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打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

出稼ぎ・〈キセツ〉・違法就労――グローバリゼーションとコミュニティの依存関係

2012年11月04日 13時17分41秒 | 口頭発表

■打越正行,2012年11月4日,『出稼ぎ・〈キセツ〉・違法就労――グローバリゼーションとコミュニティの依存関係』第85回日本社会学会若手企画テーマ部会(札幌学院大学).

概要

本報告は,現在の沖縄の下層若者の就労世界が,グローバリゼーションのもとでいかなる変化を遂げてきた/いるのかを詳細に記述し,その現代的意味を考察することを目的とする.そのために,ここでは沖縄の下層若者の多くが経験し,また経験していない者にも強烈な影響を与えている〈キセツ〉という就労形態に着目して,彼らが違法就労や不安定就労に積極的に就く過程の説明を試みる.

沖縄の下層若者の現在の就労環境は,「復帰」直後と比較して,より劣悪なものへと変容している.本報告ではこの変化を,沖縄の下層若者の主な就労形態が,かつての出稼ぎから〈キセツ〉へと変容していることから説明を試みる.ここで出稼ぎとは,帰沖後の生活をある程度見込める就労形態であり,〈キセツ〉とはそれを見込めない就労形態である.「キセツ行っても,人生にプラスはない」という言葉から象徴的に読み取れるように,彼らは将来の生活を見込めない〈キセツ〉よりは,失業や逮捕といったリスクを含みつつも将来の生活を見込める違法就労に積極的に向かう.またこの〈キセツ〉という就労形態の存在は,〈内地〉での就労経験のある若者はもちろん,経験のない若者にも違法就労へ方向付けたり,不安定・低賃金・危険な職種にとどまらせたりしている.ここからは現在志向を抱く日本の不安定就労に就く若者とは対照的に,未来志向を抱いて違法就労に向かう沖縄の下層若者の姿を確認できる.このようにグローバリゼーションは,資本主義の末期的現象として,沖縄の下層若者にターゲットを絞り差別的に搾取を推し進めているが,それは彼らの生きるコミュニティに支えられた現象である.その点でグローバリゼーションとコミュニティは依存関係にある.

キーワード:沖縄,〈キセツ〉,コミュニティ

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プログラム

沖縄のヤンキー若者の就労世界――〈地元〉に着目して

2012年01月21日 01時54分53秒 | 口頭発表

■打越正行,2012年1月21日,『沖縄のヤンキー若者の就労世界――〈地元〉に着目して』沖縄の青年の生きるかたちから学ぶシンポジウム(沖縄大学).

概要

 本報告は、沖縄のヤンキーの若者たちが具体的につながり、ゆんたく(おしゃべり)する際に重要な役割を果たしている〈地元〉に着目する。そして、そこでの実践が彼・彼女らの文化(価値規範、言語、生き抜き戦術)や就労世界への移行にどのような影響を与えているのかを考察することを目的とする。

 このために、裕太にーに(仮名、以下同様)、ヒトシそしてエミを中心とする女性グループをここでは紹介する。裕太にーには〈地元〉建築業で働く暴走族リーダーの青年である。彼は〈地元〉の暴走族で新参者の中学生を一人前の暴走族少年、そして建築労働者としてシゴキあげる。この過程は〈地元〉内部からの記述となる。続いて、ヒトシは〈地元〉の社会関係資本を徹底的に利用して違法マッサージ店の店長になったヤンキー青年である。最悪の事態を回避するために有効な役割を果たしているのが〈地元〉つながりである一方で、〈地元〉つながりこそが彼をリスクのともなう業界に方向付けている。この過程は〈地元〉の内部、もしくは境界からの記述となる。最後にエミとその友人は、メンバー全員が深夜サービス業に就き、休日にはギャラリー(暴走族見物)をする女性グループである。深夜サービス業をはじめたきっかけ、そしてそのストレスフルな業界でなんとか働き続け、店を変えたり辞める過程で、女性グループは最後の砦としての役割を果たしている。また一人ひとりの女性は上述の男性との関係性に大きく依存せざるをえない。このようなことから、この過程は〈地元〉の外部からの記述となる。

 それぞれの記述から明らかになったことは、裕太にいににとっては昨今の労働市場の再編メカニズムへの少なくとも緩衝点であるかにみえる〈地元〉が、ヒトシにとっては不安定な就労形態へ導く契機としてあり、エミたちは〈地元〉によって不安定な就労世界に就く男性に依存せざるをえないという連鎖を確認できる。彼・彼女らは〈地元〉との距離と態度によって、下層労働市場へ供給される労働力としていかに醸成されるか、どのくらい貯蔵されるか、どこへ配分されるか、そして廃棄されるかといった方向付けがなされている。そこで〈地元〉は、下層労働市場を細分化し、序列化し、そして固定化する役割を無償で「外部委託」されている。その点で、沖縄の下層若者は「なかなか廃棄されない生」を引き受けざるをえない境遇を生きている。

キーワード:〈地元〉、ヤンキー、沖縄

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沖縄の下層若者の労働世界――地元つながりと包摂・拘束・断絶

2011年09月04日 01時48分13秒 | 口頭発表

■打越正行,2011年9月4日,『沖縄の下層若者の労働世界――地元つながりと包摂・拘束・断絶』第27回日本解放社会学会テーマ部会(弘前大学).

概要

 沖縄の下層 若者の労働世界をもとに、昨今の下層労働力(者)の再編と排除の諸相をつかみ、現代社会の諸問題を考察した。

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プログラム

沖縄の暴走族少年たちの生きる地元――シゴキを通じた暗黙の定員制にみる排除と包摂の論理

2011年07月15日 01時49分03秒 | 口頭発表

■打越正行,2011年7月15日,『沖縄の暴走族少年たちの生きる地元――シゴキを通じた暗黙の定員制にみる排除と包摂の論理』先端社会研究所「セキュリティ/排除」プロジェクト第5回研究会(関西学院大学).

概要

 本報告は沖縄の暴走族少年らが生きる地元の排除と包摂から現代社会論を開始する地点を設定することを目的とする.具体的には,地元での新参者へのシゴキによって,暗黙の定員制がしかれる過程に着目して,排除と包摂の論理を記述・考察する.地元には,コミュニティで前提となるメンバーの均質性とそれによる閉鎖性,また衣食住といった生活の実体は見当たらない.それらをふまえて,本稿では地元をコミュニティが解体する前の臨界状態にある場所と位置付ける.今までの調査で,彼らが地元での実践を通じて,メンバーの代替不可能性を生み出しうることをみてきた.ではその地元は,いかなる過程を経て形成されるのか,本報告はここに焦点を絞る.調査を通じて明らかになった点は,2つある.

 1つ,彼らが地元に集まり,さまざまな活動を展開する際に必要最低限の資源が地元にあること(唯物論的視点).地元に集う彼らは多様で流動的であるため,共有する文化や物語以前に,まずはそこに集うための資源が欠かせない.2つ,その資源を有効に用いるために,地元が適切な規模と組織形態にあること(生態学的視点).これに着目するのは,地元が適切な規模にないと,その資源が無効化されるためである.その資源はもともと廃棄物か流通品であったが,地元にあることによって,再び有効な資源として用いられる.
 以上から,沖縄の暴走族少年たちが生きる地元は,最低限の資源と,それを有効に使用する環境があることで,メンバー同士の代替不可能性を形成しうる可能性があることを確認した.それをもとに,現代日本社会を論じる視点を再設定した.

キーワード:地元,沖縄,包摂/排除

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沖縄の下層若者文化と〈地元〉概念

2010年11月06日 01時43分53秒 | 口頭発表

■打越正行,2010年11月6日,『沖縄の下層若者文化と〈地元〉概念』第83回日本社会学会(名古屋大学).

概要

 沖縄の下層若者にとっての地元を「日本」のそれとの比較をもとに記述・考察し、下層若者文化研究における地元概念の意義を提起した。

欧文概要

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報告レジメ

沖縄の暴走族とヤンキーの意味世界

2009年04月25日 14時05分53秒 | 口頭発表

■打越正行,2009年4月25日,『沖縄の暴走族とヤンキーの意味世界』「東アジアのストリートの現在」研究班主催公開シンポジウム(関西学院大学).

概要

 暴走族、ヤンキー、ギャラリーにとって地元の意義を、彼彼女らの意味世界から記述し考察した。地元は多少のしがらみがあるものの、剥き出しの資本主義に対してブレーキをかける面も持ち合わせていることを指摘した。

開催報告

〈暴走族〉をめぐる統制と抵抗

2004年11月20日 23時25分34秒 | 口頭発表

■打越正行,2004年11月20日,『〈暴走族〉をめぐる統制と抵抗』第77回日本社会学会(熊本大学).

概要

 広島市の暴走族を対象に現代社会における統制と抵抗の諸相を記述し、その記述の分析を試みた。対抗的な若者文化を扱った先行研究では主に教育社会学では再生産が重視され、カルチュラル・スタディーズなどでは抵抗に注目されてきた。そのような対立を、敗者のやり方としてのブリコラージュに注目することで乗り越えを試みた。

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