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ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ひばり、リズム歌謡を歌う! 1949-1967

2007-01-30 02:29:01 | その他の日本の音楽


 ”リズム歌謡を歌う! 1949-1967 ” by 美空ひばり

 というわけで。これは最近リリースされて、スキモノには話題の一発ですな。美空ひばりが”洋楽”からの影響を見事に自身の音楽として血肉化して歌いこなして見せた”リズム歌謡”の作品群(1940年代から60年代にかけて)を集めた50曲、2枚組のCDであります。

 とか言ってるけどねえ、こんな凄い作品集を簡単に語れるはずはないんで、今はまだ盤の端っこをちょっと齧ってみただけって状態なんだけど。それでも十分、そびえ立つ音塊に圧倒されるばかり。美空ひばりって、”演歌の女王”に祭り上げられちゃう前は、こんなにも面白かったんだそう。

 ブギウギのリズムと伝統的歌謡曲の世界のバッティングの傑作としてとうに定評のある”ロカビリー剣法”や”河童ブギウギ”の痛快さはいまさら言うまでもないけど、それ以外にも知らずにいた傑作群が目白押しだ。

 これはエグい作品だろうなあと期待した”エスキモーの娘”は、普通にジャズ曲で、いやいや曲調はそうなんだけど、出来上がりはやはり強力で、その後、欧米のロック界で何度も登場することとなる”諧謔系オールド・ジャズ志向”の先行作であり、すでに完成されている感があり、であります。おーい、マーティン・マルとかその辺の連中、聞いてるか。聞いてねえだろな。そりゃそうだが。

 同じくファンキーなる出来上がりを期待した”チャルメラそば屋”は、よくある中華サウンド、チャカチャカチャッチャチャッチャッチャ~ン♪”なんて世界が展開されるのかと思いきや、屋台のラーメンのチャルメラの音とペダル・スティールの、頭の線がねじ切れるような並走を見せるイントロに導かれた軽快なカントリーのサウンド。
 でも、どうしてカントリー?なんて質問は受け付ける気配もなく、歌声は中華の双喜マーク乱れ飛ぶ西部の荒野に走り去ってしまうのでありました。

 その他、この調子で書いているときりがないんで、”白いランチで十四ノット””すたこらマンボ ””ペンキ塗りたて ” と曲目だけ挙げておくんで、後は適当に想像してください。うん、現物は多分、その想像のはるか彼方を行くかも知れないが。

 しかし、これだけ多種多様でムチャクチャな曲の数々をあてがわれつつ、それをことごとく歌いこなしてしまった歌手ひばりに改めて敬服、であります。いや、入ってきた異文化をねじ伏せて、見事なエンターティメントにしてしまった作家と歌手の共同作業に敬意を、というべきか。

 それじゃ、私はこれから、この盤の続きを聞かなきゃならないんで、内容に関する詳しい話はまたいずれ、という事で。


8 コメント(10/1 コメント投稿終了)

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ほしいです (NAKA-036)
2007-01-30 19:22:31
こりゃ「買い」ですね。演歌どっぷり前の,洋楽を昇華したリズム歌謡,是非とも聴いてみたいです。様々な方向性があるんでしょうね。明日,探してみます。
日本の歌謡曲の別の可能性を提示! (マリーナ号)
2007-01-31 01:57:24
買いまひょ、買いまひょ。
それにしても、こちらが日本の流行歌の本流になっていればなあ・・・なんて夢を見ます。
買いました。 (NAKA-036)
2007-02-01 22:00:11
マリーナ号さん,おばんです。素敵なアルバム紹介ありがとうございます。大阪万博の年に生まれた私は,「お祭りマンボ」や「真赤な太陽」くらいしか知しませんでしたが,他にも素敵なのがわんさかありますね。それぞれの方向性を受け継いでいけば。。。ほんとマリーナ号さんのおっしゃる通りですね。ミソラヒバリって凄い!!
おっ! (マリーナ号)
2007-02-01 22:38:58
買われましたね!ほんと、面白いのが目白押しですよね。こんな可能性を切り捨てて、日本の歌謡界が進んでしまった方向を思うと残念でなりません、まったく。
細かい話ですが (NAKA-36)
2007-02-02 05:27:30
1949~1967ですね。
ご指摘、ありがとうございます。 (マリーナ号)
2007-02-02 21:26:21
おっとそうですね、”1949~”でした。実は記事の”1944~”は、タワーレコードの商品表示がそうなっているので、それをそのままコピペしたのでした。間違いにまったく気がつかなかった。考えてみればそうですよね、1944年といえば太平洋戦争まっさかりで、こんな素っ頓狂な歌をレコード会社が出すわけもなく。とっとと気がつけよ、自分。てとこでしょうか。
ちなみに、今、もう一度タワーレコードを覗いたけど、いまだに”1944~”になっている。まあ、教えてやっても何もくれそうにないから、そのままにしておきますが(笑)
みなとまあちっ、じゅ~うさんば~んち~! (シン@本)
2007-02-08 23:23:52
いいですねいいですね!美空ひばりはこういうのをもっと歌ってほしかった。この「なんでもあり」感、たまりません。そういえば「白いランチで十四ノット」って映画「ひばりの花形探偵合戦」で使われていた歌だったような……。高倉健と探偵勝負するんです、たしか。健さんもまだお気楽な二枚目で。
「エスキモーの娘」「すたこらマンボ」………題名だけでも楽しい。本当に、こっちの方が主流になっていたらなあ。今のTVではひばりといえば「川の流れのように」になっているのは残念です。
もう一つ、別の日本へ (マリーナ号)
2007-02-09 06:01:30
シン@本さんへ
このような音楽の可能性を捨て去り、”演歌の女王”なんてものにひばりがなって行ったのと、日本が「国民を不幸にする”先進国”」への曲がり角を曲がったのと、実は連動するのではあるまいか?などと疑ったりする今日この頃です。