え~、なんの思惑があってやらまったく見当がつきませんが、あの北朝鮮がまたミサイルを日本海に向けて放ったとかで。その、まあ愚行記念としまして、北朝鮮のポップスでも話題にしてみようかな。
などと思いつきまして取り出だしましたる、上のCD。もちろん朝鮮語など読めもしないのでタイトルも何も分からないんですが、ある人に収録曲名の日本語訳と歌手名など教えてもらいましたんで、下に。何の参考にもなりそうにないが。
1)口笛(チョン・ヘヨン)
2)都会の娘が嫁にくる(リ・ギョンスク)
3)まだ言えないわ(チョ・ダムファ)
4)私の母さん(リ・ギョンスク)
5)楽しい放牧道(チョン・ヘヨン/リ・ブンヒ)
6)祝福(リ・ギョンスク)
7)女は花よ(リ・ブンヒ)
8)キムチカクテキの唄(リ・ギョンスク)
9)母の想い出(パク・スニャン)
10)トラジ(チョン・ヘヨン)
11)トンドルラリ(混声コーラス)
12)アリラン(リ・ギョンスク)
”キムチカクテキの唄”なんてのは、ちょっと歌詞内容を検めてみたくなりますねえ。
アタマに入っている”口笛”なる曲が北朝鮮ポップスを象徴する大ヒット曲なんだそうで。まあ、それほどの名曲とも思えません。どこかうら寂しい、昭和30年代の日本においてあんまり売れなかった歌謡曲、みたいな風格であります。ほんとはこの曲、もう少し新しい曲みたいなんですがね。いやまあ、曲の好き嫌いの感覚は人それぞれですが。
レコ-ディングも80年代あたりなのかなあ。それを最近になってCD化した、と。データも何もありませんが、音としてはそんな感じ。あっと、なぜかこのCD、台湾製ですな。どういうルートで生産することになったのだろう。
収録曲の曲調は、旧式の演歌やら昔風の行進曲みたいな代物、あるいは若い頃の吉永小百合がマヒナスターズをバックに歌っていたような貧乏くさい昭和30年代風のベタな歌謡曲と、だいたいそんなものです。それを、「クラシックのお勉強をしました」みたいなご清潔な男女の歌手が朗々と歌い上げます。
バックは、ポチョンボ楽団とか称する、なんかYMOをチープにしたみたいな楽団が北朝鮮独特の、どこかを冬の北風が吹きぬけて行くようなサウンドであい勤めます。変なもの好きな一部の人たちには、非常に受けそうな、奇態なる魅力を持ったサウンドではあります。
とはいえ、ねえ・・・いかにもこれ、”国家の指導によって国民に押し付けられた御用ポップス”って雰囲気濃厚で、時節柄、聞いていてあんまり気持ちのいいものじゃありませんね。特にこの、鼻を突く健全臭は、どうにかならないか。いかにも北朝鮮にはこんなのがあるんだろうなと、ある意味、予想通りの音楽が出てきちゃったなあ。
ところで。ジョンイルの息子のジョンチョルだっけ?彼はヨーロッパでエリック・クラプトンのライブを見まくっていた、ほとんど追っかけ状態だった、なんて話も伝わっているし、実は党幹部のドラ息子なんかが金にあかしてこっそり地下で、ものすごいサウンド作ってやしないか?とかなんとか、五木寛之の小説みたいなことを、ふと夢想する私なのでありました。
うん、まあ、それどころじゃないだろうけどね、あの国の現状では。