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輪るピングドラム 第18話「だから私のためにいてほしい」感想

 今回は多蕗回。これまで謎に包まれていた多蕗の謎や過去について描かれていきます。これまでのキャラ同様、背負っているものが重すぎて「多蕗、お前もか…」と言いたくなりました。ピンドラは普通の家庭のキャラはメインにはなれないんでしょうか…。山内さん演出のせいか、いつも以上に何か胸に響いてくる…そんな1話でした。


 最初は多蕗の過去について描かれていきます。モネの絵がモチーフになっているのに驚きました。多蕗の母親の声は久川綾さん。やっぱり存在感あります。
 多蕗の母親は才能がある人が大好き。多蕗の父とも才能目当てで結婚しますが、才能がないということで離婚。多蕗母もゆりの父同様、問題のある人物のようです…。
 多蕗は母親に好かれたいと願い、ピアノを始めることに。多蕗もかなり努力して母親を繋ぎとめようとしていたようです。
 その後母親の再婚で多蕗に弟が生まれますが、弟のピアノの才能は多蕗以上。多蕗はそんな弟の才能に恐れを抱きます…。そして自分はどんなに努力しても弟を超えることはできないと自覚。多蕗は弟に対抗するのを諦め、ピアノカバーで手を挟み、自分でピアノを弾けなくしてしまいます――。母親の愛を永遠に自分のものにするために。多蕗の指の怪我は自分でつけたものでした。多蕗の手がああなったのは他人のせいじゃなくて、自分でやったことだったんですね…。
 でも多蕗の母親の愛はその後弟へ注がれていくことに…。母親はもう成果を残せない多蕗に見向きもしなくなったようです。そして絶望した多蕗は…?他のキャラ同様多蕗もかなりハードな過去を持っていました。そして多蕗も親に問題が…。ピンドラのメインキャラは何故こんなに家庭に問題を抱えているんでしょうか…。というよりそれが必然なのかもしれません。

 エレベーターで上の階まで登ってきた後、多蕗の企みにより、陽鞠と離れ離れにされた苹果。多蕗は陽鞠をゴンドラに載せて落下させ、陽鞠を殺そうとしていました。ここにきて多蕗がヤンデレ化…。本気の多蕗はやはり怖かったようです。
 冠葉は陽鞠を夜になるまで病院に連れ帰そうとしますが、なかなか陽鞠を見つけることができず。そこに多蕗から陽鞠を返して欲しければ父親を連れてこいと命令する電話が。ですが冠葉にも父親とコンタクトを取る方法はなく…。状況はますます絶望的に。

 母親の愛を失った後、多蕗は子供ブロイラーされる空間に迷い込んでいました。一体何故そんな空間に迷い込んだのかは謎です…。過去話の子供ブロイラーなシーンがここに繋がってくるとは…。いつかやるとは思っていましたが、怖すぎます…。
 人間ブロイラーに消されそうになった多蕗を救ったのは桃果!桃果が多蕗を救いに人間ブロイラーに乗り込んできました!桃果は自分が多蕗を必要としていると、多蕗を必死に説得しようとします。桃果だけは多蕗のピアノを聴いてくれていました…。多蕗のピアノについて語る桃果良い感じでした。

「私が聴いたのは、あなたの心だもの」

 ですがその時は着実に近づいてきて…。どうやら人間ブロイラーされると粉々になり、誰が誰だかわからなくなり、透明な存在になってしまうようです…。砕かれる様は、まるでゴミのよう。一話から繰り返されている「きっと何者にもなれない~」というのは人間ブロイラーされかかっている親から見放された子供達を指しているかもしれません。
 とうとう多蕗・桃果に攻撃が…。ですがそれでも桃果は諦めず、攻撃を受けても必死に多蕗を説得し続けます!

「ダメ!
 多蕗君は多蕗君のままでいなきゃ」

「あなたのこと大好きよ
 だから透明になんかならないで
 私のところに帰ってきて…」

「だったら私のために生きて!」

 ここの桃香の言葉にはもう涙が…。なんだか多蕗とゆりがあそこまで桃果に執着する意味がようやく分かった気がします。この辺のシーンは山内さんの演出と上手くマッチしていてとてもよかったです…。
 そうして桃果に救われた多蕗。桃果も攻撃を受けて腕に怪我をしますが、桃果はそれもまた運命だと受け入れていました――

「さあ、一緒に帰ろう
 これで私達はおそろい。
 きっと、そうなる運命だったのよ」

 そうして多蕗に手を差し伸べる桃果。こうして多蕗はひとまず救われました…。いや、本当この辺のシーンは素晴らしかったです。桃果の優しさに感動してしまいました…。


 陽鞠を助けようと必死になる冠葉・苹果。多蕗と対峙する冠葉。父親は来ないと言いますが、多蕗はそれで納得せず、冷ややかな視線を冠葉達に向けてきます――。多蕗が怖い悪役に…。ようやく石田さんの役らしくなってきた気がしました。
 陽鞠を殺そうとする多蕗。そんな様子をみて苹果は警察に連絡しようとしますが、警察を呼ばれると困るのは冠葉の方だと多蕗が。多蕗は冠葉がどういうことをしているのか知っているようで。犯罪組織の残党と組んで仕事。確かにマズいですね…。
 そう父親と接触できないことを主張する冠葉。ですが否定すれば否定するほど、陽鞠が死に近づき…。多蕗はこれは罰だと、罪を償ってもらうと冠葉に強要。

「父親の罪はその子供たちが償うんだ」

 多蕗の笑みが怖すぎる~。これまで多蕗が笑顔ばかり浮かべていたのも、そんな多蕗のヤバさを際立たせるためだったのかもしれません。冠葉の陽鞠への愛が試させる時がきました…。 この状況に弱気になる冠葉でしたが、どんどん下に向かう陽鞠が乗るゴンドラ…。それでも必死にゴンドラを止めようとする冠葉でしたが、ゴンドラのワイヤーを掴む冠葉の手も血まみれに…。ですが冠葉は決してワイヤーを話そうとはしませんでした――。久々に冠葉の熱い姿が見れて満足です。

 そんな陽鞠を救おうと必死になる冠葉を見て笑う多蕗。ですがそんな冠葉を見て、多蕗は人間ブロイラーまで助けに来てくれた桃果のことを思い出します――

「嫌だ、絶対離さねえ」
『桃果…』

 そうして今の自分に絶望する多蕗…。桃果がいれば自分はこうならなかったと嘆きます。多蕗はやっぱり桃果・地下鉄の事件のことを吹っ切れていなかったんですね…。今でも多蕗にとって桃果は大切な存在でした。
ですがゴンドラの落下は止まらず…。陽鞠も覚悟を決めて、その運命を受け入れようとします――

「もういいよ、もういいよ冠ちゃん…
 私のために頑張らないで…」

 陽鞠はそう幸せだったからと、死を受け入れようとします。陽鞠も自分の病はもう治らず、冠葉達が一生懸命自分を生かそうと苦しんでいることを察していたようです。このシーンで陽鞠がようやくヒロインっぽく見えた気がしました…。ここはピンドラの名シーンになりそうな予感が。

 そうして死に向かって行こうとする陽鞠…。ですが冠葉はそれでも受け入れられず…。


「俺はお前のために生きたいんだ」


 陽鞠を見つめる冠葉が悲壮感があって辛かったです…。そして陽鞠のために生きたいという冠葉の想いがとても切なかったです…。冠葉、実は一途だったのかも。そしてBGMが神すぎました…。
 ですがそんな陽鞠を助けたのは、多蕗…。陽鞠を助けようと必死になっている冠葉を見て、自分を桃果が助けてくれた時のことを思い出したようです…。そして今自分がしていることに虚しさを感じたのかもしれません…。
 そうして陽鞠を助けた後、多蕗は苹果を高倉三兄妹の方へ導いた後、そのまま去って行きます…。

「苹果ちゃん、僕のようになっちゃだめだ」

 そんな多蕗の身を案じる苹果ですが、もうどうしょうもなく…。多蕗はやっぱり救われないようで…。
 こうして陽鞠は救われますが、残ったのは物悲しさだけ…。あとここで晶馬がようやくここに。そんな晶馬に冠葉は、

「罰は俺が受けた。安心しろ」

 と、言い、陽鞠を病院に届けて欲しいとお願いして倒れてしまいます…。冠葉は本当に傷ついてばかり…。でもペンギン達の治療・エロ本を見せるシーンでなんだか色々台無しに~。ペンギン達やっぱり面白すぎです。


 多蕗とゆり。ゆりはまだ日記の片割れを所有しているようです。ゆりは多蕗のことをそれなりに信頼していたようで、ショックだったようです。
 ゆりさえも欺いていた多蕗。ゆりにさえも偽の家族で、お互いを利用する関係でしかなかったと発言。そして多蕗をビンタするゆり…。共犯者的な関係な二人でしたが、桃果を知る者同士ということで、ゆりは多蕗を信頼はしていたのかもしれません。

「さよなら…」

 そうして多蕗に別れを告げるゆり…。失敗に終わった二人の計画。これで二人の関係・出番は終わりなんでしょうか、それともまだ…?できればまた仲直りして欲しいです。
 そんな様子を見ていた夏芽。日記の片割れを持っていたりと、どうやらあの戦いは引き分けで終わったようです。冠葉を家から引き離そうとまた行動を起こそうとする夏芽。夏芽もまだまだ終わらないようです。


 高倉3兄妹、そして苹果。三人と気持ちを分かち合う苹果。苹果は三人と運命を共にすることを決意します――


「私は違うよ
 私は晶馬君達のことを嫌いになったりしない
 悲しいことも、辛いことも、無駄だなんて思わない。

 悲しいこともきっと運命なら意味がある。
 私は受け入れて強くなるよ
 だから――」


 このセリフを聞いてまた一話冒頭のあのセリフを思い出しました。今ならその意味もなんだか分かる気がしてきました。そしてサブタイの「だから私のためにいてほしい」が最後に上手く繋がっていてすごいなと感じました…。
 あとEDの灰色の水曜日もぴったりで、余韻を感じさせる終わり方でした。夏芽回と本当対照的すぎます~。

 今回は山内重保さん演出ということで、一つ一つのシーンに重みがあり、見応えがありました。静と動のシーンのメリハリの付け方がお見事。あと今回は髪や服のたなびきが神がかっていて、思わず見入ってしまいました。
 あと山内さん参加回だからなのか馬越さんも参加されていて驚き。山内さんだからそうなのかと思っていましたが、画まで本当にキャシャーン回だったとは…。後半パートは本当に素晴らしかったです。
 今回は多蕗をはじめとするキャラの感情が深く描かれていて、味わい深い一話だった気がします。今までのピンドラ回の中で現時点で私的に一番好きな話になったかもしれません。


 次回は「私の運命の人」追い詰められていく高倉三兄妹。エンドカードが切なくて泣けました…。これからどうなっていくんでしょうか…?そろそろ終わりへ向かって話が進んでいくようですが、どうなるかさっぱり予測できません~。

 あと小説版ちょっと読んだのですが、アニメでは分からないキャラの細かな感情が分かってよかったです~。多蕗の過去や笑みの理由に関しても、もう少し踏み込んで描かれていて、アニメを観てから小説を読むとなんだか二度おいしい気分に。ちなみに最終巻の3巻は1月発売だそうで、最終回のネタバレにはならないようで安心。

 ではまた次回に!

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