文科相、国立大の運営費交付金「増額が必要」 財務省に反論

島崎周
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 国立大の人件費や研究費を賄う国の運営費交付金について、松本洋平文部科学相は18日、物価高などを踏まえて「増額が必要」と述べた。

 文科省は例年、政府内で増額を求めているが「前年度並み」が続く。過去最大の増額幅で概算要求した新年度予算の編成を前に、対立する財務省を牽制(けんせい)した形だ。

 国立大の財務については、国立大学協会が昨年、「もう限界」と異例の声明で苦境を訴えた。

 松本氏も、2004年の国立大法人化後の計1600億円を超す運営費交付金の削減で「非常に厳しい経営状況。教育研究活動が阻害されているとの批判の声もある」と主張した。

 今年のノーベル生理学・医学賞と化学賞に選ばれた坂口志文・大阪大特別栄誉教授北川進・京都大特別教授との意見交換の際、基礎研究の充実や若手研究者の環境整備を求められたことを挙げながら「大学の知的創造性を引き出し、最大化させるには、運営費交付金と競争的資金のベストミックスによる支援が必要。安定的な運営費交付金の措置が不可欠」と述べた。

 一方、財務省は、選ばれた研究課題に配分される競争的資金に軸足を移すべきだという立場。11日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)では「大学の創意工夫を促すべきだ」と主張した。運営費交付金の減少分には教育研究と直接関係ない退職手当なども含まれるとも説明した。

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この記事を書いた人
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権