えーと、まずは添付の映像をご覧ください。このカセットの素性、どなたかご存知ありますまいか?
これは知人が引越しに際して放出して行った音楽ソフトの中に入っていたカセットなんです。全部で6本あります。どれもこんな風に簡単な椰子の木のイラストとタイトルが記されているのみです。発売元の会社名とか商品のコード番号とかも記されておらず、おそらくは研究家が自分のコレクションしたSP盤を勝手にカセットにダビングして、原版を作り、若干を複製して同好の者相手に放出したのでしょう。
ジャケの紙質等から考えて、外国、おそらくは英国製ではないかと想像するのですが。なかにはレコードに針を落とす音が録音されてしまっている曲もあり、制作者のアバウトな性格がしのばれます。
タイトルは、”KAISO! Calypsoes Recorded in Trinidad and New York”というのが4巻、そのうち3本が(1935-1945)と、残り1本が(1934-1941)となっております。あと2本のタイトルは”MENTO Jamaican Calypsoes 1950s”とあります。
”KAISO!”の中身はまさにタイトル通り、アッティラ、ライオン、フーディーニといった初期のカリプソ歌手たちの歌が入っています。聞いてみると、まあ、のどかなものですね。カリブ海はトリニダッド島で、当時のジャズの圧倒的影響下で生まれ、やがて独自の表現を確立して行った、まさにその黎明期のカリプソの数々です。
初期のジャズ・マナーのバッキングによりまして、”i Sent My Wife To The Maket”とか”Monkey Swing”とかいった、ピコンというのはこういうのを言うんですかね、いかにもすっとぼけて皮肉の効いた歌詞を、歌手たちはコミカルに歌い飛ばしています。なんか、良い湯加減ですねえ。この辺の素朴な時代のカリプソが、私なんかは一番好きですね。
MENTOというのは、同じようにレゲ誕生のずっと前のジャマイカで歌われていたカリプソを、この場合は指すみたいですね。ジャマイカ産のもうちょっと違ったタイプの、まさに前段階のレゲって雰囲気を伝える、やはりMENTOと呼ばれる音楽を聴いたこともあるのですが、それとここに収められた音楽とどのような関係にあるのか私には分かりません。そもそもその辺、あんまり詳しくないんで、よろしく突っ込んでいただけると助かります。ともかくこちらも、古き良きカリブの空気横溢のカリプソが満載です。
まあこれ、海賊版なんて気の効いたものでもないですね、こんな音楽をいまどき求める者が世界中に何人いるか考えても、まったく商売になりそうにないし。マニアからマニアへのプレゼント、か。著作権上、どうなるのか知りません。
それにしても何者なんでしょうね、このカセットの制作者は。そもそもの入手者の知人もいつどこで買ったのか覚えていない、多分、20年位前で、おそらくは日本でではないだろう、なんて記憶の霞みようでお話になりませんし。ひょっとして、名のある研究家から流れてきたのではないかなあ、とか勝手な期待を込めて、このお尋ね文を書いているんですが。
うむ、なんか「お宝鑑定団」に出ている気分だ(笑)どうか、このカセットに関する情報をお持ちの方、よろしくお願いいたします。
そうですか、イギリス産かと思ったら、アメリカのコレクターの仕業でしたか。
そういえば、カセット本体に「エスニック・カセット」との文字が印刷されていますね。これ以外の国のものも聞いてみたいですね、こうなると。