善光寺が聖火出発地を辞退したとのニュース。
実は一連の騒動が始まったロンドンでの聖火リレー、
その場にまさに、いましたワタクシ。
4月にもかかわらず雪がちらついた朝。
もしかしたらチベット関連で活動家が来てるかもねー、
なんて暢気に言いながら向かった大英博物館前。
中国系市民が赤い国旗を持って歓声を挙げている傍らに、
Save Tibetの旗を掲げた反中国の大集団。
こういう騒動があると、どうしても人道的に正しいほうに気持ちがいくのが人情というもの。
路上のチベット人活動家が配る旗を受け取る。
集まったアジア系はやはり中国系が多い中、黒髪の私が持つ旗の意味は重い。
それを覚悟した上で受け取ったつもりだったのだけれど、
騒動を見ているにつれ、何ともいえない居たたまれなさが襲う。
活動家の殆どは西洋人、そしてとにかく中国を侮辱する言葉を吐き続けているという事実。
半ば嬉々として中国系市民に迫っていく彼らの姿を見ていると、大きな疑問が湧いてくる。
この中のどれだけの人が本当にチベットを思って"shame on you"と叫んでいるのだろう。
昨今ますます加速して台頭してきた中国パワー。
これまで世界を制したつもりだった西洋人にとって、この現状は脅威かつ面白くないもの。
皆が目をそらそうとしている、だけれどのシンジツ。
そんな行き場がなく鬱積した反中感情を、free Tibetを隠れ蓑にして叫んでいるように見えてしまうのは私だけだろうか。
私自身は、チベット問題に関しては、そこまで深く突き詰めて調べてもいないし、
正直なところ、世界情勢のひとつとして捉えるまでで、そこまでの強い感情も持てない。
そんな人間がこの旗をもってこの場にいてもいいのか。
彼らを見ていたら、そんな何ともいえない哀しい気持ちになってきて、
聖火を見届けるとそそくさと逃げるように帰ってきた。
「正義」という名のもとの偽善と傲慢さに嫌悪感を持ちながらも、
一方でただの傍観者でしかいられないのであれば何も変えることはできない。
そんなジレンマ。
長野での聖火リレーでもチベットがらみの混乱が危惧されてるけど、私は沿道から大量の冷凍餃子が投げ込まれる、餃子の着グルミを着たヤツが暴れると予想してます。
しかしなんだかなーの世の中ですな。