世界遺産のマヤ遺跡、チェチェンイッツァー。
未だに謎に包まれたマヤ文明、その最大規模の遺跡ということで、
今回の旅のメインフューチャーの意気込み。
Cancunからバスで3時間かけてようやくたどり着く。
木の生い茂る敷地内を順に説明をうけながら遺跡を廻る。
そうしてしばらく緑を抜けると急に広大な空き地が出現。
そびえ立つは"エルカスティージョ"と呼ばれるピラミッド。
9世紀初頭に完成したと言われるこの神殿には、
マヤ文明の叡智が垣間見られるという。
各面に91段×四面で364、これに一番上の1段を加えて365、
つまりこのピラミッドの段数で一年を表している。
正面にたって拍手を打つと、弓をはじいたときのような音がこだまする。
音量だけでなく、音質まで変化するのが驚き。
そして年に二度(春分と秋分)、中央階段に沿って
天からククルカン(信仰の象徴である蛇)が降りてくるかの如く影が映しこまれるつくり。
こんな仕組みが紀元前に考えられえいたとは、先人の知恵恐るべし。
以前は上ることもできたというこのピラミッド。
しかし頂上部分への度重なるいたずら書きのひどさゆえ、数年前から禁止に。大変残念。
しかし登れたとして、この急な斜面、ちょっと躊躇してしまいそう。
一番興味深かったのは、生贄の文化がそこここに見られたこと。
ピラミッドの隣には、ゲームコートが残されている。
壁には輪の形のゴールがつけられ、かつてボールゲームが繰り広げられた場所。
試合には生ゴム製で重さ数キロのボールが使われ、手も足も使ってはいけないルール。
それはそれは痛々しい試合だったよう。
(しかし試合中に流れるその血がむしろその土地への捧げものとなるため、よしとされていたとか。)
御前試合のようなかたちで、数日間にも渡り試合が行われ、
勝者チームのキャプテンは一番の栄光を手にしたという。
そしてその栄光の証が神への生贄となることだったのだというから驚く。
現代の我々から見れば、誰が生贄にされるために闘うのか、と考えるところだが、
あの時代、この場所においては、それはごく自然な心理だったのかもしれないと思うと、
改めて社会が持つ価値観というものの大きさを感じる。