みんなで大家さん、1500億円中抜きのカラクリ解明 成田土地“原価表”で分析
投資家の資金はファンド外に流出
土地転売の過程で共生バンクが駆使したのが、一般に三為(さんため、第三者の為にする契約)と呼ばれる取引スキームだ(下の図、下記関連記事参照)。 例えばA(売り主)、B(中間業者)、C(買い主)が土地を同じタイミングで取引する場合、当事者間で一定の特約を結ぶことにより、登記上はA→Cに直接不動産が移転したことにする。いわば2件の取引を1件の登記にまとめることで、登記事務手数料や印紙税などを節約できる利点がある一方で、取引の透明性を損ねているとの指摘もある。 取引の流れ (1)共生バンクのSPCである成田ゲートウェイプロジェクト○号(A)が元の地権者から土地を取得 (2)資金募集のタイミングにあわせ、SPC(A)とインベストバンク社(B)との間で土地売買契約を結ぶ (3)同時に、インベストバンク社(B)とインベストファンド社(C)との間で土地売却契約を結ぶ (4)SPC(A)からインベストファンド社(C)に土地を直接登記移転 (5)SPC(A)がインベストファンド社(C)から土地を賃借(セール&リースバック) 【注】シリーズ成田14号土地売買契約書、都市綜研インベストファンドの令和7年3月期事業報告書などを参考に日経不動産マーケット情報が作成。金額は原則としてシリーズ成田1〜18号の総額を示す。土地仕入れ価格、転売益などは日経不動産マーケット情報が推定 日経不動産マーケット情報は、行政訴訟記録に証拠として添付された土地売買契約書を閲覧し、三為取引を具体的に指示する特約を確認している。一方、投資家が手にする重要事項説明書では、一連の売買にSPCが関わっていることなど、複雑な取引スキームの実態は明かされていない。 シリーズ成田1〜18号に投じられた出資金は3月末時点で1557億円。少なくともその95%程度は、投資家の知らないところで、ファンド組成と同時にグループ会社に流出したとみられる。貸借対照表上の固定資産評価としては、8割の優先出資(募集総額)と2割の劣後出資を合わせて、2473億円になる。 大阪府は21年2月以降、不動産特定共同事業法上の営業許可を持つ都市綜研インベストファンドに繰り返し質問。「なぜ現土地所有者、もしくは共生バンクから直接、インベストファンド社が土地を買わないのか。グループ内の現物売買を経由するのか」などと疑問を投げかけた。 23年3月、栁瀨氏を府庁に呼び出した際には、土地評価が水増しされている懸念を指摘した上で、不特法の「減損の兆候」、つまり会計上の損失として認識される可能性はないかともただしている。栁瀨氏はこれに激しく反発。「今ここで募集を止めると経営が立ちゆかず、成田プロジェクトそのものを潰すことになる。過去に出資している人たちをどう救済するのか」などと抗弁した。 記事冒頭に挙げた原価表はこのやりとりに前後して、大阪府の強い要請に従って提出されたもののようだ。 最近では25年9月、グループのみんなで大家さん販売を監督する東京都が「出資の価額は年平均賃貸利益を7%で割り戻した額とされているが、年平均賃貸利益はグループ会社間の取引であるからその賃料は自由に設定できる(中略)成田ゲートウェイプロジェクト社等には賃料の支払いに充てるべき収入や、賃料を支払い続ける資産もない」と裁判の中で指摘している。