捕鯨母船が苫小牧港初入港 27日、歓迎セレモニー 市内7小学校児童が船内見学
捕鯨・調査事業を展開する共同船舶(東京)が運航する世界唯一の捕鯨母船・関鯨丸(かんげいまる、9299㌧)が27日、苫小牧港・西港に初入港する。苫小牧港管理組合によると、捕鯨母船の苫小牧への寄港は、記録が残る2000年以降では初。当日は歓迎セレモニーを予定している他、市内の7小学校の児童約600人に船内を公開し、クジラ料理を振る舞う計画もある。 捕鯨母船は、捕鯨船(キャッチャーボート)が捕獲したクジラの解体や加工をする船。全長は112㍍、幅は21㍍で、70㌧級の大型クジラも引き上げ可能。23年に引退した日新丸の後継船として24年5月に操業を始め、同年度はニタリクジラ175頭、イワシクジラ25頭、ナガスクジラ30頭を捕獲した。10月11日から今年最後となる4回目の操業を北海道東方沖で実施しており、苫小牧港は漁場や消費地から近く、新鮮なまま水揚げ可能なことから寄港地に選んだ。 関鯨丸と捕鯨船の勇新丸(724㌧)は27日午前7時、西港区の南埠頭(ふとう)に入る。苫小牧港利用促進協議会が歓迎セレモニーを計画。捕鯨の調査や広報を行う日本鯨類研究所(東京)が27、28の両日、市内の7小学校の児童約600人を対象に、船内見学やクジラ料理の試食を予定している。 同船が母港とする山口県下関市以外で、小学生向けの見学会を開くのは初。共同船舶や同研究所と連携して商業捕鯨を推進する日本捕鯨協会(東京)は「見学会は市、各校の理解で実現した。苫小牧の子どもたちにクジラのおいしさを知ってもらいたい」と話す。 苫小牧港ではナガスクジラの生肉2・7㌧を水揚げする計画。秋のナガスクジラは脂乗りがよく、冷凍していない生肉の刺し身はクジラ肉本来のうま味が楽しめるという。肉は札幌、下関、福岡の各市場に出荷し、同船は28日午後4時に出港する予定。(神部造)
苫小牧民報