数オリに有用な議論、考え方、幾何の構図描きだめ

数オリの問題は難しく掴みどころがないように思えますが、解けば解くほど使える手が増え、手を選ぶのにも慣れてきます。
もうすぐ数オリの本戦ということで、今回はそのような手達についておさらいしたいと思います。
特に、数オリの本番直前に「あ〜こういう方針もあったよね」と見ていただけるとありがたいです。
(現在編集中)



複数分野に跨がるor分野に関わらず有用な考え方

1.内部パラメータ(主にA,C)

ゲーム的操作が有限回で終わること、数列が十分先で何かしらの性質を満たすことなどを示すのに有用な考え方として、「内部パラメータを設定して、その単調減少性を示す」があります。
非負整数値しか取らない内部パラメータが0になるとゲームが終わる、もしくは特定の性質を満たすようになる…ということが言えるように、内部パラメータを探すと思いつきやすいです。
逆に単調増加な内部パラメータを考え、ある値を超えると…という議論も可能です。

この内部パラメータは明らかなものであったり、工的で工夫のいるものだったりとどちらもあり得ます。

さらに、狭義単調とまではいかず広義単調な内部パラメータでも、十分先で一定となり得ないことを示せば同様の議論ができ、無問題です。

2.トレードオフ(主にA,C)

いくつかの変数がトレードオフの関係にある場合について、それらの変数のうちの最大値の最小化、および最小値の最大化を行う場合を考えます。
変数の大小関係が入れ替わらず、変数の値が2か所だけ異なる2つの方法を比べたとき、その2つの変数の差の絶対値がより小さい方がより最適であるといえます。

3.変数で置く(主にC,N)

出題されるのは数学の問題なので、何かしらを変数で置くと解決したりします。
ゲーム系の問題だとその操作をうまく数列で表現したり、整数の問題だと「平方数」、
「…が…で割り切れる」、「べき乗数」、だったりを日本語を消すように変数で置いたり、場合の数の問題だと何かしらの個数などを変数で置いたりですね。

4.同値関係、順序関係(主にC,N)

「同値関係」「順序関係」を自分の手で導入することで解けたりします。
数式の等号不等号や、集合の包含関係、グラフにおける2点を結ぶ道の存在、数論におけるmodや位数の分類などがその例です。
これらの「関係」があることを示すための公理と、「関係」があったら何が言えるのかの定理を知っておくと有利です。

5.グラフの利用(全分野)

グラフ理論のグラフはC分野以外でも至る所で使えます。
友人関係、直行便など、あからさまなもの以外だと、

・「有限集合Sについて、関数f:S→S」
と「Sの元の有向グラフ」

・「マス目や順列」
と「隣接したマス目や席が辺で隣接するグラフ」

・「置換」
と「サイクルオンリーのグラフ」

・「数直線」
と「数直線上の点をある関係で結んだグラフ」

・「同値関係や順序関係」
と「それを表現する無向、有向グラフ」

・「文字列」
と「文字列たちをある関係で結んだグラフ」

などがその例です。
何かしらの「関係」が出てくるとグラフを作れると言っても差し支えありません。
また、グラフはいわゆる「二元集合族」なので、「2つ」に象徴されるものを辺とみなすことで、グラフが作れたりします。
グラフを使う手が有効であるかはまた別ですが…

6.逆のことについての考察(全分野)

聞かれたことと逆のこと、条件に外れることについて考察するのが有効だったりします。
例えば、不等式証明で逆の不等式を示そうとしてみたり、ゲーム問題で自分の必勝法を聞かれているときに相手の必勝法を考えたり、整数問題で実数解がどうか考えたり…
最終的に元の条件に戻ることは重要ですが、こういう考察がヒントになることは自分も何回もありました。

7.同値、必要、十分条件(全分野)

同値、必要、十分の区別はものすごーく大事です。
なんなら解答全体が「⇐」「⇒」「⇔」で結ばれるくらいで構いません。
特にA,C分野では「自分が今どれくらい狭い必要条件で戦っているか、少し一歩引いて広めにするべきか」
が、N分野では「自分がどれほど勝手に十分条件をとって広げたか、元の条件にどれほど戻るべきか」
が、G分野では「元の条件と、今得た情報を合わせたものは同値か、そうでなければどんな条件を拾い残したか」
が重要です。
これを考える上で、A,G分野では「自由度」を数えると確実です。

8.考察の立ち返り(全分野)

数オリの難問において、ある事柄1から別の事柄2を導き、事柄2から再度事柄1に立ち返るという手順がよく使われます。

例えばC分野だと、
ある事柄Aを満たす場合の数をSとし、Aと一対一対応している事柄Bを導き、さらに事柄BがSを用いて簡単に表せることを示すことで、Sの方程式を作ったり…

関数方程式だと、x=0だったり特殊な場合から導いた式を元の式に代入したり…
数オリと範囲は異なりますが、e^xsinxの積分において、その積分値をIとおいて、部分積分を2回してIに関する方程式を立てる方法と、同じような雰囲気です。

9.等号の基本的な性質(主にC,G)

A=B⇔A+C=A+C、A=B⇔A-C=A-Cは主にC,G分野で重要な考え方です。
C分野だとこれが部分マス目に書き込まれた数の合計や、色の塗られたマスの個数になったり、G分野だとこれが面積や角度や辺長になったりします。

根本のイメージは、共通部分を抜き取ったり、戻したりという感じです。

10.式の考察(主にA,N)

等式や不等式、不定方程式の分野において、「一方の辺があの形っぽいな」、と方針が思いつくのはとても良いのですが、数オリの問題に慣れてきたら、両辺を共に俯瞰するのも試してみましょう。

一方の辺がそれっぽくても、もう一方の辺がそのアイデアからかけ離れているのにもかかわらず突き進むと、泥沼化してしまいます。

また、辺をうまく移項する必要がある問題では、この力が否が応でも必要になってきます。


C分野で特に重要な考え方

c分野は、「場合の数」「集合」「グラフ」「ゲーム」「操作」「可能性」が主なテーマです。

1.一対一対応

まず、c分野の基本、「一対一対応」は常に頭の隅にあるべきです。
かなり発想が必要な手ですが、ある事象について、実験から総合的に考え、視点を変えたり、条件を少しずつ言い換えたりすることで、天才でなくてもアイデアが湧き出てきやすくなります。

代表的な一対一対応は、変数変換によって得られたり、1つの集合を2種類の分割で考えたり…などがあります。
小手先の技術で言うと、最小、最大の場合や、最初、最後の場合などに注目し、それとそれ以外に分けて考えることで、ただの対応から一対一対応になったりします。

また、一対一対応が必要なのに簡単に思い浮かばない問題は、思いつく過程で、自発的にいろいろ導入する必要があったりします。
例えば、抽象的な図で表現する必要があったり(グラフやヤング図形、箱玉モデル、(0 1)行列など)がよくあります。

大学でも組み合わせ論の分野はさかんで、その参考書を読み、沢山の高度な議題について理解すれば、身につきやすい能力でもあります。

2.式の組合せ論的解釈

ある条件を満たすものすべてにおいて、パラメータの総和や総乗、代数的な対称式を求める問題がときどきあります。 

(例題)白と黒の石がそれぞれ50個ずつで計100個の石を1列に並べる方法について、そのスコアを、
「両端を除く98個の各石について、それより右にある黒石の個数と左にある白石の個数の積の総和」と定義する。
すべての石の並べ方におけるスコアの総和を求めよ。

こういった問題では、そのパラメータを組み合わせ論的に解釈するのが1つの手です。

例えば、
「aを集合Aの個数、sを非負整数としたとき、
2^a→Aから0個以上の元を選ぶ方法
(2^a)-1→Aから1個以上の元を選ぶ方法
s^a→Aの元をs色で塗り分ける方法(使わない色があっても良い)
aⁿ→Aからn個を重複を許して選ぶ方法
aCr→Aからr個の非順序組を選ぶ方法」

「a,bをそれぞれ集合A,Bの個数としたとき、
ab→A,Bから元を1つずつ取り出す方法
a+b→AまたはBから元を取り出す方法(同じものでも取り出すところが違えば別とする)」

「aを正の整数、m≦nを整数としたとき、
a→a以下の正の整数の個数
n-m+1→m以上n以下の整数の個数
n-m→m以上n未満の整数の個数、mより大きくn以下の整数の個数、
mより大きくn未満の整数から0or1個を選ぶ方法の個数」

というような感じです。
ちょうど、組み合わせ論の問題を解く操作を遡るような感じです。
組み合わせ論的解釈の前後で、式変形が必要な場合もあります。

3.シグマの途中計算

Σで数え上げの途中計算を行う場合、

(ⅰ)集合Aの元の個数をΣ(a∈A)(1)として表現

(ⅱ)Σ(a∈A)(Σ(b∈B)(f(a,b)))
=Σ(b∈B)(Σ(a∈A)(f(a,b)))
=Σ((a,b)∈(A,B))(f(a,b))

(ⅲ)(Σ(a∈A)(f(a)))(Σ(b∈B)(g(b)))=
Σ((a,b)∈A×B)(f(a)g(b))

が使えることを知っておく必要があります。
逆に、この3つだけで大抵の計算はいけます。

4.組への分割

場合の数のmodp、特にp=2(偶奇)に関する議論では、数える対象の一部or全部をp個ずつの組にすることで、その分を数える必要がないようにできます。
特にp=2について、数える対称間に共役的な変換(二回するともとに戻る変換)が存在するとき、その変換で移り合う2つ組を考えることで、その変換で不変なもののみが場合の数の偶奇に寄与すると言えます。

さらに、円順列や数珠順列など、ある条件に基づいて同一視する場合の数を考えるときも、同一視するものをまとめた上記のような組を考え、その組の数を数えることで計算できます。

5.写像の全射、単射と集合の要素数の関係

写像f:A→Bについて、集合A,Bの元の個数をa,bとすると、

(ⅰ)a>bならばfは単射でない(鳩の巣原理)
fが単射であれば、a≦b
(ⅱ)a=bならば、fの単射性と全射性は同値である
(ⅲ)a<bならばfは全射でない
fが全射であればa≧b

が成り立ちます。
特に、modpの同値類別について(ii)を適用することが多いです。

6.論理の言い換え

「Aを満たすaが存在しないならば、Bである」の対偶は「¬BであればAを満たすaが存在する」であり、
¬Bである場合にAを満たすaを構成可能であることを示すことで前者を示したことになります。
他にも、「AならばB」は「¬AまたはB」と言い換えられたりなど、意外とこういった単純な論理計算による言い換えで、方針が見えたりします。
また、最適化系では、「~が可能な最大の整数N」は「~が不可能な最小の整数N」-1に等しいなどの言い換えも有効です

7.本質を取り出す

設定は具体的に見えるけど、抽象的な議論が必要な問題がよく出ます。
こういった問題は、数学の概念のガワをはがし、本質的な定義は何かに立ち戻る必要があります。
例えば、数の大小関係の本質部分はおおよそ離散性や稠密性、推移性、有界性、非有界性などにあるので、もし設定で数を扱う上で大小関係にしか注目していない場合、数という概念から一度離れて、離散性や稠密性、推移性のみを取り出しても十分な考察ができる事が多いです。

8.ゲームでよくある議論

複数人ゲームや、自由度のある操作、自由度のある黒板書き換え問題の基本的な議論は、

・真似っこ戦略
・31ゲーム的なmodの議論
・ニム的な偶奇性、必勝状態の議論
・ハノイの塔的な帰納法の議論
・逆向きの操作による議論
・相手の行動に応じた場合(作戦)分け
・貪欲法(部分的に取り入れたりも意識するべき)

などが挙げられます。
もはや数学の範疇か怪しいですが、ある得点を最適化するタイプでは、

・耐久可能性(あるターンまでの得点をその後ずっと保てるか)
・プログラミングの耳DP的な状態遷移の議論
・プログラミングのゲームDP的な逆の時系列の議論

が重要になったりします。

9.偶数と奇数の性質

奇数+奇数=偶数
偶数+奇数=奇数+偶数=奇数
偶数+偶数=偶数

奇数×奇数=奇数
偶数×奇数=奇数×偶数=偶数×偶数=偶数

は数オリの難問でも重要です。
上記の式は全て偶数→True、奇数→False、+→xor、×→orと解釈するこができ、これによる議論もしばしば見られます。

10.配列の鎖分解

バイナリや、3種類以上のデータの配列を、直線状や円形に並べるとき、同じ種類のデータが連続して並んでいる鎖ごとに分解するという議論は有効です。
特に、最短、最長の鎖を持ち出す議論や、
分解した状態を、「それぞれの鎖の長さ」と、「鎖を構成するデータがいかなるものか」に分ける数え上げがよく見られます。

11.ピックの定理

格子点らしくないマス目の問題でも、ピックの定理そのまま使えたり、ピックの定理まがいの定理を開発すると解けたりします。

「aマスを塗り、それを頂点に持つマス目が全て塗られるような格子点の個数がb個、それを頂点に持つマス目であり塗られるようなものが存在する格子点の個数がc個のとき、
c=2(a-b)+2」

三角形マスなどの特殊マス目でも同様の定理が考えられます。



N分野で特に重要な考え方

N分野は数論の分野であり、自然数、非負整数、整数あたりの不定方程式などを扱います。

1.不等式の利用

不定方程式から不等式的な情報を導いて、別の議論でもう一度使うという議論が、超高頻度であります。
スタート地点である不等式の導入は、

・問題にそのまま書いてある場合
(意外性のあるものだと三角不等式型など)

・完全な代数的不等式
(x²+y²≧0、AM-GM不等式、並び替え不等式、ヘルダーの不等式など)

・公式的な整数の不等式
((1+x)^n≧1+xn、(1+x)^(1/n)≦1+x/n、多項式<指数<階乗<x^x型など)

・位数に関する不等式
(x|y→vp(x)≦vp(y)、vp(x+y)=min(vp(x),vp(y))またはvp(x)=vp(y)など)

・二次方程式からの判別式D≧0

・多変数で式が対称式な場合の、一般性を崩さない自然な導入
(x+y+z=10(xy+xz+yz)で、一般性を崩さずにx≦y≦zとするなど)

・正の整数が1以上、非負整数が0以上なことの利用
(a+n=bかつn∈ℕ→a+1≦b、m|nかつm,n∈ℕ→m≦nなど)

・剰余の不等式の利用
(m,n∈ℕ→mをnで割った余り>n、f,gが多項式→fをgで割った余り>gなど)

・n進法の利用
(a,bをそれぞれn進法表記したとき、
aの桁数>bの桁数→a>b
aの桁数=bの桁数かつaの最高位>bの最高位→a>bなど)

など、色々あります。
また、一度得られた不等式から、整数や特殊な数
(特に平方数、たまにn乗数、nべき数、素数、階乗数など)の離散性により、両辺の差を広げることで、より強い不等式を得られたりします。
(a<bかつa,b∈ℕ→a+1≦b、a<bかつa,bが平方数→a+2√a+1≦b、
a<bかつa,bが2べき→2a≦bなど)

そして、この不等式の使い方ですが、これもやはりいろいろあります。

・a≧b,b≧aからa=bを示す

・相反する不等式(a≧bかつb>aなど)から矛盾を導き、場合分けを潰す

・a≧bおよび単調な関数fから、f(a),f(b)の大小を導く

また、多項式<指数<階乗<x^x型不等式は特に、「x>c(cは定数)の場合にのみ成り立つ」という条件の元、帰納法により示される場合が多く、

cを境界とした場合分け
→x>cの場合の不等式から矛盾を導き、
場合分け潰し
→x≦cであるような有限個の整数xを調べるだけでよくする!

という流れは数え切れません。

2.n進法の利用

(1)でも挙げましたが、普通の高校数学ではそこまで利用しない「n進法」を、数オリでは結構使います。
n進法の考え方自体は、modの帰納法版的なものなので、modでも代用が効く問題はありますが、代用が効かない問題や、n進法を使ったほうが楽な問題もあります。

底が同じ指数の和が並んでいる場合に特に有効です。
1=a⁰を使うと、定数項までn進法の沼に引き入れることができます。

3.不完全な因数分解の利用

因数分解は言うまでもなく有用な手ですが、完全に因数分解できなくても、因数分解した数の和で表せるだけで収穫があったりします。

例えば、

・a²+b²+c²-ab-ac-bc=1/2{(a-b)²+(b-c)²+(c-a)²}

・(2a)²+(2b)²+(2c)²-(a+b+c)²
=3a²+3b²+3c²-2ab-2ac-2bc
=(-a+b+c)²+(a-b+c)²+(a+b-c)²

・1-a-b-c+ab+ac+bc=(1-a)(1-b)(1-c)+abc

・(a²+b²)(c²+d²)=(ac-bd)²+(ad+bc)²

などがあります。
変換後の式がそれなりの対称性があり、変換前よりも項数が減っているのなら、1つの正攻法かもしれません。

こうして得られた恒等式を参考に、変数の置換をしたり、不等式を導いたりと、得られる恩恵は様々です。

4.最大公約数、最小公倍数

(1)一部の不定方程式では、正の整数a,bを、その最大公約数xと、互いに素な整数A,Bを用いて、a=xA,b=xBと表して解いたりします。
ピタゴラス数の一般解を求めるときにこれを使ったりしますね。

(2)a,bの最大公約数をx、最小公倍数をyとしたとき、ab=xyが成り立ちます。
つまり、(1)の設定において、y=xABが成り立つということです。
また、最大公約数、最小公倍数はそれぞれ公約数、公倍数のうちの1つのため、
a/x, b/x, y/a, y/bが整数であるという条件が使えます。

(3)最大公約数といえば、ユークリッドの互除法がありますね。
式で表すと、
gcd(a,b)=gcd(a,ax+b)(xは整数)

また、
gcd(a,b)≧gcd(a,ax+by)
が成り立ち、等号成立条件はa/gcd(a,b)とyが互いに素であることです。

主にG分野で有用な考え方、および幾何の有名構図

G分野は幾何の証明や幾何不等式、幾何学に関する組み合わせ論などがあります。

1.自由度

幾何の問題は、自由度が強く関わってきます。
自由度は「条件を満たす図形は何が自由に動き、何が束縛されているか」を示すものであり、題意から遡った議論を完全なものにするときは、自由度を保たないといけない…というのを気にする必要があるので、とても重要です。
よくある設定の自由度は、

自由度0→円同士の交点、直線と円の交点、直線同士の交点、中点、五心など、一意的、または有限個に定まる点
2定点を通る直線、3定点を通る円

自由度1→直線上の点、円周上の点

自由度2→点、直線

自由度3→円

自由度4→直角二等辺三角形、正多角形、
線分、2つの点

自由度5→二等辺三角形、直角三角形、互いに接する2円

自由度6→三角形、平行四辺形、凧形、2つの円、3つの点、

自由度7→円に内接する四角形、2点で交わる3つの円

自由度8→円に内接する五角形、四角形、1点で交わる3つの円

自由度-1→角度、辺長の指定

という具合です。
自由度は相加性を持ちます。

2.有名な図形の性質

正三角形、二等辺三角形、平行四辺形、等脚台形、凧形、菱形、長方形の性質は、小学校で習うのにも関わらず、数オリでも極めて有用な知識です。
特に、これらの性質による議論は、他のテクニックに代えがたいことが多いため、案外重要です。
これらの特殊な図形の性質を使うには、まずこれらの三角形、四角形が成立することを示す必要があります。
下記に上げた成立条件は、またその図形の性質になっています。
特に凧形の性質「対角線が垂直に交わり、一方の対角線を2等分する」は、凧形は凸でなくとも成り立ちます。

(正三角形の成立条件、性質)
・三辺の長さがすべて等しい
・60°の内角が2つある(=3つの内角が全て等しい)
・二等辺三角形であり、ある内角が60°(挟角でなくてもよい)
・60°で交わる3つの軸で左右対称である
・120°回転対称である

(二等辺三角形の成立条件、性質)
・ある2辺の長さが等しい(=1つの頂点を中心とする円周上に他の2点が存在)
・ある辺の垂直二等分線上に他の1点が存在する
・ある2つの内角が等しい
・左右対称である
・頂角の二等分線が底辺の垂直二等分線に当たる

(平行四辺形の成立条件、性質)
・ある向かい合う2辺が平行であり、その辺長が等しい
・向かい合う2組の辺がそれぞれ平行である
・向かい合う2組の辺について、一方の組が互いに平行であり、もう一組の辺長が等しい(等脚台形の可能性あり)
・向かい合う2組の辺の辺長がそれぞれ等しい
・対角線が互いに中点で交じりあう(=点対称である)
・向かい合う2組の内角がそれぞれ等しい

(等脚台形の成立条件、性質)
・向かい合う2組の辺について、一方の組が互いに平行であり、もう一組の辺長が等しい(平行四辺形の可能性あり)
・隣り合う2組の内角がそれぞれ等しい
・ある向かい合う2辺について、2辺とその中点を結んだ直線が垂直である。
・頂点を通らない直線で左右対称である
・台形であり、円に内接する
・向かい合う2つの辺の辺長が等しく、円に内接する

(凧形の成立条件、性質)
・隣り合う2組の辺の辺長がそれぞれ等しい
・対角線が垂直に交わり、一方の対角線を2等分する
・対角線が垂直に交わり、ある向かい合う2つの内角が等しい
・向かい合う2頂点を通る直線(垂直二等分線)で左右対称である。
・向かい合う2つの内角が等しく、2本の対角線が直交する

(菱形の成立条件、性質)
・4辺の長さが等しい
・対角線が互いの垂直二等分線にあたる
・平行四辺形であり、内接円が存在する
・90°回転対称である

(長方形の成立条件、性質)
・平行四辺形でかつ外接円が存在する
・平行四辺形かつ等脚台形である
・平行四辺形かつ2本の対角線の長さが等しい

3.メネラウスとチェバ

実はチェバの定理には3パターン、メネラウスの定理には2パターンあります。
チェバの定理を一般化すると、
「三角形の3頂点から引いた直線が共点である場合の辺比の公式」
であり、
メネラウスの定理を一般化すると、
「三角形の3辺を延長した直線それぞれに取った点が共線である場合の辺比の公式」
です。

どれも分点、頂点を交互に、分母、分子を交互にとってできる公式です。


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Pが三角形ABC内部にある場合のチェバの定理AD/DB・BE/EC・CF/FA=1


画像
Pが傍心的な位置にある場合のチェバの定理
AD/DB・BE/EC・CF/FA=1


画像
Pが内角の対頂角内にあるような場合のチェバの定理
AD/DB・BE/EC・CF/FA=1


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直線EDFが、三角形ABCの辺のうちちょうど1つを外分する場合
AD/DB・BE/EC・CF/FA=1


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直線EDFが三角形ABCの辺を全て外分する場合のメネラウスの定理
AD/DB・BE/EC・CF/FA=1

4.共通外接線の交点

2点で交わる2つの円O,O'について、その交点の一方をP、共通外接線の交点をXとしたとき、Xは△OO'Pの∠Pの外角二等分線と、直線OO'の交点になります。
また、2つの円O,O'が外接する場合、その外接点をPとしたときに、4点O,P,O',Xは調和点列をなします。


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円O,O'が2点で交わる場合


画像
円O,O'が外接する場合
OPO'Xが調和点列

5.2つの内接円

四角形ABCDが内接円を持つ場合、三角形ABC,ADCの内心を結んだ直線および、直線ACは直交します。
このとき、三角形ABC,ADCの2つの内接円は外接すると言えます。

6.とある特殊な角度の条件

(6)四角形ABCDについて、
(a)∠ABC=∠ADCなる場合や、(b)∠ACB+∠ADB=180°なる場合について、

(i)「交点」
(a)直線AD,BCの交点をX、直線AB,CDの交点をYとしたとき、4点X,Y,B,Dが共円となる
(b)
直線AC,BDの交点をX、直線AD,BCの交点をYとしたとき、4点X,Y,C,Dが共円となる

(ii)「鏡映」
(a)直線ACについての、Bの鏡映をB'としたとき、4点A,B',C,Dが共円となる
(b)直線ABについての、Cの鏡映をC'としたとき、4点A,B,C',Dが共円となる

(iii)「反転」
(a)Aを中心とする円の反転を考え、B,C,DがそれぞれB',C',D'に移るとすると、直線AC'が△B'C'D'における∠C'の内角二等分線にあたる
(b)Aを中心とする円の反転を考え、B,C,DがそれぞれB',C',D'に移るとすると、直線AB'が△B'C'D'における∠B'の外角二等分線にあたる(入射角反射角の構図)

という話があります。
このような設定は、想定解から外れたとしても、これらの解法でどうにかなる気がします。

7.辺の比の計算

辺の長さの比の計算において、
A:B=C:D⇔A:C=B:D
および、
A:B=C:D→(xA+yB):(zA+wB)=(xC+yD):(zC+wD)
が使えると、内々外々の手間が省けますし、見通しも立ちやすいです。

8.根軸と根心

根心、根軸の存在は主に以下の使い方をします。
また、3番目の性質について、直線と円が1点で交わる場合、円同士が接することについての情報が得られます。

・四角形ABCDがAB=BCを満たし、対角線B,D上の点Pが、∠BAP=∠ADBを満たすことから、∠BCP=∠CDBを導く。
・3つの円それぞれの交線(根軸)が1点(根心)で交わることを示す
・2つの円ω,ω'の根軸上にある点Pについて、Pを通る直線lとωの交点をA,Bとし、Pを通る直線mとω'の交点をC,Dとしたとき、4点A,B,C,Dが共円であることを示す。

9.共線と共円の対応

2点P,Qで交わる2つの円ω,ω'について、ω上に2点A,B、ω'上に2点C,Dをとり、直線AB,CDの交点をXとしたとき、

3点P,A,Cが同一直線上にある⇔4点B,D,Q,Xが共円
3点P,B,Dが同一直線上にある⇔4点A,C,Q,Xが共円

これは、3つの円が1点で交わることを示すときに使えます。

10.調和点列、調和四角形

調和点列は連比の条件なので、射影変換に対して不変です。
また、条件からは明らかではないですが、A,B,C,Dの順で調和点列なら、真逆のD,C,B,Aの順でも調和点列をなします。

調和点列の構図として、

11.五心(重心抜き)

重心を除く五心と2頂点のなす角について、
内心は90°+a/2、外心は2a、垂心は180°-a、傍心は90°-a/2です。

ここから、

・三角形の辺に対して垂心Hと対称な点は外接円上にある

・三角形ABCの内心I、∠A内の傍心Eおよび頂点B,Cの4点は共円(特に、内心傍心の線分が直径)

・三角形ABCの、Aを含まない弧BCの中点をDとしたとき、内心Iおよび頂点B,Cの3点はDを中心とする円周上にある(Iを∠A内の傍心Eに変えても同様)

といった定理が得られます。

12.射影幾何の定理

メネラウスの定理、チェバの定理、デザルグの定理、パスカルの定理は、本選から扱えるようになることを求められます。

特に、これら射影幾何の定理は見た目が異なるもの、接する場合や平行な場合などの数パターンがあるので、全て使えるとより良いです。

13.射影幾何と二次曲線

円や直線に関する設定において、ある点の軌跡が二次曲線になることはしばしばあります。
例えば、

・ある2つの円に内接や外接をする円の中心
→楕円や双曲線

・ある円とある直線に接する円の中心
→放物線

・三角形ABCの内接円(or∠C内の傍接円)が、線分AB上のある点Pで接するような点C
→双曲線

・四角形ABCDが内接円を持つ
→双曲線(A,Cを焦点とする双曲線上に2点B,Dが存在)

・四角形ABCDが角A内の傍接円を持つ
→楕円(A,Cを焦点とする楕円上に2点B,Dが存在)

などです。
また、焦点がA,Bであるような楕円、双曲線上の点Pについて、Pにおける接線は、

楕円の場合→∠APBの外角二等分線
放物線の場合→∠APBの内角二等分線

準線がl、焦点がAであるような放物線上の点Pについて、Pからlに下ろした垂線の足をBとしたとき、Pにおける接線は、∠APBの内角二等分線となります。

そして、「射影幾何の基本原理」を使えば、これら二次曲線は、1つまでなら無条件で円に変えることができ、「接する」「交わる」「直線」「平行」「連比」といった条件が保たれます。

14.細かい色々

・3点A,B,Cがこの順で共線であることを示すには、それ以外の点Xを取り、
∠XAC=∠XAB
∠XCA=∠XCB
∠ABX+∠XBC=180°
などを示すのが有効だったりします。
また、これらはしばしば交換が効かなかったりするので、どれも使える必要があります。

・2点P,Qで交わる円O,O'について、Pを通る直線lと円O,O'の交点をそれぞれA,Bとし、Qを通る直線l'と円O,O'の交点をそれぞれC,Dとしたとき、4点A,B,C,Dが共円となります。

・隣り合う等長な辺があり、二等辺三角形が作れる場合、頂角を中心とし、残りの2頂点を通る補助円を書くと良いことがあるかも。

・⊿ABCの辺AB,BC,CAにそれぞれD,E,Fを、3直線CD,AE,BFが一点で交わるようにとったとき、
「DF//BC⇔Eが辺BCの中点」
が成り立ちます。

・混線内接円、混線傍接円は、頂角を中心とし、混線円を固定する反転が有効です。

・多角形の内接円、傍接円があるとき、円に引いた2本の接線の長さが等しいこと(ミートボールの定理)を使った辺の長さの考察と、角度の考察の大きく分けて2種類があります。
一問で両方の考察を要求されることも…

また、長さの考察では案外メネラウスとチェバの定理が使えます。

・円O上の2点A,Bについて、弦ABの中点をM、2つの弧ABの中点をそれぞれD,E、円OにおけるA,Bを通る接線の交点をXとしたとき、
4点D,E,M,O,Xは全て線分ABの垂直二等分線上にあります。
特に、EM⊥ABは重要で、弦の中点で困ったらこれ!…という安心感があります。

・三角形ABCがAB≠ACであれば、∠Aの内角二等分線と線分BCの垂直二等分線の交点をDとしたとき、4点A,B,C,Dは共円です。
また、∠Aの内角二等分線を外角二等分線に置き換えても同様です。
一致法により示される、隠された共円条件です。
ちなみに、これはさらに以下のように拡張でき、上記はこれのAD=0ver.といえます。

「AD//BCなる等脚台形ABCDについて、
∠AXB=∠CXD,五角形ABCDXが対称的でない→5点A,B,C,D,Xが共円」

・円に内接する四角形ABCDについて、弦AC,BDの交点をXとしたとき、弦同士のなす角
∠AXBは

∠AXB=∠CAD+∠ACB

より、円周角の和で表せ、議論を発展させることができます。

・外角二等分線および入射角反射角の構図と、鏡映の考え方は互いに強く結びついています。

・1点で交わることを示すにはチェバの定理の他に、

(1)五心や有名中心(フェルマー点、スチュワート点、ナーゲル点など)の利用、
(2)等長共役や等角共役の利用
(3)対称性の利用(チェバの定理で代用可能)
(4)根心の利用

が挙げられます。

・離れた辺の長さの比や、離れた辺の長さが等しいという条件に対しては、

(1)メネラウスの定理
(2)平行四辺形によって辺を平行移動させ、隣り合う辺に移動させてあげる
(3)二等辺三角形が複数作れる

といった方針があります。

・円同士が接することの証明では、

(1)2つの円ω,ω'がPで接し、ω上にA,Bを、ω'上にC,Dを、3点A,C,PおよびB,D,Pが同一直線上に来るように取ったとき、AB//CD

(2)根心、根軸の利用

(3)反転により一方、もしくは両方を直線にする

(4)2円の中心と交点が同一直線上にあることを示す

(5)同じ点で接する共通接線をとる

などの方針があります。


主にA分野の関数方程式で重要な考え方

関数方程式は、整数、有理数、実数などの値域や定義域において定義された関数であり、方程式を満たすものを全て求めたり、ある性質を証明する問題です。

1.加法単位元、乗法単位元

0と1は関数方程式を解く上でしばしび鍵を握っていて、

1.x×0=0
2.x×1=1
3.xy=0⇔x=0またはy=0
4.xy=xz⇔x=0またはy=z

などの性質を持ちます。
これは、0,1をそのまま代入することでも得られたりしますし、そうでなくても工夫して作り出せたりします。

1や2の性質から項数を減らしたり、
4の性質から、単射性or別の制約という場合分けに発展したり…など色々あります。

ただし、定義域的に0が代入可能かについては気をつけてください。

2.項数を減らす

両辺で同じものを作ることで、同時に両辺合わせて2つの項を減らすことができます。
特に高度な問題では、見た目が同じでなくても、f(x)=f(y)をあらかじめ示した上で、両辺にそれぞれf(x),f(y)を作ることで項が消えます。

項数が減って、あわよくば一方の辺が単項式になると、嬉しいですね。

3.関数の置換

fとしてふさわしそうな解をf₀としたとき、関数gをf(x)=f₀(x)+g(x)やf₀(x)g(x)と置くことで、関数gの関数方程式にシフトすることができます。
これが有効である場合の見極めは難しいのですが、同じ形が両辺で現れていて、一方が関数の中に入っている場合は有効そう…
f(y+yf(f(x)))的に関数が3重になっていたらさすがにきつい…
などの経験則はあります。

また、これを使うメリットとして、gが全射、単射であることを示すことができ、これで進行できる場合、元のfについての関数方程式では得られない情報が得られます。
つまり、他に代えがたいテクニックなのです。

4.全射、単射の利用

言うまでもなく、これは重要なテクニックです。
関数のかかっていない裸の変数があれば全射や単射が示しやすいイメージがあります。
また、xf(f(y))のように、f(f(y))が0でなければ単射が示せるな〜という項がある場合、fのゼロ点の広さと単射性のどちらか…という場合分けが起きたりします。

5.ゼロ点の存在による場合分け

1でも言った通り、f(x)から0が発生するゼロ点が使えるとなると楽です。
ただ、素直にゼロ点の存在が示せれば良いのですが、そうでない場合が多いです。
このとき、ゼロ点をめぐった場合分けが有効だったりします。

6.〜が〜を割り切る系の関数方程式

コツとしましては、

・1に関する情報の確保
・素数に関する情報の確保
・剰余により分子が分母でほぼ割り切れるようにする

が挙げられます。
3番目について、分子の式を、整数×分母+短い式…とできれば、剰余により、短い式/分子が割り切れるという条件に言い換えられ、
ここまで来たらもはや短い式≧分子という条件から解けたりもします。

7.不等式形の関数方程式


8.有理数値域、定義域の関数方程式

有理数(正の有理数)に定義される関数方程式、有理数(正の有理数)に値をとる関数方程式も時々出ます。

理由も無く有理数になることはあまりないような気がします。
大体は、それより広い定義域では何処かで行き詰まり、冪根の無理性や、コーシーの関数方程式のような段階を踏んだ網羅によってケリを付ける場合が多いです。

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