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別冊「バビル2世」マガジン

「バビル2世」のコミックス&アニメその他を中心に、オールドファンがあれこれ語ります。

高橋良輔監督作品その2「ガサラキ」第15回

2008-12-24 22:05:31 | 「ガサラキ」関連
とうとう最終回、第25話です。
なんとオープニングの主題歌が流れません。いっきなり本編突入。背景に「製作 サンライズ」「監督 高橋良輔」といった文字が控えめに出てくるだけ。
つまり、オープニングの1分30秒ですら惜しいんですね。すべてを物語に費やして、なんとか作品として有終の美を飾ろうとしています。。
そりゃもう「2アウトからでもがんばるぞ、ギリギリの最後までやるぞ」みたいな感じです。
ついでに言いますれば、エンディングも同様です。歌は流れますが、背景はそのまま物語が続いています。ほんとに最後の最後まで粘ってます。
あっぱれ、としか言いようがないじゃありませんか。


本編解説その14

西田の自裁は実験中隊の全員に深い衝撃を与えた。
遺体が安置された病室前に愕然と待機していたユウシロウの元に、ミハルが戻ってきた。ミハルもまた彼らの沈痛な思いを感じ取り、じっとそばに立ち尽くしていた。

広川に呼ばれた速川中佐が、西田の「遺言」を告げられた。それは「特自を解体する」というものだった。
国権の発動たる軍事力を、この地上から抹消する。すなわち日本国は、敢えて「丸腰」となる。
世界は、人類は、必ずやそこに向かわなければならない。これこそが、これから始まる真の戦いであり、人類の試練なのだ。そして、ほかならぬこの日本こそが、それを率先してやらねばならない。
これが西田の目指した真の目的、真の理想だったのだ。


最後の最後に西田さんの究極の理想が明らかになります。なんと西田さんは、要するに「憲法9条を、机上論じゃなく本当に実践せよ」と言っているのです。
ここまでの流れで行きますと、西田さんは国学者というか国粋主義の人という感じでしたが、結論は憲法9条だったんですね。「サイボーグ009 太平洋の亡霊」を彷彿とさせます。
地域紛争や市街戦向け究極兵器ともいえるTAを擁しながら、それを捨て去れ、と言っているのです。
なぜならば、武力は必ずや新たな武力を生む。そこにあるのは、憎悪と恐怖だけ。新たな兵器の開発を続ける、ということは、永遠に負のスパイラルに囚われるだけ。
行き着く先は、人類の破滅。

しかし、憎悪や恐怖こそが無限の力を生む、と信じている人間がひとり。阿鼻叫喚の恐怖の中に降臨する絶対的な力こそ、彼・豪和一清の目指すガサラキ─餓沙羅鬼。
邪魔者の西田が消え、いよいよ自分の出番とばかりに一清が登場。


豪和一清は、総研で保管していた骨嵬を市ヶ谷駐屯地に運ばせた。ミハルのTAが降り立ち、ガサラキ現象の一歩手前まで行った場所である。
さらに、本来ならば嵬が乗り込む部分、すなわち骨嵬の腹部に、あの繭のような謎の物体を設置した。
しかし、ユウシロウがいないと反応が起きない。ところが一清は不気味に笑う。「嵬は、来る」
その時、豪和家の送迎車が市ヶ谷に到着した。乗っていたのは、清春と美鈴だった。
一清の真意を知った清継が絶叫した。「兄さん、なんてことを!・・・人間じゃない!」
美鈴を嵬として実験に使おうというのか。まだ14歳の、たったひとりの妹を。


黒い兄貴・一清に頭の上がらない清継ですが、さすがに妹を引っ張り出してきたことに抗議します。
しかし、兄貴は平然。「お前ら、親父を当主の座から追い立てたじゃないか。つまり俺のやることに賛成したんだろ?何をいまさら」
そう言われちゃ、二人とも「グウ~」の音も出ません。
美鈴さんを市ヶ谷まで連れてきた清春も、ずっと苦渋の表情をしています。清継は「春!お前!(兄貴に美鈴のことをばらしたな!)」と言いますが、たぶんばらしたんじゃなくて、他の研究員がチクったんでしょう。
(ちなみに、清春は「春」、美鈴は「鈴」と呼ばれているようです。)
さて、結局すごすごと一清に従ってガサラキ召喚実験を開始する二人ですが、打ちひしがれる清継を、弟の清春が肩を抱いて支えているのが面白いですね。兄弟逆、みたいな?
しかも、清春はこそっと清継に耳打ちします。「とうさんに連絡したから。もうすぐここに来る」と。
結局、最後はオヤジ頼み


一清は、妹を骨嵬の前面に押しやった。ただ呆然と骨嵬を見上げる美鈴の様子に変化が起きた。
上空に空間歪みが発生し、月面の裏側に強大な力が生じ始めていた。ガサラキの本体は、月の裏側にあるのだ。
骨嵬の中に、美鈴の古い記憶が浮かび上がってきた。兄・憂四郎の死を知った日のことが。
─お兄様・・・亡くなった・・・もう、帰って来てはくださらない。
本当は知っていた。ユウシロウが兄ではないことを。ただ、あの冷たい豪和家の中で、自分がたった一人であるという事実を認めたくなかった。だから、敢えて忘れた。
忘れていた孤独が、今美鈴の中に完全に蘇った。
─わたしくは、ひとり。たったひとり・・・。

同じ市ヶ谷駐屯地内に、ユウシロウはいた。中隊の仲間たちと共に待機していたのだ。
不穏な気配が、突如ユウシロウの全身を貫いた。これは?「ガサラキ」出現の前兆ではないのか?
「まさか!」
ユウシロウは外に飛び出した。ミハルも同じものを感じ取り、一緒についてきた。
二人の目に、信じられないものが飛び込んできた。
市ヶ谷駐屯地の前庭に、あちこちを金属片で補強された骨嵬が置かれていて、そのまん前に美鈴が立ち尽くしているのだ。
美鈴の全身から流れるパワーで、骨嵬が異様な光を発していた。美鈴は嵬だったのだ。


さあ、ここで一清の思惑通りっていうか、都合よく三人の嵬が揃っちゃいました。パワー×3、じゃありませんかぁ。
ユウシロウが「美鈴、戻って来い」と言いますが、そばにミハルがいることに気づいた美鈴は、ちょっとばかし「むかっ」と来ちゃって、意地になるんですな。兄ではなく、一人の異性として密かにユウシロウを愛していたからなんですね。(微妙な描写です。気をつけて画面を見ててください)
しかし、ここで先代当主、オヤジ登場!オヤジの威厳で、一清を止められるか?


豪和乃三郎が現場に駆けつけた。「一清、お前の好きにはさせん!」
両手を広げ、美鈴を優しく見つめる父。骨嵬を背に、異様な力を発して立っている娘に、父の慈愛が注がれる。かたくなに結ぼれた美鈴の心が緩やかに流れ出す─。
と、その時。一発の銃声が夜空に響き渡った。一清が、特自隊員から自動小銃を奪い、父に向けて発砲したのだ。
ユウシロウが乃三郎に駆けよった時、既に父はこと切れていた。


おおおっとお!いよいよメチャクチャやりだしましたよ、黒い兄貴~
父親殺しです。もう半ば狂乱状態です。なにがなんでもガサラキの力を手にする、そのためには何だってやるぞ状態です。
どうしてこうまで一清は必死なのか。
実は一清、まだ若い時分に色々テストを受けた挙句、「あなたには嵬の力がありません」と宣告されていたのです。
「嵬じゃない?この私が?嵬じゃないだと」と、それはもうくやしくてくやしくて、とてつもない屈辱を味わったのですね。だからこそ、並外れた嵬であるユウシロウに嫉妬し、なにかと見下したような態度を取っていたのです。なんのこたぁない、ひたすら妬ましかったのです。
(ユウシロウやミハルにとっては、嵬の力なんてたまらなく厄介なものなのに、一清は「私は嵬になりたい」なんですな・・・し、失礼)
とにかく、目の前で兄の父殺し現場を目撃した美鈴さん、さらに負の感情を沸騰させ、いよいよ骨嵬が変異し始めました。骨嵬から光の矢が放たれ、美鈴の体を貫いたあと、ユウシロウとミハルの負の感情にも呼応して光が放たれます。ここらへん、ホントに「レイダース 失われた聖櫃」のイメージをいただいているんじゃないだろうか・・・
その後、骨嵬の腹部に収められた繭のような物体を中心に、すべての力が内側に向かってつぶれ始めます。巨大な重力場に空間が落ち込んでいく感じですが、バリバリにSF、SFした描写ですな。
空間が落ち込み、今度は「2001年宇宙の旅」のスターゲイトみたいな道が開き、美鈴、ユウシロウ、ミハル、そしてちゃっかり(爆)ファントムさんが吸い込まれていきます。
っていうか、黒い兄貴・一清まで行っちゃいましたぜ。「私もいざなわれたのか」と、そりゃもうルンルン。
兄貴、異次元旅行も屁じゃないぜ!


そこは、異様な空間だった。生物的な気配にあふれ、周囲がうごめいている。
美鈴は、まるで壁から直接生えたような無数の腕に絡め取られ、虚ろな表情で異空間にたたずんでいた。
「待っていた・・・私たちは、三百万年の時を。ただひたすら」
美鈴の口から、誰か別人の声が流れ出す。美鈴の体をのっとった「何者か」の声だった。
ユウシロウには何もかもわかった。ミハルもだった。すべての情報が、奔流となって、そこにいざなわれた者たちの中に流れ込んできた。
ガサラキ。その正体は、地球時間にして約三百万年も前に、この太陽系に飛来した異星人たちの生体コンピュータだったのだ。
彼らの文明は大いなる繁栄の中にあった。科学技術は絶頂を極めた。
しかし、彼らは次第に傲慢になり、欲望のままに走り続けた。そして、自分たちの遺伝子にまで手をつけた。バイオテクノロジーを過信したのだ。
結果、種としての生殖能力を失い、進化の袋小路へ自らを追いやってしまった。
そのとき、この太陽系第三惑星の原始動物に目をつけたのである。いくつかのすぐれた個体を選び出し、進化の過程を監視するトレーサーを植えつけた。それが、嵬のルーツである。
地球人類が満足できる程度に進化したならば、必ずや嵬はここに─このガサラキの中へ戻ってくる。その時にこそ、すべての叡智、貯えたすべての技術とともに彼ら異星人たちは蘇る。
そのために、すべての記憶と情報を、生体コンピュータという形で残したのだ。


ガサラキの正体がわかりました。トンデモなシロモノでした。三百万年前に滅び去った異星文明が残したコンピュータです。やっぱバベルの塔のコンピュータか?・・・違うし
この連中は、おごり高ぶった挙句、おそらくは不老不死かなんかを目指して遺伝子をいじったんでしょう。その結果、子供が出来なくなった・・・たぶん。
しかし、どこどこまでも命根性の汚い連中ですな(苦)、「こんなにすぐれた文明をもつ我々が絶滅するなんて納得できない!」とごねまくり、まだ類人猿程度だった地球人に目をつけました。そして、地球人が高尚な自分たちにふさわしい程度まで進化したら、自分たちが貯えた宇宙の知恵(「バビル2世」主題歌3番?)を移植してやろうと考えていたようです。
つまり、生体コンピュータ「ガサラキ」は、謎の異星人たちひとりひとりの記憶や個性をも記録しているんでしょう。それを若々しく生命力あふれる地球人類に移植・・・というよりも憑依すれば、自分たちはさらに遠くまで進化の道筋をたどれる、と。
つくづくろくでもない連中です。黒い兄貴・一清に似てるんじゃないでしょうか。
これで、ガサラキの力が「恐怖」や「怒り」といった負の感情に呼応する理由がわかりました。
ようするにこの異星人たちそのものが、「なんで我々が絶滅しなきゃならないのさ!」ってな恨みつらみの感情に囚われているからですよ。
これはホラー物の目線で読み解けば、ガサラキとは「ろくでもない悪霊」だったってことです。
その悪霊の正体を知ったファントム氏、もう満足しちゃったのであっさり成仏なさいました。(やっぱり妖怪だったか
しかし、一清はまだ執着しています。どうしても諦められません。むしろ、ガサラキに憑依され、無窮の力を手に入れたいとあがいています。その姿は、まさに「餓鬼」です。


ユウシロウとミハルは、ガサラキにがんじがらめに捕らえられている美鈴に呼びかけ続けた。
「戻って来い、美鈴!お前は一人じゃない」
「さあ、帰りましょう、みんなのところへ!」
─帰りたい・・・帰りたい・・・みんなのところへ。
美鈴の心がふるえた。彼女を捕らえていた無数の手が消えた。
ユウシロウとミハルは、美鈴の細い体をがっちりと抱きとめた。
二人の心はひとつだった。わずかのためらいもない。これを終わらせなければならない。
一清にはわかった、二人が何をしようとしているのか。
「やめろ!やめてくれ」
一清の叫びは空しかった。ユウシロウとミハルが、声を合わせて言葉を発した。
「還れ!」
ガサラキは、元の場所へ─永遠の袋小路の中へ去っていった。
豪和一清は、ガサラキと共に消えた。


この場面、ユウシロウとミハルが「還れ!」と叫ぶ場面ですが、これはどうしても「天空の城ラピュタ」のラスト近くのシーンを思い起こさせます。主人公の少年と少女が、古代文明の大いなる遺産である超絶テクノロジーの相続を拒絶し、葬り去る場面そっくりじゃないですか。
どちらの作品も、清らかな少年と少女の力が新たな時代の扉を開くという結末になっています。
若さゆえの、何の打算もない無垢の力。それこそが、悪(霊)を退散させる。
ああ、やはし「若さ」っていいですなあ(遠い目)。


ユウシロウとミハルは、美鈴を伴って現実の世界へ戻ってきた。
ガサラキの降臨により、市ヶ谷駐屯地の中はあちこちが破壊され、荒涼とした風景になっている。しかし、夜は明け、新しい朝がやってきたのだ。
ユウシロウを心配した実験中隊の連中が、むこうから駆けてくる。
ユウシロウの腕の中には、まだ眠ったままの美鈴。そして傍らには、ミハル。
ひとりじゃない。みんながいる。
たくさんの仲間たちと共に、大地を踏みしめながら、ユウシロウはこの世界で懸命に生きていくのだろう─。


時間いっぱいを使って、見事にゴールにたどり着きました

さて、次回は延長戦です。
CDドラマ第4巻、「真の最終回、第26話」とも言われている物語をご紹介します。

その後、「まとめ」をもって、この「ガサラキ」については終了させていただきます。