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ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

”ザードのボーカル”問題

2007-06-20 00:15:06 | その他の日本の音楽


 え~とですね。今月初め、あの”ザードのボーカル”である坂井泉水が不慮の事故(らしい)で亡くなりました。

 で、それに絡めて私は、ここに以前より”ザード”に関して思っていた事を書きました。

 一つは、「洋楽がどうのとか言ってロックの名盤1000枚集めたって、日本人にとって、あの種の低血圧で小奇麗な音楽が結局、限界なんだろうなあ」そう思い知らされたのが、”ザード”のいつまでも衰えぬ人気であったこと。

 もう一つ、何かと言うと亡くなった坂井泉水が”ザードのボーカル”と称されるのが異様な気がしてならなかったこと。”ザードというバンド”なんて何も実態はなく、坂井泉水なる歌手を売り出すための虚構でしかないのは、音楽ファンの誰もが知っている。にもかかわらず、なぜ、性懲りもなく”ザードのボーカル”なる肩書きは繰り返し提示されるのか。

 この記事に関し、以前よりの知り合いであるシン@本さんがブログのコメント欄になんども感想を書き込んでくださいました。

 そのやり取りが印象に残り、あまり人目につかないブログのコメント欄に置いておくのももったいない気がしたので、ここに記事として公開する次第です。シンさん、勝手な事をしてすみません。事後承諾を迫る形になってしまい、申し訳ないのですが、どうかお許しください。

 (下のやり取りの元になるのは、6月5日の”終わりなき循環コード”という記事→であります。合せてご覧ください)

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★ロックではない (シン@本) 2007-06-09 02:49:38

なるほど、頭の中がすっきりしました。
JUDY AND MARYとかは、「最近の音楽なにが好き?」と聞かれたときに答えるための方便みたいなものなのかもしれません。
「ジュディマリが好き」
「へ~、おしゃれなの知ってるね」みたいな。
「ZARDが好き」と言ったら
「ふーん……(じろじろ)ZARDねえ」
と、いろいろ見すかされるような気がする。
(でも考えてみたらどちらも「最近」ではないかも)

あれはフォークだな、とは前から思っていました。
系譜をたどると、「ふるさとの話をしよう」とか「早春の港」とか……童謡や唱歌からしてそうですね。

でも唱歌ってアイルランド経由でしたよね。
(違ったかな?あいまいな記憶ですみません)
近代以前はどうだったんでしょう。ZARDから江戸の歌までを考えてしまいました。

でもZARDってロックは意識していないのでは?
ファンも(つまり私も)ロックにあまり重きを置いていないし(笑)。
むしろバンドブームに乗っかったのでは、と思うのですがよく分かりません。

こんなに長く書くってことは、自分の心にモヤモヤがあったんですねえ。あらためてそう思います。

★. (マリーナ号) 2007-06-10 02:15:52

ザードの音楽ってのは、日本人の音楽の好みの”痛いところ”を突いてくるって気がします。その人が音楽の知識を持っているほど、それは”痛い”というべきか。
いずれもう一度、ちゃんとした形でザードについて書いてみたいと思っています。

唱歌ってのは、いずれにせよ西洋かぶれの音楽家によって作られた、あんまり自然なものではない作り物ですよね。近代以前はどうなんだろう?わらべ歌なんてのは、普通に日本音楽の系譜につながるものと思っていましたが、詳しく調べてみると何か出てくるのかもしれません。

”ザードとロック”を考える時、基本になるのはあの「ザードのボーカル」って言い方ですよね。”ザードのメンバー”って”ボーカル”しかいないって明白な事実なのに、テレビのニュースのアナウンサーまでもが、その言い方をする。これって、”ザードはロックだぞ”と念を押すためのものと思うんですが、では何のために?この辺も、解きたい謎です。

★ロックの要素はひとかけらもない (シン) 2007-06-14 19:57:59

>ザードのメンバー”って”ボーカル”しかいないって明白な事実なのに、テレビのニュースのアナウンサーまでもが、その言い方をする。これって、”ザードはロックだぞ”と念を押すためのものと思うんですが

いや、それはどうでしょうか。
ZARDに、ロックと思われていいことがあるとは思えません。今でもロックの印象といえば「騒々しい音楽」なんですから、さわやかなイメージで売ってきた彼女には、ロックと呼ばれるのはむしろマイナスだと思います。

実態のないバンドをZARDとして存在させ続けることによって、神秘的な雰囲気を作ろうとしていたのではないでしょうか。テレビにも雑誌にも出ない、という戦略の一環だったように思います。

★, (マリーナ号) 2007-06-16 03:26:02

まあ、あんまり論争するテーマとも思えませんが(笑)
その”バンド”ってのがアレなんですね。今、日本で、”ボーカル”なんてパートのいる”バンド”ってのはロックバンドしかいなんで、やっぱりあれは”ロック”って商標で売りたいのでは?
”ロックは騒々しい音楽”ってのは、そりゃ洗練された文化に生きる人が持つイメージで、”ロック→西洋の音楽→あっちから来たものは無条件にお洒落”なんて貧困な価値観のうちに生きているのが一般大衆というものではないでしょうか。
で、そんな”大衆”に”かっこいいもの”としてアピールしようって戦略だったんじゃないかと。

★むきになることでもないんですが…… (シン@本) 2007-06-17 14:22:47

私もこんなに長びくのはちょっとどうかと思うんですが(笑)このままモヤモヤしているのもなんだし、書いちゃいます。

ボーカルのいるバンド=ロックバンド

という公式は、どうかな、あまり成り立たないんじゃないでしょうか。
最初はそうだったかもしれないけど(詳しいことは分りません)、今はロックだなんて意識せずに「ボーカルのいるバンド」をやっているところが多いような気がします。
いえね、なんでこんなにこだわるのかというと、私自身ZARDをロックだなんて感じたことは一度たりともないんですよ。全然、まったく、ロックではないもん。
これがBzとかGRAYとかだったら分るんですよ。ロックと思われることがステータスになる、ということが。でもZARDはねえ。ロックと思われて得することがあるとは想像できないんです。

★, (マリーナ号) 2007-06-18 22:45:06

うーん、そうすると、なんだって彼女を語る場合、”ザードのボーカル”といちいち強調されるんでしょうか?音楽番組や芸能情報ばかりではなく、一般のニュースのアナウンサーまでが、わざわざそう呼ぶわけは何なんでしょう?「歌手の坂井泉水さんが亡くなりました」で十分用事は足りるはずなのに。
”ザードのボーカル”と付け足す必要がある誰かがいる。しかも彼は一般のニュース番組にまで影響を及ぼす”権力”を持っている。これはなんなんでしょう?

★思いつきだらけです (シン@本) 2007-06-19 02:08:23

なんででしょう……もうここまでくるとなにがなんだか分りません(笑)。

レコード会社がバンドとして売り出して、その結果バンドとして売れたから「ZARDの坂井泉水」として呼ばせて、それが定着したのかもしれません。
特に深い意味はないような気がします。

あ、今思いついたんですが、「ブギの女王、笠置シヅ子さんです!」や「永遠の若大将、加山雄三さんの登場です」に近いのかもしれない。「ZARDの坂井泉水さん」って。
最初はバンドの名前だったのが、形骸化するにつれてだんだんと枕詞のようになっていったんじゃないでしょうか。
ん~、でも本当はよく分らない。というか、私、あんまり気にしたことなかったんです。

亡くなってみると、彼女の歌が無性に懐かしい。なんだかんだ言っても結局好きだったんだなあ、と今になって思います。

★. (マリーナ号) 2007-06-19 21:38:22

 一つ確かなのは、大の大人が「何ごとかわざわざやる」のには、その裏に金か権力か、そんなものが存在していなければならない、と言うことです。
 全国放送の、芸能担当でもない一般のアナウンサーが、各局揃って「ザードのボーカルの」とやるのは、やっぱりなんか異様です。
 これが”サザンの桑田”が死んで、それを報道するのだったら、「サザン・オールスターズのボーカルの桑田さんが」とアナウンサーが言っても何も変ではない。我々は”サザンなる”バンド”の実在を確認済みですから。だけど・・・”ザード”なんて”バンド”が実在していないのは、日本の音楽ファン誰もが知っていることです。
 なのに、あちこちのニュースで当たり前のように「ザードのボーカルの」と各局のアナウンサーたちが真面目くさって言っている。なんか気色悪いです。その裏にあるものを何とか知りたく思い、ここで、「ロックなるナウいものの捏造」という仮説をとりあえず出してみたのですが。

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了)

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まとめて読むと…… (シン@本)
2007-06-21 00:15:54
あ、事後承諾でOKですよ。同じサイトなんですし。

結局よく分らないままでしたね(笑)。
私が思うのは、「坂井泉水」という個人をそのままスターにするのは難しかったんだろうなあ、ということ。あんまり強烈な個性ではありませんから。
だから「ZARD」という架空のバンドが作られたんだろう、とまでは推測できます。

そこから先は……どうなんでしょうね。なにかあるんでしょうけど。とりあえず、石井さんのロックへの思い入れは感じ取りました(笑)。

ZARDって熱心に聴くものじゃなく、風景のような、BGMのような音楽ですよね。だから亡くなって初めて、自分のなかで大きな存在だったことに気づきました。いつのまにか棲みついている。恐るべしZARD!
どうも~ (マリーナ号)
2007-06-21 00:42:01
 いろいろすみません、シンさんん。
 最後に残ったモヤモヤは、

 さほど押しが強いわけでもないのに、いつの間にか日本人の感性に根強く食い込んでいたザードの音楽ってなんだ?

 いちいちザードの都合に付き合って、「ザードのボーカルの」と、意味ない呪文を律儀に読み上げたニュース番組のアナウンサーたちって、なんだ?

 なんてところでしょうか(笑)
ふと思い出したんですが・・・ (kisara)
2007-06-21 20:48:14
横レス失礼いたします。
”ザードのボーカル”の件で思い出したんですが、
西川貴教が死んだら、彼もやはり「TMレボリューションのボーカルの」って、言われるのでしょうか。「TM~」のメンバーは、西川しかいないのに。(笑)
. (マリーナ号)
2007-06-22 03:10:12
どうも、kisaraさん、コメントありがとうございます。
TM西川の場合、どうなんでしょうね?彼がザードと違うところは、「自分がやっているTMとはプロジェクトである」と自ら認めていたところで。ザードの場合は、あくまでも”バンドが存在する”となっていたようなんで、そこで扱いが違いそうな気が。
・・・と、真顔で話すのもなんかアホらしいのも、この議論の特徴(笑)