テレビを見ていたら偶然、中島美嘉によるニューオリンズに関する番組が始まった。彼女のニューオリンズ・ネタの新曲絡みの番組なのだろう。まあ、そのようなものにそれほどの期待をするわけにも行かないが、事が我が音楽の都、ニューオリンズとなれば知らない顔をしてもいられない。
想像通り、番組冒頭から、例のニューオリンズを襲った水害の爪跡が紹介される。ニューオリンズに関し、私には嫌な空気だなと思われるものがあって、つまりこのように、”水害にあった悲劇の街”としての面が”ニュース種”としてクローズアップされてしまう事により、本来のニューオリンズが持つ、ホンワカといい加減な音楽の町としての本質がどこかに追いやられてしまうのではないか、と言うこと。
冗談の嫌いな、深刻な顔して深刻な話をするのが大好きなヒトビトが「ニューオリンズをいかに語るか」を決めるようになってしまうのは嫌だなあ、と言う話である。
「ニューオリンズを救いたい」とか、”24時テレビ”風に煮込まれた音楽の都なんて御免だねえ。とかいっても、”正義”は水害を語るあっちにあるんで、こちらは黙るしかない・・・ほら、こうなるのが嫌なんだよ。
このテレビ番組の作りだって、中島とアラン・トゥーサンとの”ハリケーンやらサッチモに関するお話”など交わすのを見せられるより、一曲でも多くのニューオリンズの音楽を聞かせてくれるのがテレビに出来る一番の”音楽の都の愛し方”だと思うんだがね。
どうしても映像屋さんってのは出演者に座り込んで話し込ませるのが好きなんである。音楽ビデオなんかでも酷いのがあるでしょう、音楽の演奏場面を途中でぶった切ってインタビューを押し込んだりするんだ。
初期のトム・ウエイツに、”Wish,I Was in Neworleans”という歌があって、あれは好きな歌だなあ。
音楽の町の安い飲み屋街に紅い灯青い灯がともり、そこをそぞろ歩く胸の高鳴りがうまく歌いこまれてされていると思う。正確には、そんな場所でいい加減な仲間と酔いどれる時間への憧憬が歌われているのだが。酔っ払うたびに聞きたくなり歌いたくなるんだが、さすがに洋楽カラオケにはないだろうなあ。