チョーシに乗って似顔絵を描いてみましたが、いやははは
似てないっすね
これまで「ガサラキ」のストーリーを紹介してきましたが、いちばん難解といいますか、「専門用語?ワケわかんないし~(苦)」な部分をネタばらししちゃいましたので、あとは実際に作品を見ていただきたいと思います。これだけの予備知識があれば、最初からサクサク理解できるのではないかと。
しかし、初回放送時には苦労したものです。「かい」とか「くがい」とか「塀区」といった意味不明の言葉が飛び交って(もちろん、どんな文字かもわからない)、なんのことやらさっぱりわかりませんでした。
ま、前後の文脈とか空気(!)を読んで、無理やり脳ミソに理解させていたわけですよ。なんとなく、「かい」はシャーマンなのだろうなとは思いました。で、主人公のユウシロウが、そのシャーマンなのだと。
まあ、せっかくですから、最後までお話を追いかけましょう。
本編解説その3
ベギルスタンで出合った二人は、互いになつかしさの中にあった。ユウシロウは、はっきりと悟る。「俺は、こいつを知っている。ずっと以前から知っている」
ユウシロウを含む特自のTA4機とシンボルのイシュタル4機は交戦し、結果、特自側が敵TAの一部分を奪取することに成功する。
特自実験中隊とともにベギルスタンに赴いていた豪和清継、清春の兄弟は、なんとしてもそれを日本に持ち帰ろうとする。
しかし、シンボルがそれを許すはずもなく、ベギルスタン周辺国を陰から動かし、日本へ帰還する特自の輸送機を襲う。それを阻止したのは、ユウシロウだった。
前半の山場(っていうか、山場だらけですが)である「ベギルスタン編」は、イシュタルの実験が終了し、もはや用済みになったシチルバノフ大佐がシンボルに暗殺されるところで終わります。
で、その暗殺部隊を率いているオヤブンが、もろに映画「レイダース・失われた聖櫃」に出てきたエージェントのオッサンくりそつで笑えます。
また、輸送機からユウシロウのTAを宙吊りにして、敵の哨戒機を撃破するシーンは見ものです。
さらにですね。日本へ帰国する直前、テレビのニュース映像でミハルを見つけたユウシロウが、矢も盾もたまらずにふらふらと会いに行く場面があるんですが、アクラの石窟教会で生身の二人が向かい合うシーンは、なにやら妙に艶然とした感じがします。まさに赤い糸の相手を見つけた二人、といった風情です。
が、それでいて生々しさがないというか。俗世のどろどろとした情愛、みたいなものとは対極の位置で、すなわち肉体を超越した次元で求め合うふたつの魂、といった情感が流れているように思います。
出会うことを約束された─否、運命づけられた少年と少女が、清らかに澄み切った、しかし哀しげなまなざしで向かい合う。
「ガサラキ」は、実は上質なラブ・ストーリーであると評する人がいるのも、「むべなるかな」なのであります。
特自実験中隊は、なんとか日本に帰り着いた。しかし国内世論は沸騰し、憲法を無視して特自を海外派遣した責任や、新型兵器を実験したという噂について、国会で連日政府が追求されている。
ユウシロウを除く特自実験中隊のメンバー7名は、外出禁止令で軟禁状態に置かれていた。公衆の面前に出るわけにはいかないからである。
しかし、ユウシロウだけは「民間人だから」という理由で豪和一族が無理やり引き取ってしまった。さらなる研究のために、ユウシロウの嵬(かい)としての力が必要だから、である。
ユウシロウとイシュタルのサンプルは、豪和インダストリーの下部組織である豪和総研に移された。
シンボルは、奪われたイシュタルの部品を取り戻すためと、フェイクではない「オリジナル」のサンプルを採取するため、ひそかにイシュタル部隊を日本へ上陸させる。もちろん、パイロットたちの中にミハルがいる。
イシュタルは豪和総研にやすやすと進入し、サンプルを奪い返す。同時にミハルは、ベギルスタンで出合った少年・ユウシロウの情報を得るため、豪和のデータバンクに侵入する。
しかし、そこでミハルは驚愕の事実を知る。豪和憂四郎は、8年前に死亡していたのである。
総研内に寝泊りしていたユウシロウは、侵入してきたミハルと出くわす。そして、ミハルの言葉に愕然とする。
「豪和ユウシロウは8年前に死んでいる。あなたは、誰?」
─俺が死んでいる?8年前に?・・・じゃあ俺は誰なんだ!
いっぽう、ユウシロウの知らないところで、ひそかな計画が進行していた。
豪和の長男、一清が、特自の幹部・広川参謀に招かれ、西田啓(にしだ・ひらく)という老人に引き合わされた。
西田は、知る人ぞ知る憂国の思想家である。偽りの繁栄に奢り、精神の堕落した日本の現況に絶望し、「故国の醜い姿は見たくない」と、鋭利な日本刀で自らの両目を切り裂き盲目となった人物である。
西田と、広川をはじめとする熱心な信奉者たちは、国防省の制服組に多数のシンパを抱えており、「軍事クーデター」による政権奪取を目指していた。
自衛隊が蜂起し、武人による独裁政権を打ち立てる。そして、日本国内におびただしく流入したアジアからの不法移民街(アジアン静脈瘤と呼ばれている)を徹底排除し、真の民族国家を作り上げる。
ただし、独裁期間はせいぜい3年。その間に、あるべき新国家の基礎を構築し、民主主義政権へ禅譲する。
そのために、豪和の力すなわち「武力による恐怖の支配」が一時的に必要である。クーデターを完遂させるためには、強力な兵器の力により、反対勢力を黙らせなければならないからである。
一清は、西田の理想とは別なところで、自身の野望をたぎらせていた。かつて豪和の祖先が、「ガサラキ」すなわち神の劫火で地上を屈服させたように、今こそ自分たちが歴史の表舞台に出て、天下国家を動かす。一清の目指すものが、まさに「渡りに船」とばかりの大義名分を得たのである。
豪和一清は、当主である父・乃三郎(だいざぶろう)にも告げず、独断でクーデター計画への参加を決める。
これにより、もうひとつのTA計画─17(いちなな)式改による実験が、北海道・八臼岳演習場で始まろうとしていた。
さあ西田さんの登場です。いまだに根強い人気を誇っておりますね。
西田さんはもろに北一輝を連想させる人物ですが、その名前は、2・26事件の中心人物のひとり「西田税」からいただいたようです。
ということからわかるように、この人はバリバリの民族派の思想家。政財界にもひろく支持者がいるようです。
しかし、そのあまりに純粋な、研ぎ澄まされた日本刀のような思想は、いささかのくもりも許しません。すなわち「自分に対してもひたすら厳しい」のです。
こうした西田さんの性格が、物語に必然的な「幕切れ」をもたらすのですが、それはまだ先の話。
もうひとつ、余談。
ユウシロウたち実験中隊が登場するTAは、あくまで実験用のプロトタイプです。実際に配備されるTAは、どうやら「17式」と呼ばれることになるらしいのですが、それをさらに改良(?)したのが「17式改」です。
北海道・八臼岳演習場でその実験が行われるのですが、これは北海道東部の中標津町(なかしべつちょう)にある「矢臼別(やうすべつ)演習場」のことですね。周囲が湿原になっていますし、丹頂鶴がいます。
ここでTAが大暴れ・・・自然破壊だ
ユウシロウは、シンボルに襲撃されて大混乱となった豪和総研を飛び出し、自宅へ向かう。母・雪乃は、ユウシロウが「憂四郎」ではないことをあっさりと認め、真実が知りたければ空知検校のもとへ行けと言う。
空知検校─ユウシロウの、舞の師匠。あの「石舞台」のある場所。豪和家のもともとの屋敷があった場所。
ユウシロウは空知検校のもとを訪ね、豪和家の古い蔵に案内される。そこに保管されていたのは、歴代の嵬たちの亡骸が納められたカプセルの列だった。
8歳で死亡した豪和憂四郎もまた、そこに冷凍保存されていた。
憂四郎は本当に死んでいた。ならば、自分は誰なのか。
8年前。豪和はガサラキを召喚する儀式を行った。豪和家当主・乃三郎の四男、憂四郎を使って。憂四郎は、一族の中で唯一、嵬であったからだ。
しかし、伝承は言う。ガサラキ召喚儀式は、しばしば嵬の命を奪うと。そして憂四郎は死んだ。
ユウシロウは、豪和家とは別の流れにある嵬の一族出身だった。憂四郎の身代わりとして、本来の記憶を奪われ、豪和家四男として引き取られたのだ。「実験動物」として。
驚愕の事実に愕然とするユウシロウ。しかし、柩の行列のむこうに保存されていた異形のそれ─巨大な骨嵬を見つけたとき、ユウシロウの古い記憶が蘇る。千年前、この骨嵬を操り、おびただしい屍の山を築いたことを思い出したのだった。
ユウシロウとシンクロするように、ついに骨嵬が動き出す。
まさにその時、シンボルのイシュタル部隊が石舞台を急襲し、ミハルがユウシロウのもとへ、古い蔵の中に迫っていた。
母・雪乃のよそよそしい態度。長兄・一清の冷たい視線。それらの意味するところが、ここに明らかになりました。
ユウシロウは「家族」ではなかったのです。ただ、嵬として利用するために「もらわれてきた子」だったわけです。
小説版では、ユウシロウは空知検校の孫ということになっています。名前も「ユウシロウ」が本名です。
空知の一族(妹・美鈴が「空知のおじさま」と言っていることから、親戚には違いない)は、豪和本家の嵬が絶えた時、それを補うために存在しているという位置づけです。だから、憂四郎に対して「ユウシロウ」という名を名乗ることになっています。TV版でも、それを匂わせるような乃三郎と空知検校の会話がありますが、ユウシロウの出自は断定していません。
ただどちらにしても、影武者というか、保険みたいなものですから、はっきりと豪和家の下僕の一族なのでしょう。だから次期当主たる一清は、あからさまにユウシロウを見下げた態度を取っているのですね。
ベギルスタンで、次兄の清継がユウシロウに「こんなところでなんだけど、兄貴(※一清)がいないから言っておく。俺はお前が好きだよ。心配もしている、兄としてね」と言い、三番目の清春も「俺もだ」と言います。このセリフの背後にあったのはこういうことです。
このことからもわかるように、長兄の一清はひたすら黒いヤツ
そうしたことを裏付ける場面はこれからも出てきますので、そういう細かい部分で楽しむのもアリですね。
(に、しても。唯一の肉親である孫に「おじいちゃんだよ~。おもちゃ、買ってあげようか?」などと言えない空知検校は気の毒っす
さあ、いよいよユウシロウは、自分探しの旅に出ます。
次回へ続く
補足
ちょいと気になってDVDを見返してみましたらば。
第17話にて「空知の孫であるお前(※ユウシロウ)を云々」というセリフが出てきましたので、TV版においてもユウシロウの出自が明言されております。
まったくも~。こんな重要なことが、あっさりサラサラと流れるように出てくるもんだからぁ・・・ホントに油断も隙もないっす、うかうかしてると。
って、言いわけですな
ほんとに何度も見なけりゃダメな作品でございますことよ