goo blog サービス終了のお知らせ 

メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

色鉛筆ウンチク

2009年11月04日 10時43分39秒 | mai-mai-making
 千年前の歴史的な考証について、監督の個人的な友人である永沼幸仁さんに協力いただいている、というお話は前にしました。もうひとり、同じく友人の前野秀俊さんには「昭和30年担当」として考証協力をお願いしています。
 前野さんは戦前から戦後にかけての通俗文化に詳しい人です。休日のたびに古本屋や古本市を巡って、家が埋まるほど古書を買いこんではなにやらおもしろい話を蒐集しています。
 前野さんには、まず当時の子どもたちの使う色鉛筆がどんなものだったか調査を依頼することにしてみました。いえ、こちらとしては、「当時の色鉛筆のこと、知らない?」くらいのムードで話したつもりだったのですが、それから前野さんの行脚が始まります。なんともはや、前野さんは当時の色鉛筆の実物を入手しようと思い立ってしまったのです。仕事が休みの日に骨董市などを巡りまくっているようで、ときどき「古い鉛筆コレクターは結構いるけど、色鉛筆コレクターはほとんど存在していないようです」などというメールが送られてきます。
 そうやってしばらくした頃、前野さんはとうとう手に入れた何種類かの色鉛筆を手に、マッドハウスへやってきました。さすがです。頭が下がります。
             
 どうも、当時の学童用色鉛筆は、
「朱」「紺」「緑」「紫」「茶色」「黄」
 の、6色入りが一般的だったようだとよくわかりました。二箱ともその6色で構成されていました。まったく、世にウンチクの種は尽きまじ、です。
 とはいいつつも、すでに12色箱入りも発売されていて監督も新子と同世代の叔母が使っていた記憶を持つのですが、画面上では前野さんが入手してきてくれた6色入りの方を選んであります。
 前野さんはもうひとつ、舶来ものの缶ケースに入った瀟洒な色鉛筆も実物を見つけてきてくれたのですが、こちらは貴伊子の自宅の机の上に置いてあります。鉛筆削りのうしろ、ヨットが描いてある青灰色のがそれです。
             
 ついでにいうと、その同じ画面に見える貴伊子のランドセルがピンク色なのは原作どおり。そしてランドセルの上の方、棚の下に見える銅色の唐草模様の菓子缶は、監督が2007年11月にフランス・リール市に行ったときにおみやげに買ってきた薄荷キャンデーのカンカンです。れっきとした本物の舶来ものです。
 前野さんとは『貴伊子』像についても相談しました。
「戦前の中流階級の空気がそのまま、戦後に残ってるんじゃないですかね」
 そんな感じを貴伊子の周囲に漂わようと色んなものを持ち込んでいるわけです。

 貴伊子の家の近所には、貴伊子が苦手な犬が飼われています。
「この当時、犬種ってなんだろうね。スピッツとかかね」
 と、うっかり前野さんに問いかけたのが失敗でした。
 前野さんは、また古本屋を巡り、こんな本を買ってきてくれてしまいました。
             
 おかげで、当時買われていた犬の趨勢はよくわかりました。ただ、結局、問題の犬は、監督が幼稚園のときに膝小僧を噛まれて血が出てしまった、当時の遊び友だちオカモト君の家の秋田犬、その名も「クマ」にしてあります。
 いたたたた。


 まったく友だちというのは得がたいものです。
 わざわざマッドハウスまでポスターを受け取りに来ては、こんなことまでしてくれる別の友人もいます。あたま下がりっぱなしです。
http://www.warbirds.jp/hayabusa/maimai1.html

 このほかポスターは、神奈川だとか福岡だとか埼玉だとか、あちこちにゲリラ的に張ってもらってます。みんな感謝です。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スタッフルームの壁の花 | トップ | 諾子ちゃんのできるまで »