SHRI ANANDI MA というインド人女性の歌う、バジャンなる音楽のアルバム、”DIVIN BLISS ”である。奉献歌と言うそうな。ヒンズ-教の神様へ奉納するために歌われるものなのだろうか。
ひたすら穏やかで安らぎに満ちた歌声が素朴すぎる伴奏を伴い、この世に生きるもののすべての懊悩を包み込むように、しっとりと流れてゆく。
あの官能的なインド音楽のメロディが、ここではまるで別の、静謐さ溢れる表情を見せている。安易に使われる「癒し」なる言葉であるが、それがここまで誠意を持って溢れ、伝わってくる音楽も珍しいだろう。
無宗教もいいところの私であるが、自らのタマシイを、「神」などという、なにやら巨大(らしき)なものにゆだねる事の安楽がどのようなものか、その輪郭が見えてくる思いがする。