この作品中、いちばんの人気者は誰だと思いますか。
・・・っていうか、そもそも人気作じゃないからなあ
たぶん間違いなく確実に、いちばん人気があるのは西田さんです。渋いジジィです(爆)。
「西田理論」は、民族派というよりは先鋭化された理想論とでも言った方がいいような感じです。ま、それは実際に作品を鑑賞して確かめてくださいませ(お暇があるならば)。
西田さんのモデルは、二・二六事件(1936年)の関係者、西田税少尉だそうです。初期設定ではまんま「税」という名前だったけれど、さすがにそれは変更したとのこと。
二・二六事件は陸軍皇道派将校たちによるクーデター未遂事件だったわけですが、登場人物に関係者の名前を使っているということから、「ガサラキ」製作者側の意図は明らかでしょう。
しかし、よくこんなアニメを気前よく作らせたもんですなあ、テレビ東京。いい意味で「放任」の体質があるような気がします。
考えてみれば、高橋監督の「太陽の牙ダグラム」も「装甲騎兵ボトムズ」もテレ東。とくにダグラムなんて、物語の完成度と過激さにおいては、「ガサラキ」なんかはるかに凌駕していると思います。
立派だ、テレビ東京。・・・01年のアレはトホホ作品だったけど
本編解説その10
日本は、いまや完全なる戒厳令下にあった。政府は国家非常事態を宣言し、あらたに特自を中心とする安全保安部を創設した。それは、豪和本社ビルの地下、世界中のあらゆる情報が集められる最下階に設置された。
今後、日本国の進路は、すべてこの豪和ビル地階が決定することになる。
米国政府の穀物モラトリアム発効まで、あとわずかとなった。一方で日本政府─実質的には特自─は、対外資産をすべて処分する計画だった。
米国債をもっとも多く引き受けている日本が、資産をすべて処分すれば、米国経済は完全に破綻し、世界恐慌がおこるだろう。
しかし、今日本を根底から変えるためにはそうしなければならない。そのことによって、日本国民もまたパニックになり、動乱が起きるだろう。それを一時的に「武力」で押さえつけなければならない。
しかし、こうした非常事態はせいぜい3年、と西田は考えていた。3年間、日本国民には極貧状態を覚悟してもらう。電化製品も使えず、昔の生活に逆戻りすることになるだろうが、しかし日本人にはそれを耐え抜く底力がある。
しかし、アメリカはそうではない。米国民には、日本人のような底力はない─と、西田は読んでいた。
おそらくアメリカは、日本に軍事介入するはずだ。日本国の全指令が発せられている豪和ビル地階の存在をかぎつけ、ピンポイントで攻撃を加えてくるに違いない。
その戦いは、間違いなくTA戦になる。米国は、シンボルからMF(=TA)を買い入れ、ひそかに横田基地に配備しているのだ。
98年から99年当時の世界情勢をちょっと思い出して見ますと、まだ9・11はおきていませんし、イラク戦争もおきていません。従って、この作品で想定しているもっとも最新の戦争は湾岸戦争です。ピンポイント攻撃であっという間に決着がついた(?)湾岸戦争のように、「ガサラキ」におけるTA戦も「あっ!」という間に終結しますが、それはまだちょっと先。
実は最終25話のひとつ前、24話で息詰まるTA戦が描かれまして、「こ、これが見たかったんだよぅ!」です。
近未来の戦争は、湾岸戦争のようになる─当時、そのように考えられました。
しかし、現実はそうじゃなかった。アフガニスタン、イラクをはじめ各地で戦闘の泥沼状態が続いています。
また、最近の米国発世界恐慌前夜、という状況も、この物語の当時には想定外でしたね(当然か)。
やっぱり全編を支配しているのは、20世紀末の空気なんですね。
ユウシロウと安宅、鏑木の3名の乗ったTA輸送車は、横田基地に突入していた。「安全保安部」を名乗り、基地内に潜伏するテロリストを捜査するという名目である。
まさにその時、シンボルのメス評議員がヘリでミハルを連れ出そうとしていた。
「ミハルがいる!」ユウシロウには、彼女の気配が感じられた。TAに乗り込んだユウシロウは、ミハル奪還のために疾走する。
メスもすぐに気づいた。日本国安全保安部を名乗っているが、これはミハルを取り戻そうとやって来たに違いないと。
しかし、米軍側は敵の正体に気づかない。まさかTAとは思わず、F22を緊急発進させた。
鏑木大尉が叫ぶ。「F22、3機発進!離陸前に撃って!」
2機、片付いた。しかし1機が飛び立ってしまった。しょせんは戦車と同格のTA、空から戦闘機に狙われればひとたまりもない。
ユウシロウは巧みにF22ラプターの攻撃を避け続けるが、次第に追い詰められていく。米軍側は、やっと敵がTA、それも一機だと気づいた。
「離脱して、ユウシロウ!戦闘機には勝てるわけない!」鏑木と安宅が叫ぶ。しかし、ユウシロウの中で、何かかがバーストした。
上空に、重力場の歪みが出来はじめた。
ガサラキ降臨─その現象を、シンボルの研究者たちは捉え、観測していた。
ユウシロウのTAが、絶体絶命の状況でF22ラプターを撃ち落します。これは名場面です。燃えます。
しかしその隙に、ミハルを乗せたヘリコプターは離陸し、飛び去ってしまいます。
それを感知するユウシロウ、なんとも悲痛な表情が切ないです。
ココロが行っちゃった状態で戻ってこないユウシロウをさっさと積んで、安宅・鏑木の姐さん二人は手際よく横田基地から逃走。
弟の彼女
は取り戻してやれなかったけど、とにかく全力は尽くしましたし、米軍に一泡吹かせてやりました。
というわけで、軍規違反&懲罰モノの行為をしでかした安宅・鏑木両名(ユウシロウは正式には民間人なので免責)、上司の前で弁明。
「自分の独断でやりました」と鏑木さんが言えば、安宅サンは「ちょっと鏑木ぃ!・・・違います、自分に責任があります」と応戦(?)。
「おいおい、君ら私を忘れてないか?上司は私なんだぞ、一番の責任は私にある」と、中隊長の速川中佐が渋い顔。
学校でも職場でも、そして政治の世界でも、責任逃れに汲々とする人間が少なからず存在しますが、特自・実験中隊は「自分にこそ責任がある」という人ばかりです。
さすが、結束の固い体育会系部活動ですな(ち、違う・・・
)。
とにかくですね。報告を受けた広川参謀は、ちょーっとにやりとして「いや、安全保安部の命令として、横田基地に潜伏のテロリスト捜索をせよ、って命令が出てるわけだから。君らはただ任務を実行しただけだ。それとも、まさかハッカーが偽の命令を出したとでも?」
ムラチューがやったわけですが、広川さんも「わかっているけど、不問ね」ということです。
っていうか、TA一機でF22を3機やっつけたんですから、むしろ快哉なのではないでしょうか。
ユウシロウが東京・市ヶ谷駐屯地に戻ったことを知った一清が、さっそくやって来た。過労状態でぐったりしたユウシロウをつれて行こうとする一清の前に、鏑木大尉と安宅大尉は立ちふさがる。
「豪和大尉はこのまま医務室へ連れて行きます!あなたには渡しません」
そう叫ぶ鏑木大尉は、平安時代の渡辺三富そのものだった。
その会話をぼんやりと聞いていたユウシロウは、しかし一清にはっきりと告げねばならないことがあると決心した。
翌朝、医務室を抜け出したユウシロウは、豪和本社へ赴く。
しかし、一清は、いきなりユウシロウの頬を打った。
お前、豪和家の人間じゃないんだぞ、ただの実験動物だぞ。いい気になって何をやってるんだ?俺の野望の道具に過ぎないくせに─と言わんばかりの超傲慢な黒い兄貴、一清。
でも、ユウシロウはもはや意志のないお人形さんじゃありません。ほっぺた叩かれたって屁でもないぜ!と、まっすぐ一清を睨みます。そして、一清の前世が、あの渡辺綱だということをしみじみと実感します。(進歩がないのな、この人・・・という感じですな)
人間の感情なんて、時の流れの中ではちっぽけなもんだ、神はそんなつまらんものには無関心なんだ、わかったか!という一清に、ユウシロウはきっぱりと言います。
「僕は無関心な神になるくらいなら、悲しみを知る小さな人間になる!」
神の力なんていらない。あのアジアン静脈瘤で生きる、貧しくても心豊かな人たちのように、一人の人間として生きていきたいとはっきり言うのです。
最終回の予告編の中で語るユウシロウの言葉─「人は人として生まれ、人として死ぬのだ」。
長い旅の果てに辿り着く彼の結論は、なんともありきたりでまっとうなものでした。
地に足をつけて、しっかりと生をまっとうせよ、という静かなる境地です。
美鈴の心は揺れていた。
家出したユウシロウから、ふいに電話があったあと、またふっつりと消息がわからなくなった。
─お兄様は帰ってきてくださらない・・・。
またあの孤独の思いが蘇る。いつもいつも、美鈴はひとりだった。裕福な家に生まれたけれど、そこには温かい家族の情が皆無だった─ユウシロウを除いては。
いたたまれない美鈴は、あてもなく豪和総研にやってきた。ここにくれば、ユウシロウについて何かわかるかもしれないと思った。
しかし、総研にいるのは、ガサラキ研究で忙しい次兄の清継だけ。
実験施設の中に、豪和の里から運ばれた骨嵬が安置されていた。ユウシロウが動かし、シンボルのTAを粉砕したあの骨嵬だった。破損した部分を特殊合金で覆い、さまざまな観測機器が取り付けられている。
総研の中をぼんやりと歩き回っていた美鈴が、骨嵬の前に立った時だった。骨嵬が反応した。
それに気づいた清継は愕然とする。「まさか!美鈴は嵬なのか!」
豪和家に、もう一人の嵬が存在した。それが、妹の美鈴だった・・・。
えらいことになりました。
今まで黒い兄貴・一清の言いなりになっていたユウシロウが造反して言う事をきかなくなり、本心では「ちぇっ、使える嵬がいなくなっちったぢゃん!どうすべえ?」と思っていたところに、なんと末の妹が嵬だってことが判明。
由美子さんクリソツの、清楚な美少女・美鈴が一清の毒牙に~
?
以下、次回。
・・・っていうか、そもそも人気作じゃないからなあ
たぶん間違いなく確実に、いちばん人気があるのは西田さんです。渋いジジィです(爆)。
「西田理論」は、民族派というよりは先鋭化された理想論とでも言った方がいいような感じです。ま、それは実際に作品を鑑賞して確かめてくださいませ(お暇があるならば)。
西田さんのモデルは、二・二六事件(1936年)の関係者、西田税少尉だそうです。初期設定ではまんま「税」という名前だったけれど、さすがにそれは変更したとのこと。
二・二六事件は陸軍皇道派将校たちによるクーデター未遂事件だったわけですが、登場人物に関係者の名前を使っているということから、「ガサラキ」製作者側の意図は明らかでしょう。
しかし、よくこんなアニメを気前よく作らせたもんですなあ、テレビ東京。いい意味で「放任」の体質があるような気がします。
考えてみれば、高橋監督の「太陽の牙ダグラム」も「装甲騎兵ボトムズ」もテレ東。とくにダグラムなんて、物語の完成度と過激さにおいては、「ガサラキ」なんかはるかに凌駕していると思います。
立派だ、テレビ東京。・・・01年のアレはトホホ作品だったけど
本編解説その10
日本は、いまや完全なる戒厳令下にあった。政府は国家非常事態を宣言し、あらたに特自を中心とする安全保安部を創設した。それは、豪和本社ビルの地下、世界中のあらゆる情報が集められる最下階に設置された。
今後、日本国の進路は、すべてこの豪和ビル地階が決定することになる。
米国政府の穀物モラトリアム発効まで、あとわずかとなった。一方で日本政府─実質的には特自─は、対外資産をすべて処分する計画だった。
米国債をもっとも多く引き受けている日本が、資産をすべて処分すれば、米国経済は完全に破綻し、世界恐慌がおこるだろう。
しかし、今日本を根底から変えるためにはそうしなければならない。そのことによって、日本国民もまたパニックになり、動乱が起きるだろう。それを一時的に「武力」で押さえつけなければならない。
しかし、こうした非常事態はせいぜい3年、と西田は考えていた。3年間、日本国民には極貧状態を覚悟してもらう。電化製品も使えず、昔の生活に逆戻りすることになるだろうが、しかし日本人にはそれを耐え抜く底力がある。
しかし、アメリカはそうではない。米国民には、日本人のような底力はない─と、西田は読んでいた。
おそらくアメリカは、日本に軍事介入するはずだ。日本国の全指令が発せられている豪和ビル地階の存在をかぎつけ、ピンポイントで攻撃を加えてくるに違いない。
その戦いは、間違いなくTA戦になる。米国は、シンボルからMF(=TA)を買い入れ、ひそかに横田基地に配備しているのだ。
98年から99年当時の世界情勢をちょっと思い出して見ますと、まだ9・11はおきていませんし、イラク戦争もおきていません。従って、この作品で想定しているもっとも最新の戦争は湾岸戦争です。ピンポイント攻撃であっという間に決着がついた(?)湾岸戦争のように、「ガサラキ」におけるTA戦も「あっ!」という間に終結しますが、それはまだちょっと先。
実は最終25話のひとつ前、24話で息詰まるTA戦が描かれまして、「こ、これが見たかったんだよぅ!」です。
近未来の戦争は、湾岸戦争のようになる─当時、そのように考えられました。
しかし、現実はそうじゃなかった。アフガニスタン、イラクをはじめ各地で戦闘の泥沼状態が続いています。
また、最近の米国発世界恐慌前夜、という状況も、この物語の当時には想定外でしたね(当然か)。
やっぱり全編を支配しているのは、20世紀末の空気なんですね。
ユウシロウと安宅、鏑木の3名の乗ったTA輸送車は、横田基地に突入していた。「安全保安部」を名乗り、基地内に潜伏するテロリストを捜査するという名目である。
まさにその時、シンボルのメス評議員がヘリでミハルを連れ出そうとしていた。
「ミハルがいる!」ユウシロウには、彼女の気配が感じられた。TAに乗り込んだユウシロウは、ミハル奪還のために疾走する。
メスもすぐに気づいた。日本国安全保安部を名乗っているが、これはミハルを取り戻そうとやって来たに違いないと。
しかし、米軍側は敵の正体に気づかない。まさかTAとは思わず、F22を緊急発進させた。
鏑木大尉が叫ぶ。「F22、3機発進!離陸前に撃って!」
2機、片付いた。しかし1機が飛び立ってしまった。しょせんは戦車と同格のTA、空から戦闘機に狙われればひとたまりもない。
ユウシロウは巧みにF22ラプターの攻撃を避け続けるが、次第に追い詰められていく。米軍側は、やっと敵がTA、それも一機だと気づいた。
「離脱して、ユウシロウ!戦闘機には勝てるわけない!」鏑木と安宅が叫ぶ。しかし、ユウシロウの中で、何かかがバーストした。
上空に、重力場の歪みが出来はじめた。
ガサラキ降臨─その現象を、シンボルの研究者たちは捉え、観測していた。
ユウシロウのTAが、絶体絶命の状況でF22ラプターを撃ち落します。これは名場面です。燃えます。
しかしその隙に、ミハルを乗せたヘリコプターは離陸し、飛び去ってしまいます。
それを感知するユウシロウ、なんとも悲痛な表情が切ないです。
ココロが行っちゃった状態で戻ってこないユウシロウをさっさと積んで、安宅・鏑木の姐さん二人は手際よく横田基地から逃走。
弟の彼女
というわけで、軍規違反&懲罰モノの行為をしでかした安宅・鏑木両名(ユウシロウは正式には民間人なので免責)、上司の前で弁明。
「自分の独断でやりました」と鏑木さんが言えば、安宅サンは「ちょっと鏑木ぃ!・・・違います、自分に責任があります」と応戦(?)。
「おいおい、君ら私を忘れてないか?上司は私なんだぞ、一番の責任は私にある」と、中隊長の速川中佐が渋い顔。
学校でも職場でも、そして政治の世界でも、責任逃れに汲々とする人間が少なからず存在しますが、特自・実験中隊は「自分にこそ責任がある」という人ばかりです。
さすが、結束の固い体育会系部活動ですな(ち、違う・・・
とにかくですね。報告を受けた広川参謀は、ちょーっとにやりとして「いや、安全保安部の命令として、横田基地に潜伏のテロリスト捜索をせよ、って命令が出てるわけだから。君らはただ任務を実行しただけだ。それとも、まさかハッカーが偽の命令を出したとでも?」
ムラチューがやったわけですが、広川さんも「わかっているけど、不問ね」ということです。
っていうか、TA一機でF22を3機やっつけたんですから、むしろ快哉なのではないでしょうか。
ユウシロウが東京・市ヶ谷駐屯地に戻ったことを知った一清が、さっそくやって来た。過労状態でぐったりしたユウシロウをつれて行こうとする一清の前に、鏑木大尉と安宅大尉は立ちふさがる。
「豪和大尉はこのまま医務室へ連れて行きます!あなたには渡しません」
そう叫ぶ鏑木大尉は、平安時代の渡辺三富そのものだった。
その会話をぼんやりと聞いていたユウシロウは、しかし一清にはっきりと告げねばならないことがあると決心した。
翌朝、医務室を抜け出したユウシロウは、豪和本社へ赴く。
しかし、一清は、いきなりユウシロウの頬を打った。
お前、豪和家の人間じゃないんだぞ、ただの実験動物だぞ。いい気になって何をやってるんだ?俺の野望の道具に過ぎないくせに─と言わんばかりの超傲慢な黒い兄貴、一清。
でも、ユウシロウはもはや意志のないお人形さんじゃありません。ほっぺた叩かれたって屁でもないぜ!と、まっすぐ一清を睨みます。そして、一清の前世が、あの渡辺綱だということをしみじみと実感します。(進歩がないのな、この人・・・という感じですな)
人間の感情なんて、時の流れの中ではちっぽけなもんだ、神はそんなつまらんものには無関心なんだ、わかったか!という一清に、ユウシロウはきっぱりと言います。
「僕は無関心な神になるくらいなら、悲しみを知る小さな人間になる!」
神の力なんていらない。あのアジアン静脈瘤で生きる、貧しくても心豊かな人たちのように、一人の人間として生きていきたいとはっきり言うのです。
最終回の予告編の中で語るユウシロウの言葉─「人は人として生まれ、人として死ぬのだ」。
長い旅の果てに辿り着く彼の結論は、なんともありきたりでまっとうなものでした。
地に足をつけて、しっかりと生をまっとうせよ、という静かなる境地です。
美鈴の心は揺れていた。
家出したユウシロウから、ふいに電話があったあと、またふっつりと消息がわからなくなった。
─お兄様は帰ってきてくださらない・・・。
またあの孤独の思いが蘇る。いつもいつも、美鈴はひとりだった。裕福な家に生まれたけれど、そこには温かい家族の情が皆無だった─ユウシロウを除いては。
いたたまれない美鈴は、あてもなく豪和総研にやってきた。ここにくれば、ユウシロウについて何かわかるかもしれないと思った。
しかし、総研にいるのは、ガサラキ研究で忙しい次兄の清継だけ。
実験施設の中に、豪和の里から運ばれた骨嵬が安置されていた。ユウシロウが動かし、シンボルのTAを粉砕したあの骨嵬だった。破損した部分を特殊合金で覆い、さまざまな観測機器が取り付けられている。
総研の中をぼんやりと歩き回っていた美鈴が、骨嵬の前に立った時だった。骨嵬が反応した。
それに気づいた清継は愕然とする。「まさか!美鈴は嵬なのか!」
豪和家に、もう一人の嵬が存在した。それが、妹の美鈴だった・・・。
えらいことになりました。
今まで黒い兄貴・一清の言いなりになっていたユウシロウが造反して言う事をきかなくなり、本心では「ちぇっ、使える嵬がいなくなっちったぢゃん!どうすべえ?」と思っていたところに、なんと末の妹が嵬だってことが判明。
由美子さんクリソツの、清楚な美少女・美鈴が一清の毒牙に~
以下、次回。