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別冊「バビル2世」マガジン

「バビル2世」のコミックス&アニメその他を中心に、オールドファンがあれこれ語ります。

高橋良輔監督作品その2「ガサラキ」第6回

2008-11-30 20:03:24 | 「ガサラキ」関連
ところで、「ガサラキ」ってのは一体何なんでしょうか。さらに言えば、「骨嵬(くがい)」と呼ばれている古代のTAは、誰が・どうやって作ったのか?
まあ「ガサラキ」の正体(っていうか、本体?)は、最終回(第25話)でやっと明かされるんですが、骨嵬については完全にスルーです。
たぶん、「すいません、それを説明する時間的余裕がありませんでした~」ということであると思われます。トホホ~
豪和一族のご先祖様は、軍事をつかさどる豪族でした。その力を認められて大和朝廷に召抱えられていたわけですが、その「武力」の中核をなしていたのが、大量破壊兵器である骨嵬。それを操る力を有しているのが嵬(かい)と呼ばれるシャーマンだったということ─これっきゃわかりません。
嵬はまた、ときに餓沙羅の神事を行い、圧倒的な破壊パワーを地上に降臨させたりもしました。作品中にちら~っと出てきますが、663年の白村江の戦いにおいて、その破壊力が発揮された・・・らしい。

実は、嵬には転生の記憶が連綿と蓄えられている・・・らしい。
ユウシロウやミハルの脳裏には、フラッシュバックのように白村江の戦いの場面が出てきたり、骨嵬で大量殺戮をやらかしている記憶が浮かんできたりするんですが、のべつまくなしに思い出されるわけじゃありません。従って、嵬である二人は、日常生活においてはどうということもなくフツーの人なんで、見ているこちらとしては「そんなに重大ことなのかなあ」なんぞと思っちゃいます。
いや、人間歳を取るとね、ふてぶてしくかつ逞しく生きる力が備わりますのでね、私は「ぐだぐだ悩むな、ごるぁ!」などと主役二人に喝!したくなるんですよ。わはは・・・

ま、それよりもですね。おもしろいのは、軍事豪族であった豪和一族が、現代(近未来)の世界においてもまた兵器産業の分野で力を持っているという事です。
すなわち、昔も今も、背後で暗躍する「死の商人」であることに変わりはない。
そして、約千年前の平安時代、ついに大和朝廷による日本統一が成し遂げられたとき(※)、豪和の祖先である渡辺一族が「お役、御免」とばかりに干される状況が生じます。それに反発した一族が、いわば「クーデター」を起こすわけですが、これが物語の現世編における「特自によるクーデター」と同じ流れであることがわかります。どちらの時代においても、背後で黒子に徹してきた軍事豪族=傀儡子(くぐつ)の民である一族が、「いまこそ表舞台に出るのだぁっ!」と決意した結果がこれ、なんですね。
千年たっても、結局同じことを考えて、同じことをやらかす─平安時代にも騒動を起こしたのが、現世において豪和家の長男である一清サンだったということがやがてわかります。

それでは、またまたお話を追いかけましょう。

(※現在の北海道を除く日本列島が朝廷によって平定され、統一国家が誕生するのは、やっと11世紀の出来事です。歴史の教科書を鵜呑みにしてはいけませんぞ)


本編解説その5

豪和家の当主・乃三郎(だいざぶろう)は、長男の一清が特自上層部と組んで極秘のTA実験を行っていたことを知り、愕然とする。TAのことよりも、その背後にある計画─国学者・西田の思想を実践するクーデター─に気づいたのである。クーデターのために、新型TAがどうしても必要だったのだと思い至ったのだ。
北海道・八臼岳演習場の新型TA暴走事故は、ユウシロウや実験中隊の働きによって犠牲者を出さずにすんだ。しかし、実験データがすべて豪和総研に送られ、あっというまに後片付けが済んでしまったことに、実験中隊の面々は不信感を抱く。彼らの想像もできないところで、何かが進められている。
ユウシロウは、父・乃三郎に緊急に呼ばれ、北海道から本家へ急行する。そこには、長男・一清、次男・清継、三男・清春も呼ばれていた。
父は、一清の独断をひとしきり責めたあと、4人に向かって言う。「私か、一清か。どちらかを選べ。一清が選ばれたのなら、私はすぐに身を引き、当主の座を譲る」
次男の清継は、豪和総研でガサラキ研究に没頭していた。しかも、捕獲したシンボルのパイロット、ミハルの身体機能を検査し、彼女の能力がユウシロウとまったく同じであることに驚愕していた。
この研究を頓挫させたくはない。しかし、父が当主である限り、それは不可能になる。なぜなら、父は嵬や骨嵬、ひいてはガサラキに関する全てを封印し、一族を歴史の中に埋没させようとしているのだ。
三男の清春も同じだった。後退はしたくない。
息子たちは、みな一清を選んだ。ここに、豪和家の若き新当主が誕生した。


この場面は、まさに家族内クーデターです。古い時代は去り、新しい時代が来る。
父・乃三郎は、かつて一清のようにガサラキを追い求めましたが、時を経るにつれて怖くなってきたわけです。なんといっても、8年前に四男・憂四郎を喪ったことが大きいでしょう。
清継と清春が意思表示をしたあと、清継が「ユウシロウは?」と言いますが、一清はせせら笑いながら「冗談だろ?」と言います。こいつは家族じゃない、もらいっ子だろ、という見下した態度です。
とことん黒いヤツよのう、一清
というわけで、ひたすらユウシロウを無視して家族会議、終了。
さびしげな「父」が、せめてもの償いとして、豪和総研に軟禁されているミハルを(3兄弟にはないしょで)解放し、ユウシロウと共に渡辺の里へ旅立つ後押しをします。
最後の別れの場面。ユウシロウは、「それでは行きます。とうさん」と言い、ミハルと「嵬の道」を駆け出します。
とうさん・・・乃三郎の胸にこみ上げてくるものが。血のつながった三人の息子が、よそよそしい他人のように思える。それなのに、血のつながらないユウシロウが、「とうさん」と呼ぶ。
本当の親族から無理やり引き離し、8年間も「3兄弟の実験動物」として処遇してきたユウシロウが、今「とうさん」と乃三郎を呼ぶ。
泣けるシーンです


ひたすらに嵬の道を駆け、京都のはずれにある「渡辺の里」を目指す二人。ぽつり、ぽつりと互いの境遇を語るうちに、ユウシロウの中にいくつかの記憶が蘇ってくる。前世の記憶である。
ミハルは、シンボルの究極の目的は「ナダ」を呼びだすことであるという。
ナダ─無。絶対の無。それは「ガサラキだ!」と、ユウシロウは気づく。それは、確かにユウシロウの中にある恐怖の源泉だった。

渡辺の里で、豪和一族の古い遺物を管理している人物は、乃三郎の兄だった。本来は豪和家の当主となるはずが、思うところあって隠遁生活を送っているのである。
自らを「陵守(みささぎもり)」であると称するその老人に招かれ、二人は骨嵬を模した木像に触れる。
そのとたん、二人の中には平安時代の記憶が奔流のようにあふれ出した。二人の前世の記憶である。


いよいよ問題(爆)の「平安編」です。第15話と16話が、このように呼ばれております。
この2話につきましては、なんとオープニングもエンディングもいつもと違います。オープニング曲である「message #9」は、別バージョン演奏(リミックス、ってやつ)になってまして、しかも歌詞が2番目です。

思い、抱いていて。さあ、思い出して。
生まれいづる前に、あなたが抱いていた夢を。
そう、死に絶えたあの夢を。

という感じですね。お話の内容、そのまんま。


今より千年の昔。
朝廷の勢力はいよいよ強大となり、日本列島は平定された。ここに、統一国家が誕生し、もはや武力で「まつろわぬ民」を屈服させる必要がなくなった。
そうなると、軍事豪族である渡辺党─傀儡子の民の末裔─の存在が、逆に朝廷にとって疎ましいものとなった。なぜなら、強大な兵器である骨嵬を渡辺党が有している以上、それを朝廷に向け、刃向かってくるおそれがあるからだ。
朝廷は、渡辺党に武装解除を申し付ける。しかし、若く野心家の渡辺綱はそれを肯んぜず、逆に「今こそ我らが天下を取るとき」であると宣言する。
渡辺綱の妹、美晴は嵬だった。美晴だけが、嵬として骨嵬を操ることができる。
しかし、渡辺党のもうひとつの流れである渡辺競(きおう)の一族は、綱に反対する。
「ならば、古来より伝わる餓沙羅の神事により、どちらの道を進むべきか決めるべきだ!」
綱の提案により、2つの一族は、互いに所有する骨嵬を戦わせることにする。
競一族の嵬は、憂四郎だった。
憂四郎と美晴は、嵬として、その命をかけて戦うことになったのだった・・・。


渋い色彩で展開する「平安編」。
次回へつづく!