このタイトルを私は一つのジョークとして掲げています。高年齢の読者にはそれを理解してくださる方がおありでしょう。しかし、このニュースはほんものの朗報です。
コロンビア大統領選挙でグスタボ・ペトロ氏が勝ちました。ペトロ氏が選んでいた副大統領は、前のブログで紹介したフランシア・マルケスです。この喜ばしいニュースは、NHKや日経などでも報道されています:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220620/k10013679591000.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2009C0Q2A620C2000000/
この他にも、日本語、英語の報道が、動画を含めて、沢山あります。ただ、ちょっと気になるのが、これらの報道では、何故か、フランシア・マルケスの影が薄いことです。
この選挙勝利の意義は、右が負けて左が勝ったとか、これまでのコロンビアの米国傾斜が反米的傾斜に変わるとかのレベルを遥かに超えたものように私には感じられます。欧米の世界支配が中露の世界支配に移ることでもありません。そうしたことを超えた、真正に人間的な人間たちの合唱がこの地球を覆い始めたという兆しであり、そうでなければなりません。
上に引いた日本経済新聞の締めくくりの部分を引用させて貰います:
中南米で左翼政権が相次ぐ
2020年11月 ボリビア
2021年7月 ペルー
2022年1月 ホンジュラス
3月 チリ
8月 コロンビアでペトロ政権発足
10月 ブラジル大統領選
中南米では左派の勢いが増している。21年7月にはペルーで急進左派のカスティジョ政権、22年3月にはチリで左派のボリッチ政権が発足した。今年10月に予定されるブラジルの大統領選では、左派のルラ元大統領が世論調査での支持率で優位にたっている。
現カナダ首相ジャスティン・トゥルードーの父親ピエール・トゥルードー元首相は「米国の隣国であることは一つベッドに巨象と同衾しているようなものだ」という名言を吐きましたが、これまで米国の圧倒的な支配圧力の下に存在してきた中南米諸国が米国の意向に逆らうことがどんなに困難なことであったかを我々は理解しなければなりません。前回のこのブログで紹介したホンジュラス初の女性大統領シオマラ・カストロは就任早々に左翼論客から「米国におべっかを使っている」と非難されました。2022年3月11日に、年齢三十六歳の若さでチリー大統領に就任したガブリエル・ボリッチも、選挙勝利の直後、バイデン大統領に追従的な挨拶を送ったとして非難されています:
しかし、シオマラ・カストロは大統領就任後、米国の圧力に屈しない立派な政策を実行しています。私は、同じことをチリーのガブリエル・ボリッチにも期待します。
核戦争で何もかもが虚しくなってしまわなければ、この人間世界の夜明けは必ず訪れるでしょう。残念ながら、私はそれに立ち会えませんが。
藤永茂(2022年6月20日)
先生のご著書「コロンブスが来てから」を読みながら、植民地主義とはなんと恐ろしいものかと思いました。読み進むのが怖くなり何度も中断しました。
中南米はやっと夜明けを迎えるのですね。チリの国民歌「団結した国民は負けない」をYouTubeでよく聴きます。今日も聴かなくては。