『ヤンキーと地元』が、第6回沖縄書店大賞(沖縄部門)に選ばれました。
残念ながら新型コロナウィルスの影響で授賞式は中止となりました。以下、コメントを発表させてもらいます。。
■■
『ヤンキーと地元』を書いた打越正行と申します。この度は、第6回沖縄書店大賞をいただき、感謝申し上げます。新型コロナウィルスの影響によって授賞式が中止となりとても残念です。
拙著は、沖縄の国道58号線、通称ゴーパチで暴走していた若者たちの10年間を記録したものです。現在も、彼らは沖縄の基幹産業である建設業で日々汗を流し、また夜シゴトの店長やオーナーとなり、違法就労に就きながら人生を歩んでいます。彼らが地元で営む生活、またそこでつくられる社会関係は、率直に申し上げて過酷なものです。しーじゃ[先輩]とうっとぅ[後輩]の上下関係は絶対的なものであり、往々にして暴力が振るわれます。そしてその生活や社会関係には沖縄の歴史と社会の構造が埋め込まれています。ここにも構造的差別の現実があります。
そのような現実は、「復帰」前後から現在に至るまで続くものです。その歴史をまさに身ひとつで生き抜いてきたひとりが、拙著に登場するよしきさんです。彼は「復帰」前の沖縄に生まれ、おそらく今日も現場で働いています。彼は「誰も助けてくれんかったよ」と、人生のピンチに直面した時のことを話してくれました。助けてくれなかったのは、本土に移り住んだ時に保育所の申込みを門前払いした役所の職員、そして子どもの医療費を捻出するために土下座してまわった沖縄の親戚、幼馴染、建設会社の同僚でした。そのような彼が直面する現実から日本社会や沖縄の地域共同体について考えることが私の研究です。
振り返れば、私の研究の原点は沖縄に対する無知です。知らないことは恥ずかしく、とても怖いことで逃げ出したくなったこともあります。それに対して、私は地べたで調査を続けることを研究の柱にしてきました。自身にとって都合のいい沖縄を描くのではなく、彼らの生活や人生から見たくない不都合な沖縄を描く。寄り添うなんておこがましいのです。
そしてそのような沖縄の現実を本土の人びとに伝えることが次の課題です。彼らが日々格闘しながら生きているように、私も本土社会、また学問の世界で闘っていく覚悟でいます。その闘いはまだ始まったばかりですが、これからも続けていきます。
最後に、書店大賞の関係者の皆さま、また沖縄の読者の皆さま、そして10年前本土から来た私に自身の人生を語り、地元の生活について教えてくれた彼・彼女らに心より感謝申し上げます。
2020年4月17日 打越正行
沖縄書店大賞 受賞作ノミネート作一覧