いつもヘボい似顔絵ばかりだとアレですから、たまにはちゃんとしたヤツを。
小説版第3巻と第4巻の口絵イラストです。アニメ版でも作画監督をつとめていた出渕裕さんの手によるものですので、さすがに綺麗ですね。
さて、以前に私は「特自の実験中隊は全部で8名」と書きましたが、実は「もうひとりいる!」なんです。全部で9名です、ほんとは。
でも、どう考えてもどう見ても8名。
「ユウシロウ、安宅、北沢、高山、以上4名パイロット。オペレーターが鏑木、ムラチュー、チーフの徳大寺。で、リーダーの速川中佐。やっぱ8人じゃん!」
・・・いえいえ、もう一人いるんですな。その名は陶見卓郎(すえみ・たくろう)中尉。指揮車の銃手で情報管理担当、となっています。
情報管理?っていうか、総務担当?
さて、もう一回おさらいしときましょう
これまであれこれと解説もどきをやってまいりましたが、ようするに二足歩行型兵器タクティカル・アーマー(TA)は、単体ではほとんど機能しません。いや、役に立たないと言うべきでしょうか。
TAの近くには必ず指揮車がいて、そこから色々な情報が送られてきます。「○時の方向に敵TA二機!」みたいな感じです。
また、指揮車のオペレーターは、パイロットの心拍数やら血圧やらなにやらのメディカルデータをすべて把握し、チェックしています。「まずい、パニックになりそう」と判断したら、鎮静剤系の薬物を「プシュッ」と打ったりします(コクピットには自動的に飛び出す注射器も備えてあるらしい)。
こういうところが、結構勝手に好き放題で(?)戦っていた従来のバトルスーツものとは違って、やたらとリアルに作られています。
で、最初の「もう一人いる!」問題にもどりましょう
指揮車はですね、つまり戦闘状態にあるTAからさして遠くないところに待機しているわけですから、自分たちが攻撃される可能性もあるわけですね。ってうか、TAをやっつけようと思ったら、まず指揮車を狙っちゃうのが鬼畜の戦法(爆)じゃないかと。
ですから、最低限の防御システムが必要です。指揮車には、重機関銃か何かが備え付けられているわけで、その担当が陶見さん、ということなんですね。
よ~くよく考えてみますと、たしかにベギルスタン編で防御のために指揮車が発砲してました。たぶん、そのときに陶見さんは登場していたんだろうと(おいおい
いや、いちおう声優さんの名前もあるんで、少なくとも一言はセリフがあったはずです
でも、その後すっかり影が薄いっていうか、まれにちらーっと出てくるだけなんですな。で、「だ、誰だっけ、これ(滝汗)」となってしまうんです、トホホ。
この作品が3クールか4クールあったなら、もうちょっと活躍の場が与えられていたんだろうなあと思います。もっと戦闘シーンが多かったでしょうから。
嗚呼、哀しき脇役・陶見中尉。
そのご登場シーンを探しつつ鑑賞するのも一興かと。
本編解説その12
ミハルは心を閉ざしていた。ただ息をしているだけだった。
─私は、みんなが好き。
なのに、自分が触れるものすべてが死に行く。愛する人々がすべて死んでしまう・・・自分の手にかかって。
どれだけの命を奪ってきただろう。どれほどの血が流されたのか。それがすべて、自分の行いなのだ。
それでも、大好きな「あにさま」のためだと信じた。大勢の人間を骨嵬で踏みしだいても、「あにさま」のためなら耐えられると思った。
その「あにさま」を、自分は殺した─。
凍てついたミハルの心に、かすかに響く声がある。
─変わらぬ刻(とき)などない。変えられぬ運命などない。
ユウシロウの声だった。
─心を開け、ミハル!
市ヶ谷駐屯地上空に、シンボルのヘリが現れた。シンボル・ジャパンのビルからイシュタルを搬送してきたのだ。
イシュタルには、まだうつろな表情のミハルが乗っている。
大胆不敵なシンボルの不意打ちに、特自は騒然となる。
しかし、その報告を受けた西田は、これが米国側の陽動作戦だと見抜く。TA(MF)による不意打ちで、日本側がどう動くか見定めようということなのだろう。
西田は速川に「今はTAを動かしてはならない」と告げた。
市ヶ谷の敷地ど真ん中に降り立ったイシュタルは、ゆっくりと前進を始めた。警備兵の一斉射撃がミハルに注がれた時、ミハルの心の中で何かが蠢き、心拍数が急上昇した。
上空には、巨大な空間のゆがみが生じていた。
─ミハルだ!
ユウシロウはすぐに気づいた。その時彼は、安宅大尉のTAに乗っていた。
空間がゆがみ、やがてあの─ガサラキ出現の前兆が起こった。巨大なエネルギーの塊が地上に降りそそぎ、大音響と共に地面を深く穿った。
あの「恐怖」、一切を無に帰する絶対的な破壊の力が、今まさに出現しようとしていた。
出撃するなと隊長に告げられた。しかし、ユウシロウは「行かなければならない」と信じた。これをとめなければならない。
─ミハル!
ユウシロウのTAは、真正面からミハルのイシュタルと向かい合った。それは、千年の昔、二体の骨嵬がぶつかり合った場面の再来だった。
そして、憂四郎が骨嵬を下りて美晴を見つめた時と同じ─ユウシロウもまた、静かにTAを下り、ヘルメットを脱いだ。そして、ミハルに笑いかけた。
「ミハル。心を閉ざしても、決して悲しみは消えない」
思い出した。千年の昔、美晴はガサラキの誘惑をはねのけ、地上にとどまることを選んだのだ。
今、ミハルは同じようにそれを拒絶した。心の中にあふれる熱いものを、彼女ははっきりと感じていた。
「ミハル、帰ってきてくれたんだね」
ユウシロウの声が、ミハルの全身をふるわせた。
ファントムは驚愕していた。ひとり高みの見物を決め込み、一部始終を見守りながら、ガサラキの出現を待っていたのだ。
ミハルは完全に自分を失った状態だった。心の中はからっぽだったはずだ。それなのに、ギリギリのところで戻ってきた。自分の意志の力で。
「あの状態で自分を制することができるとは。さすが千年の心を持つ人間・・・」
しかし、成果はあったのだ。見るがいい、真正面から対峙した二人の嵬の中心に、上空の歪んだ空間からもたらされた「それ」を。
繭のような形をした、ラグビーボール大の白い塊。どこか生物を思わせる不気味なその物体は、古来より餓沙羅の神事により出現するといわれていた骨嵬の「本体」だ。
豪和一清が、いちはやくその物体の情報をキャッチし、手に入れた。それを豪和総研へ運び込み、そして一清自身の深く暗い野望を達成しようとしている。
ファントムと同じように、一清もまたガサラキの懐に飛び込もうとしているのだ。
最終回まであと少し、というところで、いっきなり物語はラストスパート開始。
なんとシンボル側は、なかばヤケクソ(?)で、ミハルの乗ったイシュタルを市ヶ谷に「どっか~ん!」と放り込みます。
う~ん、これはまた乱暴な展開というか、とにかくガサラキを出現させなきゃお話が終わらないとばかりの
で、あの「ガサラキ出現シーン」となるわけですが、この描写は何度見てもクールです。雰囲気的に「レイダース 失われた聖櫃」の、アークが炸裂する場面に近いです。
しかし今回は!なんと「チョー不気味ぃ!」な物体が空から下りてきまして、それが蛾の繭みたいで~
私は鱗翅目が大嫌いなんだあっ!
(あ、鱗翅目って言わないのか。チョウ目です)
このブッキーな物体が、どうやら骨嵬の本体というか、いよいよガサラキそのものに至ることのできる道具?みたいなんですな。
しかし、思い出してくださいよ。第1回目で、トランス状態のユウシロウがまさにガサラキを出現させようとしていた時、「恐怖を呼び戻さないでえっ!」と叫びながらテレパシー(?)で止めたのはミハルでした。
今回は全くその逆なんですよ。心ここにあらず状態で、容易に「あちら側」へ行ってしまいそうなミハルを止めたのが、ユウシロウです。
ところで、黒い兄貴・一清が大喜びでしゃしゃり出てきまして、不気味繭
最終回に向けて、兄貴も絶好調です
ユウシロウが、微笑みながらミハルに歩み寄る。
しかし、ミハルは顔を上げ、きっぱりと告げた。
「私にはやらなければならないことがある・・・必ず帰ってくる、待っていて、ユウシロウ!」
ミハルは再びイシュタルに乗り、シンボルのヘリコプターで飛び立った。
またしてもミハルは行ってしまった─しかし、これは別れではない。彼女は再び帰ってくる。
ユウシロウの心にあるのは、今はただ希望だけだった。
さあ、最終回に向けてのお膳立てはすっかり出来上がりました。
最終話の一つ前、第24話は戦闘シーンてんこ盛りで展開。25話ではいよいよ「ガサラキ」の正体が明らかに!
次回へつづく。