかのようにその子から発せられる風が強まっていく。

 

 正直、周りの被害も考えないといけないか。

 俺は安全地帯だった場所で固まる四人に声を掛ける。

 

「一旦離れてろ。逃げてもいい」

 

「どういう────」

 

「ベアトリーチェさんはお前達を逃がさないだろうよ。逃げるなら早い方がいい。手伝えるかは分からん」

 

「随分、余裕なのね」

 

 囁かれるように聞こえた少女の声。

 距離は取っていたはずだけど、その子にとってはあってないようなものだったらしい。というかその銃デカすぎるだろ、スナイパーライフルか機関銃レベルなんだけど。よくそんなもん持ち運べるなバケモンか? 

 

 至近距離で乱射される銃弾。紫の光を帯びたそれらは一撃一撃が戦車の装甲を貫通できるだろう威力だと見て分かる。

 

「実際余裕だからな」

 

「っ」

 

 周りの被害考えてんのかこいつ。俺には当たらないから良いけど。兄さんはどうせ身体能力ノミだから避けられないぞ。まああいついるから大丈夫かな。

 キヴォトス人でも卒倒しそうな威力の弾丸の雨から回避し、その子の背後へと回る。大きすぎる銃は小回りが利かない。振り返ろうとするその子のスピードは遅く、いくらでも対処のしようがあった。

 

(硬いな)

 

 キヴォトス人の骨格ほんと硬すぎ。というか皮膚も銃弾通さないのバグだろ。軽く触れたらあんなに柔らかい肌なのに。何、ゴム人間ですか? 武装色ですか? いつから海賊漫画になったんだこの世界は。

 

 キッと睨みつけてくる。それだけで紫色のオーラを纏った風が吹き荒れる。なんなんこれ。青春の物語どこいった? もっかい言ってくれヒフミ。

 

 風に身を任せて後退。ぶわっと浮かんだ身体に、翼を広げたかのように飛翔したその子は俺の頭上から銃を構える。

 

「返して」

 

 紫色のエネルギーのようなものが集約。とても発砲する前とは思えない装填。

 

「お前のじゃないだろ」

 

 円を描くように放たれる弾幕。もはや極光としか捉えることの出来ない暴力。それをじっくりと観察し、避けた方が早いなと判断するもここは空中。面倒ではあるが、全ての弾丸を斬り飛ばした。

 

 俺の真下の地面へと斬られた弾丸が着弾していき、砂埃が巻き上がる。無傷の俺に僅かな驚愕を浮かべる彼女の手に向けて斬撃を放つ。

 

「ッ!!」

 

 距離を加味して動いていたのだろう。俺の刀が届かないと思っていたのだろう。残念、届くんだなこれが。

 というか、結局武力なんよなこの世界。話し合いもうちょい継続しようぜ。てか帰りたい、切実に。

 

「ヒナ委員長っ!!」

 

「下がってて、アコ」

 

 出来るだけ傷を負わせないようには意識して振るったが、ミスったかな。行動不能にまで至らせるダメージを想定しないとここの奴らは倒れない。その中でも恐らく目の前の子は最上位クラス。打ち合った感じ、ホシノのちょい下ぐらいか。

 

「手よりも先に口を動かせよ。説得するっていう手段は無いのかお前たちは」

 

「……アレと一緒にしてるような言い方はやめてもらえるかしら。不愉快よ。それに、あなたはその刀を手放す気は無いのでしょ」

 

「無いな」

 

「……お前、達は……どうして、いつも、いつも……ッ」

 

 説得させるように説得するとか脳みそバグりそう。話し合いの余地は無さそうで、何度目の溜息かも分からないほどに呆れ返っているが、ここへ加わってくるホシノ。

 

 ん〜、殺気やばいね。肌がチリチリするわ。

 

「睨むなよ。ビビるだろ?」

 

 ……ああ、そうだ。ちょうどいい。ずっとホシノに言いたかったことがあったんだ。

 今はメグルではなくカイとしてだけど、間接的にも彼女に伝えておかなければならないと思ったから。

 

 ボロボロのからだで、けれど白い子以上の覇気を放つホシノに俺は告げる。

 

 それは、謝罪。

 

「お前は悪くないよ、小鳥遊ホシノ」

 

「何を言って────」

 

 申し訳ないなと、あの時からずっと思っていたから。

 

「銃如きで死ぬやつが悪い」

 

「────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────は?」

 

『死』という概念が遠いこの世界。

 例外であり異質な俺という存在のせいで人殺しになってしまったホシノ。

 

 殺人なんてそれこそ数年に一度という規模だろう。そんな大罪人と言えてしまう立ち位置に、ホシノは立たされてしまった。俺のせいで。

 

 だから、いいたかった。お前のせいじゃないぞ、と。

 

 身体が一般人の枠にすら入ることの出来ない脆弱な俺が悪いんだと。

 

 ふー、スッキリした。

 満足気な顔でホクホクしながら前を向く。

 

 表情消し飛んでますやん。

 

「は?」

 

 キミもか。

 

 本当に、無。なんだろうな、目とか鼻とか口とかついてるのにそれらのパーツが全部死んでるぐらい表情抜け落ちてるんだけど。

 そして君もか。今ホシノに対して言ったんだよ。なんでそっちの子もそうなってるの? ていうかなんでそうなるんだよ、ただの謝罪だぞ。

 

「…………小鳥遊ホシノ」

 

「…………なあに、ヒナちゃん」

 

「本当に、心底、とても嫌だけど────今だけは、共闘よ」

 

「ありがとう────アレは、存在しちゃいけないやつだ」

 

 めちゃくちゃ言われてる。陰口はバレないところで言え。傷付いちゃうだろ。

 

「────私も手伝うよ」

 

 完全に俺を敵だと認識した二人。刀を奪うことから、俺という存在を排除する方針に切り替えたのだろうと分かるほどの殺意。

 

 そして、面倒極まりない存在が二人の後方に現れた。

 

「……先生」

 

「私も────あの人に聞きたいことが出来てしまった」

 

「……へぇ」

 

 身体能力自体は元の世界での一般人でしかない兄さん。

 以前に考察したように後方支援か、司令塔的立ち位置なのか。

 

 二人の表情を見るに、兄さんの介入は望ましいもの。つまりは完全なバフ要員。

 

 ■.■.■.■.■.は性格悪いからな、マジで。あいつが介入してきたらちょいだるい。

 

 生徒には優しい目で諭す兄さん。目の前の存在が、それと同じとはとても思えないほどに、俺へと向けられる目線は鋭い。

 

 ホシノから俺の話を聞いたのだろうか。ホシノを糾弾しなかったことには感謝しとこう。

 

「行くよ、ホシノ、ヒナ」

 

「「了解」」

 

 なんで悪役になってるのかね、俺は。関わるつもりはなかったんだが。敵対なんて以ての外だし。

 この仮面がこういったデメリットを持ってるとは。それにしても敵意が強いな。仮面の影響か? 変なオーラ出てなければいいけど。

 

「待ってください!! その人は────」

 

 唯一、事情を知るヒフミ。

 彼女は俺と兄さんの関係性も知ってるし、黙っててくれということも守ってくれてる。けれど、彼女がさっき言っていたハッピーエンドにこれは該当しないからこそ、俺との約束を破ってもこの場を収めようと動いてくれた。

 

 マジで優しいよ、お前。だから俺は、左の手のひらをヒフミに向けて制止する。

 

 ビクリと震えるヒフミ。よく見れば、瞳が僅かに潤んでる。

 どうして、と言いたげな顔で俺を見る。だから俺は、小さく頷く。

 

 どちらを取ればいいのか、思案して、熟考して……そうして、小さく頷いて下がってくれたヒフミには後で礼を言わないといけない。

 

 そして、そんな俺のことを目の前の3人は待ってくれない。

 

「ホシノは牽制しつつ前に、ヒナは援護を!!」

 

「盛り上がってるとこ悪いんだけど」

 

 まあ、でも。

 

 僅かに浮いた刀を押し、鞘へと収める。キン、という心地の良い音が響くのと同時に、二人の少女は崩れ落ちた。

 

「────もう斬った」

 

 全て終わってるんだから、関係ないな。




こんな長くする予定じゃなかったんで斬ります。ズバズバ。

メグルくんは敵対するの嫌だなーとか思ってるけど、自由に生きていいよって黒服から言われたこともあってロールプレイをちょっと楽しんでる節はある。

この仮面は凄いんよ。見た人が装着者に対して悪意を増幅させる機能ついてっから(ゴルコンダが悪い)
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