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打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く

2024年05月25日 19時25分30秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2024年5月25日、「沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く」第82回西日本社会学会シンポジウム『就労をめぐる不安定さと困難』久留米大学.

 

要旨

 本報告は沖縄の建設業から、特にそこで働く男性たちの社会関係、身体、感覚にもとづいて、日本型雇用システムの欺瞞を暴くことを目的とする。ここでいう欺瞞とは、沖縄の建設業で働く男性らが日本型雇用システムに依存しているのではなく、日本型雇用システムこそが、彼らに依存しているということである。彼らは、厳しい上下関係を形成し、暴力をいとわない身体をつくりあげ、閉鎖的な空間感覚/現在志向の時間感覚を身に付ける。それらはなんらかの指導や支援が行き届かない結果として表れるものではない。そうではなく、彼らが沖縄の建設業を生き抜く過程で積極的に身に着けたものであり、同時に身に着けざるをえない彼らの生き方としての文化である。その文化のダイナミズムを読み解きながら、日本型雇用システムが、沖縄の建設業に依存してきた現実を明らかにする。

 

■第82回西日本社会学会 大会シンポジウム「就労をめぐる不安定さと困難」
日時:2024年5月25日(土)14:00-17:00
場所:久留米大学 御井キャンパス(〒839-8502 福岡県久留米市御井町 1635)

 

報告者

 

第1報告:打越 正行(和光大学)
「沖縄の建設業からみる日本型雇用システム――建設現場の男性たちの社会関係・身体・感覚から読み解く」

 

第2報告:金本 佑太(神戸学院大学)
「若年無業者の社会的排除の実態と社会的包摂に向けた支援のあり方――地域若者サポートステーション事業利用者の事例から」

 

第3報告:二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)
「過疎地域における外国人の就労と生活――グローバル経済社会を生き抜く生活戦略としての越境労働」

 

コメンテーター
王 美玲(台湾・淡江大学)
堤 圭史郎(福岡県立大学)

 

司会:二階堂 裕子(ノートルダム清心女子大学)

 

大会プログラム


青年期の〈生活-文脈〉理解――『ヤンキーと地元』を中心に

2023年09月12日 20時58分23秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2023年9月12日、「青年期の〈生活-文脈〉理解――『ヤンキーと地元』を中心に」〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム『生涯発達と〈生活-文脈〉理解』愛知県立大学.

 

趣旨

 人びとが生活を営み、人生を歩む。そのことを相互に理解することが、いま難しくなっている。その一方で、特定の人びとをできあいのカテゴリーやわかりやすい基準で評価しあう、そのような安易な理解が蔓延っている。理解の難しさゆえに、わかりやすさに飛びつく傲慢な態度と、難しさゆえに慎重な態度がとられる。その結果、傲慢さと慎重さは、理解を蓄積し進めることから遠ざけてしまう。
 そのような状況に抗するために、〈生活-文脈〉理解研究会では人びとの語りをその生活文脈に沿って理解することを愚直に積み重ねてきた。当日は、〈生活-文脈〉理解について紹介し、教育現場や支援の現場での応用可能性について、それぞれの研究成果にもとづき報告、議論が展開される。

報告:宮内 洋(群馬県立女子大学)、打越 正行(和光大学)
   新藤 慶(群馬大学)、松宮 朝(愛知県立大学)

司会:新藤 慶

場所:愛知県立大学 長久手キャンパス

日時:2023年9月12日(火)14:30-17:00

主催:〈生活-文脈〉理解研究会

 

 


製造業なき経済成長/談合なき建設業――建設業からみた『戦後』沖縄

2022年12月04日 11時44分32秒 | 口頭発表


■打越正行、2022年12月4日、「製造業なき経済成長/談合なき建設業――建設業からみた『戦後』沖縄」沖縄社会学会 第5回大会(沖縄県立看護大学、zoom).

概要
 本報告は、建設業に従事してきた労働者の現実から、沖縄の「戦後」について考察することを目的とする。
 結論から述べると、彼らが経験した沖縄の「戦後」とは、日本社会が経験した戦後とは異なる。戦後の日本社会は、製造業(重化学工業)がリードする経済成長を経験したのに対し、沖縄社会では製造業なき経済成長を経験した。また日本社会の経済成長にかげりが見え始めた1970年代になされた、建設業を通じた地方への再分配政策、そしてその象徴としての談合が沖縄の建設業にはほとんど定着しなかった。このように建設業から沖縄の「戦後」を捉えると、それは製造業なき経済成長と談合なき建設業によって特徴づけられる。
 沖縄の建設業に従事する労働者は、その異なる「戦後」を固有の社会関係をもとに生き抜いた。この過程でつくられた社会関係をつかむことから、「戦後」の沖縄社会が階層化される過程について迫る。

 

学会HP


Therapeutic Communityと地元を生きる

2021年09月03日 13時07分26秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2021年9月3日、「Therapeutic Communityと地元を生きる」〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム「〈生活-文脈〉から考える 映画『プリズン・サークル』における痕跡」(愛知県立大、zoom).

 

 映画『プリズン・サークル』の隙間やその後に存在する、男性たちの「どうしょうもない」世界(=地元)に注目した。その世界を遅れた世界/間違った世界とだけみてしまうことでこぼれ落ちてしまう現実とその意義について、コメントした。

 

〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム

「〈生活-文脈〉から考える 映画『プリズン・サークル』における痕跡」

 

 『プリズン・サークル』は、日本の刑務所を内部から記録した初のドキュメンタリー映画である。当日はこの映画の坂上香監督をお招きして、シンポジウムを開催する。  主催の〈生活-文脈〉理解研究会は、人びとの〈生活-文脈〉を重視し、その行為や語りを理解することにこだわってきた。研究会主宰の宮内洋は―生活を/から読むことには一貫した、他方で調査における出会いから柔軟に変化を遂げる―剛柔併せ持つフィールドワーカーである。同研究会の打越正行は、沖縄のヤンキーの若者たちの生きる地元社会で、「パシリ」として長きにわたり巻き込まれているフィールドワーカーである。  当日は、上記のフィールドワーカーが『プリズン・サークル』の映像をもとにしながら、監督を交えての鼎談をおこなう。現代日本社会における人を理解する困難とその可能性、そしてその条件などについて議論が展開される。


■参加:坂上 香(ドキュメンタリー映画監督)
 宮内 洋(群馬県立女子大学)/打越 正行(和光大学)
■場所:愛知県立大学 S201教室
■日時:2021年9月3日(金)
■プログラム
 13:00- 『プリズン・サークル』上映会(136分)
 休憩
 15:30- シンポジウム(60分)


主催:〈生活-文脈〉理解研究会
共催:愛知県立大学 教育福祉学部


沖縄のヤンキーの若者と地元――建設業と製造業の違いに注目して

2021年05月30日 08時45分00秒 | 口頭発表


■打越正行、2021年5月30日、「沖縄のヤンキーの若者と地元――建設業と製造業の違いに注目して」日本平和学会2021年度春季研究大会ラウンドテーブル『「沖縄問題」の本質とは何か』(山形大学)

 

報告要旨
 本報告では、沖縄の周辺層に生きるヤンキーの若者たちが地元を介して建設業に移行する過程を対象とする。その過程は日本社会(沖縄を除く、以下同様)の周辺層の若者が、家庭や学校を基盤として工場労働者となる移行過程とは質的に異なるものであること、その差異は沖縄の基幹産業である建設業と日本社会の分厚い製造業の間にある分断によって生じるものであるということについて述べる。本報告から導かれる「沖縄問題の本質」とは、「骨抜きにされた自治」にあることを指摘する。


企画趣旨
 本部会は2020年5月に刊行された『平和研究』54号(特集:「沖縄問題」の本質)の執筆者および編集担当を中心に構成されるラウンドテーブルである。
 沖縄には日米安保条約に基づく米軍基地が集積し、日本国憲法による平和主義を享受できていない。このような状況は日米安保体制を基調とする戦後の安全保障政策の中で形成されてきた。なぜ日米安保体制の矛盾が「沖縄」に集中したのであろうか。その問いに答えるためには、日本と沖縄の関係、東アジアにおける沖縄の在り方、さらには沖縄自体に内在する要因とその相互作用までを捉えなくてはならない。そこで54号では「沖縄問題」には「本質」があるとあえて仮定し、その形成要因と過程を学術的に詳らかにすることを目的とした。
 そこでは小松寛が「巻頭言」にて平和研究における沖縄問題とは、どのような平和のあり方を選び、その実現のために適した政体を選ぶ、「平和」と「自立」の組み合わせをめぐる議論であったと論じた。島袋純は沖縄の有する自己決定権の正統性を日本政府による差別的政策と国際人権法から説き起こした。これに対し鳥山淳は、自立への掛け声の下で等閑視される沖縄内部の「惨憺たる状況」から再考を求める。打越正行の論稿はその沖縄内部に迫る民族誌である。戦後沖縄では製造業が発展せず、その歪みは日本型福祉の欠如という形で現れていた。そして、上杉勇司は日米の軍事戦略を論じた上で、日米安保体制の枠内で沖縄の負担軽減を実現するには、基地を全国で担う国民の覚悟が必要だと指摘した。
 以上の成果を踏まえた上で、本部会ではまず執筆者間での対話を通して、「沖縄問題」の本質について議論を深めていく。そして熊本博之は編集担当として、平良好利は非会員の立場から議論に参加し、本号の意義とこれからの沖縄問題の展望について語り合う。

 

パネリスト:
 島袋純(琉球大学)
 鳥山淳(琉球大学)
 打越正行(和光大学)
 上杉勇司(早稲田大学)

討論:
 熊本博之(明星大学)
 平良好利(中京大学)

司会:
 小松寛(成蹊大学)

 

報告レジメ


「暴力の理解社会学――沖縄の建設現場での参与観察をもとに」

2021年03月18日 14時17分02秒 | 口頭発表

公開講座が開催されます。

一般公開ですので、関心がある方はぜひご参加ください。

 

テーマ:暴力の理解社会学――沖縄の建設現場での参与観察をもとに
報告者:打越 正行(和光大学・講師)
日時:2021年3月18日(木)14:00~16:00

場所:オンライン開催(ZOOMで配信

主催:九州大学人間環境学府多分野連携プログラム「子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~」

 

ご参加を希望される方は、下記より申込をお願いいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfNltGeaLtlWl0Z76MJXEAHKakxMqGUu7Oaosa58olMeC1YzQ/viewform?usp=sf_link

公開講義前日に、ご登録いただいたメールアドレスに、開催場所のURLをお送りいたします。 

本研究会は大学院科目「学際連携研究法」の授業の一環です。

 

ホームページ

 


地元という視座――沖縄のヤンキーの若者への実態調査から

2020年02月15日 20時47分29秒 | 口頭発表

シンポジウムのお知らせです。

皆さま、お誘いあわせのうえご来場ください。

■打越正行、2020年2月15日、「地元という視座――沖縄のヤンキーの若者への実態調査から」第569回沖縄大学土曜教養講座『社会から隔絶された少年たち――どんな状況にあっても立ち直りができる社会とするために』(沖縄大学).

 

登壇者:
 小山定明(法務省矯正局 少年矯正課長)
 工藤啓(認定NPO法人 育て上げネット 理事長)
 打越正行(特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所 研究員)

コーディネーター:
 島村聡(沖縄大学 地域研究所 所長)

 


地元から建設現場へ―沖縄のヤンキーの若者の移行過程

2019年12月14日 18時36分42秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2019年12月14日、「地元から建設現場へ―沖縄のヤンキーの若者の移行過程」社会分析学会シンポジウム『若者の移行過程――沖縄から、公営団地から』(鹿児島女子短期大学).

 

報告要旨
 本報告は、沖縄県と全国の総生産の産業別割合のグラフをもとに「統計的事実の実存的意味」について考察することを目的とする。結論を先取りすると、沖縄の周辺層であるヤンキーの若者たちは、本土とは異なる移行過程を経験していることについて述べる。
 本土も沖縄もヤンキーの若者たちが就く職業は2次産業が中心である。そうみれば、沖縄のヤンキーの若者たちの職業は全国平均の約半分しかない。数値が半分となるのは、本土にはある製造業が沖縄にはすっぽりと抜け落ちているためだ。その結果、沖縄の彼らは、学校を早々に見切り、地元の先輩たちと関係性を築くことで建設現場への移行を遂げようとする。このように学校から自ら離れていく様子は、現在だけでなく「復帰」以降から現在までの長い期間にわたり生じてきたことだ。
 これは学校から工場への移行過程を描いた『ハマータウンの野郎ども』(Willis, 1977=1996)における「野郎ども」とは対照的である。野郎どもは学校に対抗し鋭い洞察を展開するが、それはその後に製造業の工場で働く見込みがあるから可能なことである。他方で沖縄のヤンキーの若者が学校から自ら去っていくのは、学校卒業後に工場労働者となる見込みがないためである。製造業を基礎とする本土のヤンキーの若者は、(反学校文化を含む)学校と連動して移行を遂げる。他方で建設業を基礎とする沖縄の彼らに、学校は役に立たない。そこで彼らが最後に頼るのが地元である。このようにヤンキーの若者の移行過程をみても、沖縄は本土とは異なる経験を蓄積してきたことがわかる。


プログラム


しーじゃ・うっとぅ関係と建設業――沖縄のヤンキーの若者たちへの参与観察から

2019年12月07日 18時37分59秒 | 口頭発表

 

■打越正行、2019年12月7日、「しーじゃ・うっとぅ関係と建設業――沖縄のヤンキーの若者たちへの参与観察から」沖縄国際大学南島文化研究所市民講座/2019年度協定校間国際学術交流講演会『沖縄と韓国の若者文化』(沖縄国際大学).

 

報告概要

 

沖縄国際大学 南島文化研究所 

沖縄タイムス


外部における文化的再生産――沖縄のヤンキーの若者の空間感覚をもとに

2019年09月17日 22時52分18秒 | 口頭発表

 

■打越正行,2019年9月17日,「外部における文化的再生産――沖縄のヤンキーの若者の空間感覚をもとに」〈生活-文脈〉理解研究会シンポジウム(東海社会学会共催)『ヤンキーと教育――〈生活-文脈〉から考える』(愛知県立大学).

概要                    
 本報告は、沖縄のヤンキーの若者たちが建設作業員になる過程を対象とする文化的再生産論の試みである。
 ブルーカラー労働には、おもに製造業と建設業がある。しかし両者は、働き方やそこでの人間関係のつくり方など、はっきり異なる。
戦後の日本社会は、分厚いブルーカラー層、なかでも大手の製造業が先導する形で、日本的経営と日本型福祉の体制をとった。地方の農村から都市の工場へと人口は移動し、労働者は工場で訓練された。工場での訓練と学校における教育は、互いに親和的な営みであった。
 他方で沖縄の産業構造は、製造業の比率が小さい。また建設業は沖縄県の基幹産業であるにもかかわらず本土の大手ゼネコンの下請けである中小零細企業がその中心である。沖縄の建設業で働く人びとは、「復帰」した後も日本的経営や日本型福祉の外部にあった。学校の社会分配機能、家族や企業による福祉サービスなどを享受できない沖縄の人びとの生活を補完したのが、地元のしーじゃ[先輩]とうっとぅ[後輩]の社会関係だった。それは閉鎖的で、時に厳しい上下関係であった。本土の工場で受ける訓練は、沖縄の建設業ではしーじゃ-うっとぅ関係に「外部委託」された。このような構造や歴史の制約を受ける形で、建設業に就く若者たちは固有の社会関係のあり方やそこでの働き方を形成してきた。
この社会関係における空間感覚(集団にいるメンバーを把握し行動の指針とする感覚)は、学校や製造業で身につけるものとは明確に異なる。学校は特定の地域や関係性を超えようとすることを教え込む。また製造業の場合、工員はマニュアルに沿って作業手順は矯正され、また自己規律化されて振舞うようになる。また同僚や上司とのつながりは開かれており、また変容する。沖縄の建設業に就く人びとは、学校や工場で身につけるものとは異なる固有の空間感覚を身につける。そうすることが、建設業で一人前となることに適合的であった。他方で、それは特定の空間に制約を受けるものであった。本土のブルーカラー層とは異なる、沖縄の建設業における職業的再生産がある。それは日本的経営や日本型福祉の外部に生きる沖縄の建設作業員たちが作り上げた文化(空間感覚)によって可能となるものだ。なお本報告の基となる調査方法は、2007年から現在に至る参与観察と生活史インタビューである。

 

報告
 知念 渉(神田外語大学)
 打越 正行(社会理論・動態研究所)
コメンテーター
 樫村 愛子(愛知大学)
 宮内 洋(群馬県立女子大学)
司会

 松宮 朝(愛知県立大学)


夜から昼に移る――ライフステージの移行にともなうつながりの分化と家族像

2017年07月08日 22時29分37秒 | 口頭発表
■打越正行,2017年7月8日,「夜から昼に移る――ライフステージの移行にともなうつながりの分化と家族像」第10回東海社会学会シンポジウム「若者・子どもの貧困を問い直す――この10年で何が継続し、何が変わったのか?」(名古屋大学)

概要
 本報告は2007年に、暴走族の見物をするギャラリーとして活動していた女の子たちの、その後10年にわたる移行調査である。
 その当時、10代後半だった彼女たちは、キャバクラで働きながら、頻繁に深夜の公道で暴走族見物をしていた。そのように夜に働き、夜に活動していた彼女らは、現在、育児や仕事で昼の生活に移った。
 夜の世界から昼の生活に移ることは、単に転職を意味する移行ではなかった。その過程では主に2つの困難に直面した。1つ、さまざまな困難を緩和・無化してきた女子つながりが、ライフコースを移行するにあたり分化していくこと。2つ、分化した女子つながりから遠ざかった彼女らは、「家族像」に依拠しながら生活をつくりあげていくこと。これらの過程を描くことで、夜から昼へ移ることの彼女たちの合理的選択の理解を試みる。

キーワード:
移行、つながり、家族像

報告
後藤 澄江(日本福祉大学)
浅野 文秀(名古屋ふれあいユニオン運営委員長)
打越 正行(社会理論・動態研究所)

討論者
渋谷 典子(参画プラネット)
樫村 愛子(愛知大学)

司会
松宮 朝 (愛知県立大学)
人見 泰弘(名古屋学院大学)

欧文概要
(作成中)


プログラム


ニュースレター(新藤慶さん)

沖縄的共同性の外部に生きる若者たち――暴力の日常と時間/空間感覚

2016年06月05日 16時38分07秒 | 口頭発表

■打越正行,2016年6月5日,「沖縄的共同性の外部に生きる若者たち――暴力の日常と時間/空間感覚」第23回子ども社会学会ラウンドテーブル(琉球大学).

概要
 打越報告では、「沖縄の暴走族・ヤンキー若 者たち、その後(科研課題番号:26780300)」 の成果を発表する。本研究は、沖縄の若者文化、なかでも暴走族やヤンキーの若者を対象とした文化研究として始めた。その後、バイクに乗ったりそれを見物していた男性の若者の多くは、(1)建築業(2)性風俗業(3)違法就労の3つの仕事に就いた。そして、その職業の移行過程で 強い役割を果たすのが「地元つながり」の存在であった。ここでいう「地元つながり」とは、中学の先輩-後輩関係にもとづき、卒業後も生活、就労、余暇などをともにするつながりのあり方をさす。都市部で流動的な雇用や個人化した生活のあり方が指摘される一方で、沖縄の下層の若者の地元つながりは、非移動で強固なものである。このように下層の若者は、産業構造や地域性をめぐって、生活や雇用の在り方は大きく異なる。そのような視点から、報告では建築業の若者を対象とし、地元つながりの現況、また建築業の再編にともなう地元つながりの動態について報告する。それらを通じて、貧困における暴力と時間感覚をめぐる関係について提起したい。

コーディネーター・司会:宮内洋(群馬県立女子大学文学部)
話題提供者1:打越正行(特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所)
話題提供者2:上間陽子(琉球大学大学院教育学研究科)
討論者:新藤慶(群馬大学教育学部)


キーワード:沖縄的共同性,暴力,時間/空間感覚

欧文概要
(作成中)

プログラム

ニュースレター報告(宮内洋さん、新藤慶さん)

暴力を統制する――沖縄の下層若者の生活実践から

2014年08月29日 02時13分44秒 | 口頭発表

■打越正行,2014年8月29日,「暴力を統制する――沖縄の下層若者の生活実践から」第32回日本生活指導学会(沖縄大学).

概要
 本報告は沖縄の下層若者が営む生活実践、なかでも特に暴力実践のメカニズムを描き出すことを目的とする 。往々にして彼らの生活実践は、年齢規範や男性規範による抑圧や、それにもとづいて行使される暴力を内包してきた/いる。そこで行使される暴力は、当人ですら統制困難な場合がある。ただ、少なくない場面で遭遇するそれらの暴力は、そうであるがゆえに当人たちも回避・統制する実践を同時に積み重ねてきた。特に年齢を重ねるごとに暴力は回避されるようになり、またそもそも女性や後輩への暴力は否定的な価値が付与されている。
 以下ではこの暴力を統制するメカニズムに焦点をあてる。ここで暴力を統制できない事例でなく、統制する事例に着目するのは、彼らの暴力実践を楽観視しているためではない。むしろ沖縄の建築業の再編や性風俗業への取り締まり強化といった現状からは、事態はより悲観的かもしれない。むしろそうであるからこそ、彼らの「異質性」や「逸脱性」にもとづいた改良主義的視点ではなく、彼らのやり方や意味世界に即した生活実践への接近が模索される必要があるのではなかろうか。その地点から生活指導研究の可能性や課題を明らかにしたい。


キーワード:下層若者,滞留,暴力,沖縄

欧文概要
(作成中)

沖縄的共同性と階層(1)──排除されるヤンキーの若者たち

2013年10月12日 16時59分05秒 | 口頭発表
■打越正行,2013年10月12日,『沖縄的共同性と階層(1)──排除されるヤンキーの若者たち』第86回日本社会学会(慶応義塾大学)
※ 岸 政彦(龍谷大学)と上原 健太郎(大阪市立大学大学院)との共同報告。

概要
「沖縄的共同性」は,階層によってどのように異なるだろうか.そのことを検証するために,本報告では下層/不安定層の若者が「沖縄的共同性」から「排除」される過程を描く.
 現在までの社会学的な沖縄研究では,「沖縄的共同性」は沖縄社会を理解する鍵として重視されてきた.それは,地縁や血縁に基づいた伝統的かつインフォーマルなつながりであり,沖縄の人びとを温かく包摂するものである,とされてきた.だが実際には,人びとの暮らしのなかの「沖縄的共同性」は,ジェンダーや階層によってさまざまに違った姿をみせている.岸政彦・打越正行・上原健太郎の3名によるこの共同報告では,沖縄的共同性の階層ごとのあり方を,インテンシブな質的調査によって明らかにすることが目的とされる.特に本報告では,沖縄的共同体の「外部」に位置づけられる「ヤンキー」の若者たちの視点から,沖縄的共同性について捉えなおす.なお本報告の議論は,沖縄のあるヤンキー集団への,7年間にわたる参与観察・生活史インタビューにもとづいて展開する.
 本報告で明らかになったことは,以下の3点である.(1)沖縄の下層の若者は,単に経済的に厳しいだけではなく,その下位文化やライフスタイルにおいて,きわめて過酷な生活をおくっていること.(2)彼らの苛酷な生活においては,家族や親族といった共同体的な資源も助けとはならないこと.ここに彼らが沖縄的共同性から排除されている様子を確認できる.(3)さらに、排除された者同士で,暴力をともなう関係性を形成しながら生きていること.
 下層/不安定層の若者たちにとって,沖縄的共同体は必ずしも生活を扶助してくれるものであるわけではなく,むしろ彼らはその外部にあって,剥き出しの暴力的な上下関係のなかに縛り付けられているのである.沖縄的共同体は沖縄社会のすべての人びとをカバーしているわけではなく,そこには階層間格差があり,「共同体から排除される人びと」も存在するのである.

キーワード:沖縄,下層,共同性,排除

欧文概要
(作成中)

報告要旨

プログラム

キャバ嬢になること――沖縄<夜シゴト>で働く女性たち

2013年09月22日 22時34分10秒 | 口頭発表

■打越正行・上間陽子,2013年9月22日,『キャバ嬢になること――沖縄<夜シゴト>で働く女性たち』第65回日本教育社会学会(埼玉大学)


概要

 本報告は、生活困難層に当たる若年女性がその生活の中で直面する危機的状況にどのように対処しようとしているのかを、彼女らの取り結んでいるネットワークのあり方と関連させつつ分析する。これまでに、生活困難層の若者が直面する危機の乗り切りの過程に、かれらのネットワークがどのように機能しているかに注目する研究は存在してきた。それらの研究は、かれらのつくりだすネットワークが、具体的な仕事にアクセスする資源となる様子、移行の危機を乗り切っていく情緒的安定の基盤となっている様子を描いている。だが、そうした移行の危機を乗り切る過程において当然見られたであろう、「性」や「暴力」の問題といったことがらは、不思議なほどそこで描かれることはない。

 他方、ルポルタージュやジェンダー研究に目をむけてみれば、性や暴力の問題は生活困難層の女性たちの日々の生活に織り込まれていることが示されている。だが他方で、こうした日常を乗り切る彼女たちの戦略や、そうした戦略を編むに至った背景は必ずしも十分には捉えられてはいない。

 こうしたことをふまえ、本報告では生活困難層の女性たちがどのように日々の営み、そこにはらまれた危機、特に性と暴力に絡む危機に対処しようとしているのかを、彼女たちが取り結ぶネットワークと関連させながら分析する。具体的には、特に沖縄のキャバクラで働く若年女性たちのケースをとりあげ、彼女らに対するインタビューと参与観察からえられたデータに基づいて分析を行っていく。

 本報告の構成は以下の通りである。まず、本報告のもととなった調査の概要、方法論について述べる(2節)。続いてキャバクラ店の概要について説明し(3節)、沖縄でキャバ嬢として働く困難さ(4節)についてみていく。それらをもとに、地元で暮らす親族の男性と育った女性のネットワーク形成について述べる(5節)。続いて、同じ中学校出身の女性たちとの関係に主軸をおきネットワークを形成している女性について述べる(6節)。それらにもとづいて両者のネットワークの特徴とそれを育む生活背景について整理したい(7節)。

欧文概要
Learning to Labor for Nightclub Ladies in Okinawa

(作成中)

報告要旨