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HEATH FC会員のつぶやき

2009年3月12日(木)東スポ報道をきっかけにしたつぶやき

土屋昌巳KA.F.KA新譜『Fantôme Noir』

2015-06-02 01:08:47 | 日記

いきなりのイメージ画像ですが、発売初日にCDを入手して、繰り返し聴き倒し、延々考えたら、これだった。なお、画像の出典は文末です。



土屋昌巳氏率いるKA.F.KAのファーストアルバムが発売されました。

『Fantôme Noir』。全6曲のミニアルバムです。

1. 『Jack The Midnight』

2. 『The Prisoner』

3. 『夜明け前~Before the Dawn~』

4. 『Labiera Beladen』

5. 『Silent Party』

6. 『Coyote』

曲はすべて土屋昌巳。

歌詞は4.の『Labiera Beladen』のみ土屋昌巳で、他はIssay。

ボーカルも同様に4.のみ土屋昌巳で、他はIssay。

ギター土屋昌巳、ドラムMOTOKATSU、キーボード森岡賢、ベースウエノコウジ。


『Swan Dive』と『Fantôme Noir』は二部作として作られたものとのこと。

でも、この両者では、物語の語り手が逆転します。


『Swan Dive』では、土屋昌巳の歌の間にIssayの歌を挟み。

『Fantôme Noir』では、Issayの歌の間に土屋昌巳の歌が挟まれる。

Issayから土屋昌巳へ、土屋昌巳からIssayへ。
どちらが語り手で、どちらが化け物なのか。



『Swan Dive』と同じく、『Fantôme Noir』も其々は円環の構成ですが、

二つ並べると、鏡合せに逆転した世界になる。

いやむしろ、円環を捩じったメビウスの輪でしょうか。



以下は、視聴した感想です。

なお、冒頭の画像はあくまでイメージです。

綺麗で不安で闇の住人な楽曲たちはニューウェーブでデカダンです。決してピーカンではありません。



「闇が大事なんだよ」とは土屋昌巳氏の弁。(レコ発後に生出演されたネット配信番組にて)

でも、繰り返しCDを聴いての印象は夜の闇よりは「逢魔が時」。

薄明にまぎれて人か魔かの区別がつきにくいトワイライトゾーンです。

余談ですが、迷いがある時、「逢魔が時」に橋や辻などの人通りが多い場所にたたずんでいると答えが耳元でささやかれるとか。古代の占いです。魔がささやくのでしょうか。


さて、最後の曲『Coyote』は、影が長く伸びる黄昏時が舞台です。

赤いマントの人さらいが出る時刻ですね。

極彩色の夕焼けが闇に塗り替えられていく頃に、長い影が自分とは別の生き物みたいで不安を感じた記憶は、たぶん誰でも持っています。

その黄昏の奥から、「あいつが来る」。


1.『Jack The Midnight』  
物語の幕開けです。「影を抱いて夜に急げ」ですから黄昏時。

     ↓
2.『The Prisoner』  
夜明け前。不眠症で思考停止のまま追い立てられるようなリズム感。

     ↓
3.『夜明け前~Before the Dawn~』  
夜明け前は、闇が一番深い時刻だそうです。夜の底?

     ↓
4.『Labiera Beladen』  
この曲だけ時刻が不明。夜じゃなく闇。脳貧血おこして目の前真っ暗になったみたいな感覚です。

     ↓
5.『Silent Party』  
モノクロームの砂漠の夕闇。「這いずる蠍のよう」な祈りの声がイメージの通低音。

     ↓
6.『Coyote』  
黄昏時。「帰れるのか、この世界から」。帰れないからループします。
帰れないのは、語り手か化け物か。 →1曲目へ。


この中で、4.の『Labiera Beladen』だけ、ボーカルが違うからだけではなく、異質な気がします。


この曲は、ビゼーの『カルメン』と藤子不二雄A氏の『夢魔子』にインスパイアされたと、土屋さんがfacebookでネタばらししておられました。もちろん、それも本当なのでしょうが、氏独特の韜晦がある気もします。


何故ならば、このボーカルはどう聞いてもドン・ホセではない。

ドン・ホセにしては、知性がありすぎる(笑)

むしろ、夢魔自身のささやき、単調な大人の子守唄。

わざと意味不明にした題名同様、歌詞の言葉自体にはさほど意味があると思えない。

メロディよりはリズム、アルバム全体の通低音。


カルメンというなら、5.の『Silent Party』に、むしろスペインの荒野を連想しました。

歌い方も、メリメの『カルメン』の異邦人の語り手のよう。

でも歌詞を読むと、主人公は逃亡者ですよね。

砂に足をとられながら、夜の闇にまぎれる前の最後のダンスは、血まみれの刃を振り下ろす所作かもしれない。

湾曲した刃が煌めく、絶望のダンス。

…の割りには、どうも今の朗々と歌うIssayからは、

青空の砂漠で、盛装してマント着て歩くような違和感があります。(文頭のイメージ画像を参照)

いえ、『Swan Dive』の『ワラキアの月』なら、朗々と歌ってほしいんですけどね。

歌詞にはある死の匂いが、歌には無い。

…ISSAYさんが今年2月に歌った、Lou Reed の「Perfect Day」は、「今にも死にそう」って感じだったんだけどな。

Issayの声質は弦楽器と相性が良くて、この曲でもギターとの絡みで一瞬ゾクッとするんだけど続かない。




2.の『The Prisoner』 では、ドラムとベースのリズム隊の掛け合いが好き。

屋根裏とかクローゼットとか、息が苦しくなるような閉塞感が、イメージのしりとりで3曲目につながります。時刻は、ともに夜明け前。


3.『夜明け前~Before the Dawn~』 は、とても綺麗な曲。

1曲目から4曲目までは、曲調は違うけどテンポが似ている気がします。不安を誘う、やや早いテンポの曲たちです。

3.の『夜明け前~Before the Dawn~』も追い立てられるような曲調ですが、リズムよりメロディが際立っている。ギターがとても魅力的です。


全6曲のうち、2.の『The Prisoner』と5.の『Silent Party』は先行配信されています。

土屋さんとIssayさんのお二人が5月18日に生出演されたタワレボの発言によると、この2曲は実在の事件をモデルにしたのではと問われたとのこと。

いや、そうではないとおっしゃっていましたが、現実が不穏な楽曲に追い付いてしまったというよりは、感覚を揺さぶるような楽曲は聴き手の不安を映す鏡になるのでしょう。

黄昏時に影を盗まれるというのは、そういう意味かもしれません。


イメージ画像の出典
http://gqjapan.jp/fashion/wardrobe/20121221/naturalelegance
Fashion Director: Grant Pearce Photos: Toshio Onda @ MILD
Hair & Make-up: Jun Goto Model: Greg @ Image Text:america Styling: Kentaro Takasugi (GQ)