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打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち

2024年11月10日 20時35分32秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2024年11月10日、『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』筑摩書房.(ちくま文庫(整理番号:う-49-1)、全368ページ、ISBN:978-4-480-43984-0、990円)

 

路地裏で、基地のネオンの道の片隅で、暗いコンビニの駐車場で、
バイクを止めて、彼らの言葉を拾う。
それは暴力以前にあったお話、掟を生きる前の傷みの話でもある。
掟がなぜ作られたのか、掟の外部はあるのか、
夜の街で拾われた言葉から考えたい。
――上間陽子(社会学者)

バイクのうなり、工事現場の音、キャバクラの笑い、深夜のコンビニ前のささやき。
本書を満たす音をどう聞き取るのが「正しい」のかは、まだ決まっていない。
――千葉雅也(哲学者)

解説 岸政彦

生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、一人の若者。その出会いを原点に、沖縄の若者たちをめぐる調査は始まった。暴走族のパシリとなり、建設現場で一緒に働き、キャバクラに行く。建設業や性風俗業、ヤミ仕事で働く若者たちの話を聞き、ときに聞いてもらう。彼らとつき合う10年超の調査から、苛酷な社会の姿が見えてくる──。補論を付した、増補文庫版。

「沖縄で出会ったヤンキーの拓哉は、「仕事ないし、沖縄嫌い、人も嫌い」と、吐き捨てるように言った。沖縄の若者が生まれ故郷を嫌いだとはっきり言うのを初めて聞いたので、私は驚いた。彼が嫌いな沖縄とはなんなのか。そもそも、彼はどんな仕事をし、
どんな毎日を過ごしているのか。そうしたことを理解したいと私は思った。10年以上にわたる沖縄での調査の原点は、そこにあった。」(「はじめに」より)

【目次】
はじめに    

第一章 暴走族少年らとの出会い  
1 広島から沖縄へ    
2 拓哉との出会い    
3 警官とやり合う    

第二章 地元の建設会社  
1 裕太たちとの出会い    
2 沖組という建設会社    
3 沖組での仕事    
4 週末の過ごし方    
5 沖組を辞めていった若者たち    
6 沖組という場所と、しーじゃとうっとぅ    

第三章 性風俗店を経営する  
1 セクキャバ「ルアン」と真奈    
2 「何してでも、自分で稼げよ」 ―― 洋介の生活史    
3 風俗業の世界へ    
4 「足元を見る」ということ    
5 風俗経営をぬける    
6 性風俗店の経営と地元つながり    

第四章 地元を見切る  
1 地元を見切って内地へ ―― 勝也の生活史    
2 鳶になる    
3 和香との結婚、そして別れ    
4 キャバクラ通い    
5 地元のしーじゃとうっとぅ    
6 キセツとヤミ仕事    
7  鳶を辞め、内地へ    

第五章 アジトの仲間、そして家族  
1 家出からアジトへ ―― 良夫の生活史    
2 「自分、親いないんっすよ」 ―― 良哉の生活史    
3 夜から昼へ ―― サキとエミの生活史    

おわりに    
あとがき    

補論 パシリとしての生きざまに学ぶ ―― その後の『ヤンキーと地元』  
1 パシリとして生きる    
2 パシリとしての参与観察    
3 フィールドへ    

解説 打越正行という希望  岸政彦

 

筑摩書房

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ホモソーシャルなつながりの周縁――沖縄ヤンキーの若者のしーじゃ-うっとぅ関係をもとに

2024年06月01日 14時14分50秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2024年6月1日、「ホモソーシャルなつながりの周縁――沖縄ヤンキーの若者のしーじゃ-うっとぅ関係をもとに」『現代思想(〈友情〉の現在)』青土社、52(9): 119-135.(全238ページ、ISBN:978-4-7917-1466-7、1760円)

青土社

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パチプロから公務員へ――ある大学生の職業選択、那覇への船旅――ひと晩限りの話をきく

2024年05月25日 13時47分18秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2024年5月25日、「パチプロから公務員へ――ある大学生の職業選択」、「那覇への船旅――ひと晩限りの話をきく」有田亘・松井広志編著(有田亘・松井広志・妹尾麻美・上原健太郎・阿部卓也・髙橋志行・木村絵里子・ケイン樹里安・打越正行・鈴木恵美著)『いろいろあるコミュニケーションの社会学 Ver.3』北樹出版、120-123, 124-127(全180ページ、ISBN:978-4779307492、2200円).

 

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北樹出版

 


青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから/脇の甘いフィールドワーカーがフィールドに巻き込まれた軌跡

2024年05月20日 13時03分29秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■宮内洋・松宮朝・新藤慶・打越正行、2024年5月20日、『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』北大路書房.(全208ページ、ISBN:978-4762832543、2970円)

 

■打越正行、2024年5月20日、「青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから」宮内洋ほか編『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』北大路書房、29-80.

 

■概要

 生身の身体を伴った,生活する人間を,同じく,生活する人間が理解するとはどういうことか? 地域社会を這いずり回る4人の研究者が,乳幼児期の食(共食の体験),青年期の労働(沖縄のヤンキー),成人期の政治行動(市町村合併),老年期の社会関係(孤独・孤立)をとおして考える。フィールドワークの「原点」へ。

 

■目次

まえがき

第1章 乳幼児期の食をとおして考える〈生活-文脈〉理解――〈生活-文脈〉とは何かについて

1.はじめに:ヒトの発達における環境について「狼に育てられた子」から考える 

2.食をとおしてみる人間の発達 

3.〈生活― 文脈〉とは何か 

4.まとめにかえて:なぜいま〈生活― 文脈〉理解が必要となるのか

 

第2章 青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから

1.『ヤンキーと地元』で書いたこと 

2.戦い方から現実に迫る 

3.沖縄の建設業を生きる 

4.沖縄のヤンキーの〈生活― 文脈〉理解:長きにわたって奪いつづける関係をもとに

 

【第2章 補論】脇の甘いフィールドワーカーがフィールドに巻き込まれた軌跡

1.パシリ気質の父親 

2.脇の甘いフィールドワーカー 

3.〈生活― 文脈〉理解と、観察者の変化 

4.時間をかけて馴染ませる

 

第3章 成人期の政治行動をとおして考える〈生活-文脈〉理解――市町村合併の事例から

1.はじめに:市町村合併論議と住民の〈生活-文脈〉 

2.住民の生活圏と「村の精神」という文脈:鈴木榮太郎の議論 

3.農民の日常生活と「生活組織」という文脈:有賀喜左衛門の議論 

4.群馬県旧富士見村における市町村合併問題 

5.群馬県旧榛名町における市町村合併問題 

6.政治グループにみる地域社会における政治行動と〈生活―文脈〉理解

 

第4章 老年期の孤独・孤立をとおして考える〈生活-文脈〉理解――高齢者の「文脈」なき「生活」理解を超えて

1.はじめに:鎌をめぐる出来事から 

2.高齢者の「孤独」・「孤立」をめぐって 

3.「文脈」なき「生活モデル」? 

4.高齢者の〈生活― 文脈〉理解から 

5.さらなる〈生活― 文脈〉理解に基づく福祉実践へ 

6.おわりに:「文脈」をふまえた「生活」理解

 

終 章 〈生活-文脈〉理解の視点から永山則夫の「転職」を再考する

1.はじめに:永山則夫と二冊の本 

2.永山則夫の転職 

3.永山則夫と虐待 

4.トラウマによる〈逃走〉の可能性 

5.おわりに:見る人自身の〈生活― 文脈〉

 

あとがき

 


パシリとしての参与観察――つかえる部外者から、つかえない内部関係者へ

2023年12月20日 20時32分43秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2023年12月20日、「パシリとしての参与観察――つかえる部外者から、つかえない内部関係者へ」社会理論・動態研究所編『理論と動態』16: 32-50.

DOI: https://doi.org/10.51112/16/32

 

概要
 本稿は、パシリ(雑用係)としての参与観察の意義について考察することを目的とする。私は20年近く、広島市と沖縄で暴走族、ヤンキーの若者のパシリという立場で参与観察を実施してきた。そこで調査対象者から教わったことは、沖縄の建設業を生き抜く過程で身につけたパシリとしての生きざまであった。そこで、能力を欠いた状態(貸し)と、いつでもいつまでも社長や先輩に時間を差し出す(借り)ことによって関係がつくられていた。その関係は貸しと借りが完済されないことでつくられる贈与的な社会関係といえる。本稿では、このパシリという立場を参与観察における有効なものとして整理した。
 パシリが参与観察の有効な立場であることを論証するために、参与観察における調査者を、調査対象社会の部外者(観察者)か内部関係者(参加者)かという社会の内外の尺度となる軸と、調査対象社会で与えられた役割を果たしているか否かの貢献度の軸を交差し、そこにパシリを位置付けた。その区分によると、(1)つかえない部外者、(2.1)つかえる部外者、(2.2)つかえない内部関係者、そして(3)つかえる内部関係者の4つの立場に整理できる。社会調査において対象者とラポール(信頼関係)を築くことがめざされ、到達すべき立場とされてきたのは、つかえる部外者である。そこでは、調査対象者との利害関係は、回避、もしくは最小化し、生じてしまう借りと貸しはその場で完済すべきものであった。対照的に、つかえない内部関係者であるパシリとしての参与観察は、調査対象者との間に貸しと借りが生まれることを積極的に位置付け、また調査対象社会の生活や調査対象者の人生に巻き込まれていくことを避けるものではない。そのような不安定な地位にあることや、社会関係(利害関係)に巻き込まれる立場であるパシリは、参与観察を行う際に有効となりえることについて論述した。

キーワード:パシリ、参与観察、つかえない内部関係者

 

社会理論・動態研究所

 

 


距離・時間・ディテール――生活史/エスノグラフィーを書き、読む

2023年09月01日 13時20分20秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■石岡丈昇・打越正行・岸政彦、2023年9月1日、「距離・時間・ディテール――生活史/エスノグラフィーを書き、読む」『現代思想(生活史/エスノグラフィー――多様な〈生〉を記録することの思想)』青土社、51(11): 8-21.(全250ページ、ISBN:978-4791714513、1870円)

 

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青土社

 


俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)

2023年05月12日 13時45分31秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2023年5月12日、「俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)」石原昌家・岸政彦監修、沖縄タイムス社編『沖縄の生活史』みすず書房、114-122.(全880ページ、ISBN:978-4622095989、4950円)

 

みすず書房

 

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排除Ⅰ――不安定層の男たち

2020年10月20日 16時59分18秒 | 書いたもの(DL不可)

■打越正行、2020年10月20日、「排除Ⅰ――不安定層の男たち」岸政彦・打越正行・上原健太郎・上間陽子編著『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』ナカニシヤ出版、263p-370p.(全472ページ、ISBN:978-4779514975、3520円)

 

 沖縄の共同体が階層やジェンダーによって表れ方が異なることについて、具体的には安定層、中間層、下層、女性のそれぞれの実態を各共同研究者が描いた。打越は、暴走族から建築業に就く下層の若者たちを対象とし、彼らが沖縄の共同体から排除され、自身で作り上げる関係へと拘束されていく様子を描いた。

 

■目次
序文――沖縄にとって「地元」とは何か(岸 政彦)

第一章 沖縄の階層格差と共同性(上原健太郎)
      一 沖縄の経済と階層
      二 「共同体の島」としての沖縄

第二章 距離化――安定層の生活史(岸 政彦)
      一 安定層の生活史調査
      二 「よそ者はよそ者なんですね」――公務員・男性・一九六四年生まれ
      三 「沖縄ってすごく階層社会」――教員・男性・一九七三年生まれ
      四 「彼方にある沖縄」――教員・男性・一九五五年生まれ
      五 「地元捨てたんですよね」――高校教師・女性・一九七二年生まれ

第三章 没入――中間層の生活史(上原健太郎)
      はじめに
      一 調査概要
      二 タカヤの「夢」
      三 地元の同級生と合流
      四 若者集団Yの結成
      五 オープン間近の状況
      六 ネットワークの活用・創造・維持
      七 互酬性と没入
      おわりに

第四章 排除Ⅰ――不安定層の男たち(打越正行)
      はじめに――終わらないパシリ
      一 暴走族のアジトへ
      二 暴走族から建築業へ
      三 沖縄的共同体の外部に生きる――〈共同体からの排除〉
      四 終わらないパシリ――〈共同体への拘束〉
      五 沖縄の下層の若者と共同体
      エピローグ

第五章 排除Ⅱ――ひとりで生きる(上間陽子)
      はじめに――沖縄の地域社会
      一 援助交際開始・前
      二 家を出る
      三 家に帰る
      四 帰ってきた場所といま

あとがき

 

■内容説明
階層格差という現実のなかで生きられる沖縄的共同性──。

膨大なフィールドワークから浮かび上がる、
教員、公務員、飲食業、建築労働者、風俗嬢……
さまざまな人びとの「沖縄の人生」。


ここにあるのは、私たちがたまたま出会った、小さな、ささやかな断片的な記録である。しかしこの「生活の欠片たち」を通じて、私たちなりのやり方で沖縄社会を描こうと思う。
……
私たち日本人は、一方で「共同性の楽園」のなかでのんびりと豊かに生きる沖縄人のイメージを持ちながら、他方で同時にその頭上に戦闘機を飛ばし、貧困と基地を押し付けている。
本書は、少なくともそうした沖縄イメージから離脱し、沖縄的共同体に対するロマンティックで植民地主義的なイメージが、基地や貧困とどのように結びついているかを、日本人自身が理解するための、ささやかな、ほんとうに小さな一歩でもあるのだ。――序文より

 

ナカニシヤ出版

 

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紀伊国屋書店

 

■新聞

『沖縄タイムス』(書評:糸数温子、2020.10.24)


『琉球新報』(書評:山田哲也、2020.11.1)

 

『毎日新聞』(2020.11.14)

 

『北海道新聞』(書評:水原涼、2020.11.22)

『西日本新聞』(書評:水原涼、2020.12.12)

 

『信濃毎日新聞』(書評:安田浩一、2020.12.12)

『中国新聞』(書評:安田浩一、2020.12.13)

『神戸新聞』(書評:安田浩一、2020.12.13)

 

『読売新聞』(書評:橋本倫史、2020.12.13)

 

『朝日新聞(夕刊大阪版)』(紹介:滝沢文那、2020.12.16)

 

『図書新聞』(紹介:坂野徹、12月19日号)

 

『読書人』(書評:田仲康博、3382号)

 

■雑誌

『コロンブス』(紹介:渡辺晶、2020年12月号)

『沖縄キリスト教短期大学紀要』(紹介:宮平隆央、50号)

『生活指導研究』(紹介:浅野誠、38号)

 

■放送
「おきなわ HOTeye」(NHK沖縄、2020.11.4)