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ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

レバノンの一夜

2007-04-23 03:44:23 | イスラム世界


 ”2006”by Jacqueline

 ええい、もうしょうがないから、さっき偶然見つけたレバノンのカジノの映像でも貼っておくか。ともかく、こんな感じの音楽なんですよ。なんて言ってもますます分からんか。

 ワールドミュージック・ファンのこれがなかなか苦しいところで、手に入れた音源について何か知りたいとかアーティストの映像が欲しいとか思っても、とにかく検索の方法が分からない。ロシア文字やらハングルやらミャンマー文字やらタイ文字しかジャケに書かれていないCDについて調べようったって、どうすりゃいいのさ?

 というわけで、中東はレバノンの”Jacqueline”なる女性歌手のアルバムです。ともかくこれでもか!ってくらいな厚化粧をした歌手本人のジャケ写真の上には、ただひたすらアラビア文字が踊っておりまして、”2006”とあるから昨年出たアルバムなんだろうなあと想像されるけど、それ以外の何も分かりません。
 検索かけてみても、あのジョン・F・ケネディ大統領の妻だったジャクリーン夫人の情報とかが出てくるのみで、なにも分からず。といって、歌手名のスペルくらいしか検索のネタも無し。

 CDを廻して、まず出てくるのはシタールみたいな民俗楽器が意味ありげにクネクネと官能的なメロディを奏でるさま。ついで、バシバシと民俗打楽器と手拍子によるパワフルなアラビックなリズムが響きますが、どうもこれは打ち込み臭い。

 ブカブカと安易な作りのキーボードがかぶせられまして、どうにも下町の音楽の、独特なチープな匂いが横溢、といったところで、アルバムの主人公”Jacqueline”の、妖しげながらもパワフルな歌声が響きます。

 アラブ・ポップスというとやはり、豪快に打ち鳴らされるパーカッションと、ユニゾンで官能的な調べを奏でる大編成ストリングスの響きなどゴージャスな世界を考えてしまいますが、こいつはそれらとは別の世界に生きる音楽なのでありましょう。聴き進むと、アコーデイオンやらクラリネットがなかなか良い味を出して絡んで来ますが、いずれにせよ、下町キャバレー風味は一貫して流れ続ける。

 まあ、お酒ご法度のイスラム世界における場末のキャバレーって、どんな具合のものなのかよく分かりませんが、とりあえずはこの”Jacqueline”みたいなケバいおねーさんの濃厚サービスなんかもあるんでしょうなあ。

 どうもこれ、リズム打ち込み担当をかねたキーボード弾きと、曲ごとに入れ替わるシタールやらアコーディオンやらの”臭い楽器”担当者、この二人だけでバック・トラックを作ってはいないか?と、何曲か聴くうちに気がつきます。裏町風情、安易に一丁上がりの音楽性と来て、私はここで韓国のポンチャク・ミュージックなどを思い出してしまったのですが。

 実際、あのレベルのいわゆる一般大衆の生きる現場の本音を伝える音楽が、これなんでしょうねえ。アラブの体温みたいなものがネットリと伝わってくる一作なのでありました。


4 コメント(10/1 コメント投稿終了)

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Unknown (kisara)
2007-04-27 22:08:01
こんばんわ。

>ロシア文字やらハングルやらミャンマー文字やらタイ文字しかジャケに書かれていないCDについて調べようったって、どうすりゃいいのさ?
それは確かに・・・。でも、せめてキリル文字(ロシア文字)とハングル文字だけは覚えましょうよ~。
タイ文字やアラビア文字などの何回複雑さに比べたら、キリル文字とハングル文字は比較的易しい文字だと思いますよ。

アラビア文字の解読は、こちらのサイトが参考になります。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/fuimei/arabic-ichiran.htm

レバノンの”Jacqueline”と言う歌手は知りませんでした。
アラブ・ポップスとは別物と言うことで、興味があります。
そのアラビア文字が踊ったケバいおねーさんのジャケット写真もアップしていただけないのでしょうか?
怠け者で、どうも・・・ (マリーナ号)
2007-04-28 02:33:33
kisaraさんへ
どうも~。
アラビア語サイト、ご紹介ありがとうございます。まあしかし。う~。昔から”お勉強”の苦手な人間で、語学の習得などもっとも不得意とするところでして。意味は分からなくとも、どう読むかぐらいは何とかしなければと思うのですが、確かに。
Jacquelineは、きらびやかなアラブポップスの陰に隠れた庶民の娯楽としての音楽の存在を知らしめてくれて、なかなかスリリングだったのでした。ジャケ画像は、ただいま私、撮影するための機材を失っている現状でして、それがいずれ回復されましたら、という事でご勘弁を。まあ、デジカメ一つ買う金がないというのも、なかなか情けない話でありますが。
Unknown (kisara)
2007-04-28 14:39:59
わたしも昔から”お勉強”は苦手でしたよ。
美術の時間だけが唯一の楽しみだった人間だし。今になって思えば、水彩や油彩よりも彫刻の方がやりたかったですよ。 (笑)

外国語の文字のことですが、単に「文字を覚えて読める様になる」と言うだけの話であって、語学の習得の話ではありませんよ。
わたしも今のところ、明確な目的がないので、語学を勉強する気などさらさらありません。 (笑)
あれ、kisaraさん、 (マリーナ号)
2007-04-29 03:07:18
美術の時間だけが楽しみだったとは、まるで私のような事をおっしゃいますね!私も同様だったのですよ。理科系ではない。文科系でさえない、お絵かき系の人間でした。
その勢いを駆って(?)美術系の大学へ行こうとしたんですが、「好きだけで行けるものではない」と、高校の美術教師に諭され、また、「そんなところへ行っても食っては行けない」との親からの反対もあり、諦めたのでした。
(その美術教師、その直後、青森の”ゴゼ”の絵で評判取って、オノレが絵描きとして一本立ちしちゃいやがんの。くっそ~)