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ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

日本のジャズ in 50'~60'(中途半端ですまん!)

2007-07-18 01:30:17 | いわゆる日記


 え~、昨日予告しました我が”ジャズ・ベスト25”ですが、どうも中途半端な結果となってしまいました。
 例の1)で提示した、”戦後のジャズブームの頃、地方の歓楽街で少年時代を送った者の記憶の中のジャズ”ってテーマなのですが。

 当時、まだガキだった私がバンドマン連中と一緒にレコード聴き狂っていたわけでもなし、盤の名など挙げられず。今の時点で後追いで彼等の好んでいた盤の名を並べても、それは単なる調査結果でしかないし。どうにもベスト25など並べようもなし。

 しょうがないから当時の空気を伝える日本のジャズベスト10など発表してお茶を濁させていただきます。明日にでも、本来の私にとっての”ジャズ・ベスト25”を発表させていただきます。2)になる訳ですかね。

 なお、下のリストは編集盤やら未発表発掘やらベストやらばかりなので発表年度は記してありませんが、録音はどれも1950年代の終わりから1960年代のはじめ頃とお考えください。個人的思い入れとしては、小粋なジャズコーラスグループ、”伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ”のアルバムでも入れたかったところなのですが。


1)幻のモカンボセッション’54 by 守安祥太郎 秋吉敏子 渡辺貞夫 &・・・(写真)
2)ビッグ・フォア・プラス・ワン登場! by ジョージ川口&ビッグ4
3)銀巴里セッションJUNE 26,1963 by 高柳昌行と新世紀音楽研究所
4)松本英彦のモダン・ジャズ by 松本英彦
5)KING RE-JAZZ SWING: CHIEMI SINGS by 江利チエミ
6)ジャズ&スタンダード by 美空ひばり with 原信夫とシャープス・アンド・フラッツ
7)スタンダードを唄う by 弘田三枝子
8)クレージー シングルス by ハナ肇とクレージーキャッツ
9)オール・スター・ジャズ・イン by V.A.
10)可愛い花”by ザ・ピーナッツ(シングル)

 1)は、当時の日本ジャズ界のまさしく先頭を走っていた幻の天才ピアニスト守安の貴重なレコーディングが聴ける、これが凄い。まあ聴いてみてください。不幸な事件で夭折してしまった守安の激情に、あなたの感性をぶつけて欲しい。
 2)は、当時のジャズブームを牽引したスター・バンドの爆発を。
 3)は、まだ前衛音楽に踏み込む前の、リリカルかつエネルギッシュな高柳のギター・プレイが聴きものなのです。
 4)も、粋なジャズ・アルバムでした。
 5)6)7)と日本のジャズ・ボーカルを並べてみましたが、私としては江利チエミをもう一つ押したい気分です。再評価を促すって奴ですか。1963年の吹き込み当時、まだ16才の弘田三枝子のエネルギッシュな歌唱も良いですね。その後彼女はご存知のように歌謡曲の世界に行ってしまうのですが。
 8)は・・・当時、クレイジーはまだ、ステージで音楽ネタのコントとかやっていたのですね。当時の日本人は皆、それを愛していました。
 9)ですが。1957年度のスイング・ジャーナル誌の人気投票結果にもとずいて集めたメンバーにより吹き込まれた、お祭り的オムニバス作品。当時の音楽状況が分かり易いんで、下に曲目とアーティスト名をコピペします。ラテンの曲あり、戦前ネタあり、実験作あり、の混沌振りに注目。

1. アイ・ゲッド・アイディアス(南里文雄・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
2. いとしのヴァレンタイン(伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ)
3. ベサメ・ムーチョ(海老原啓一郎・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
4. 私の彼氏(鈴木章治・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
5. テンダリー(丸山清子・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
6. ヴィブラフォン・ラプソディによるテーマ(平岡精二・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
7. ベイシー氏エンジェルに会う(原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
8. 枯葉(松本英彦・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
9. 夜も昼も(中村八大・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
10. ラモーナ(河辺公一・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
11. パリの四月(高柳昌行・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
12. スペインの姫君(武井義明・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
13. スウィート・スウ(鈴木章治とリズム・エース)
14. タキシコ(白木秀雄・ウィズ・原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)

 10)筒井康隆がこの曲のヒットを、「自分の好みと世間の好みが一致した稀有な例」とかエッセイに書いておりましたが・・・まあ、この曲でリストを終わりたかったのであります、私としても。

 しかし、こうして10枚並べてみると、ほんとに瑞々しいといいますか、眩しい思いさえいたしますなあ。


2 コメント(10/1 コメント投稿終了)

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あちらの本場 (シン@本)
2007-07-18 02:04:51
江利チエミ、美空ひばり、ミコちゃん、クレージー、ザ・ピーナッツ……。当時のことなんて何一つ知らないのに、ああ、みんな光輝く“本場”を信じていたんだろうなあ、という気がします。

ライ・クーダーの項の「苦労して探し求めた本物より、未熟な時に思い描いた幻影の方が広がりがある」という論に、これまたライ・クーダーのことなんてなんにも知らないくせに「なるほど」と思いましたが、簡単に海外にアクセスできる今、どうなんだろう、“本場”への憧れが全くなくなったとは思わないんですが……。
持つと持たぬと・・・ (マリーナ号)
2007-07-19 02:39:17
本場への憧れ・・・たとえばクレージーやらピーナッツの頃、日本からヨーロッパへ行くのに何十万円とかかかったんですよねえ。当時の金でそれですから、今の金にすれば・・・”海の彼方の本場”は、ゼニカネの意味だけでも、現実と思えないくらい遠かったんですよねえ。

ライ・クーダーの件、”はっぴいえんど”の1stアルバムにそれへの回答に当たる歌詞がありました。いわく、
「だけど幸せなんて、何を持ってるかじゃない、何を欲しがるか、だぜ」と。