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別冊「バビル2世」マガジン

「バビル2世」のコミックス&アニメその他を中心に、オールドファンがあれこれ語ります。

高橋良輔監督作品その2「ガサラキ」第2回

2008-11-17 22:19:36 | 「ガサラキ」関連
断言していい。「ガサラキ」は、1回見ただけじゃ絶対に理解できない。
いや、ちょっと違うな。「なかなか面白かったね」くらいの感想を抱く程度には理解できるけど、細部に宿るニュアンスまで味わうには至らない。
では、細部までしみじみと理解するにはどうすればいいかといえば、まず全体を1回見た後でコミックと小説を読み、さらにCDドラマを聴いた上で、本編をあと2回見ればよろしい。

やってられるか、そんなこと!
・・・だよな、フツー

だいたい、ここまでしなけりゃ理解できないなんて、そりゃ完全に「失敗作」であるってことだ。世の中には、難解さ=高級と勘違いしている輩がいるけれど、とんでもないことである。
あらためて断言する。「ガサラキ」は失敗作である。

1979年の「機動戦士ガンダム」に始まるリアルロボット路線を究極まで突き詰め、さらに「和のテイスト」、すなわち能楽と伝奇ロマンを絡ませて一本の太い物語を織り上げる。
そのコンセプト、その意気込みやよし。
しかし、結果はトホホな失敗作。

なぜに「ガサラキ」は失敗作となってしまったのか?
それは、ただただ「尺が足りなかった」ということに尽きる。このテーマ、この物語に、2クール25話では時間が絶対的に足りない。
とはいえ、2クール25話というのは、最初から決まっていたこと。途中打ち切り、ではないのである。従って、この尺にあわせた物語を構築すべきだったのに、あれもこれもと構想を広げすぎてしまった。
結果、膨大な情報があれよあれよと目の前を流れて、1話1話が猛烈なあわただしさ。ちょっと油断すれば、さっくりと「周回遅れ」になってしまう。
初回放送時、私は毎回げっぷの出そうな頭(あ?)を整理し、適宜脳内補完をしてなんとか理解していた次第。
せめて3クール。できれば倍の50話あったなら、大満足の大団円へとなだれ込んだだろうに。

しかし、もしも50話で完結していたならと、その一方で考える。
文句のつけようのない、完成された物語。思い残すことのない堂々たるエンディングだったとしたら。
おなかいっぱい、ごちそう様─で、納得しておしまい。そして、ほとんど思い出しもしない作品になってしまったかもしれない。
なにより、情報の奔流によるスピード感がなくなっていただろう。見るものに苦難を強いる、あの酩酊感もまた。
欠点だらけだからこそ、未練が後を引き、忘れがたい作品となりうる。

またまた断言する。失敗作が駄作とは限らない。
だから、「ガサラキ」は傑作である。


本編解説その1

※バリバリのネタバレですので、ご注意。ネタバレ許すまじ!の私ですが、この作品に限っては、ある程度ネタバレの上で鑑賞した方が楽しめると思います、あしからず。

かつてこの国には、傀儡子(くぐつ)の民、と呼ばれた人形使いの人々がいた。
その中でも、たいそう恐れられた一族があった。彼らは、「骨嵬(くがい)」と称する異形の殺人兵器を操り、時の権力者たち─朝廷─の背後で暗躍し、まつろわぬ人々を次々と屈服させていった。
骨嵬の外見は、甲冑をまとった巨大な鬼、である。
しかし、これを動かすことができるのは、一族の中でも限られた者、すなわちすぐれたシャーマンだけだった。その者は「嵬(かい)」と呼ばれ、餓沙羅(がさら)の神事によって強大な「神の力」をその身に降ろすことができる。
しかし、今から千年ほど前の平安時代。嵬の血筋を伝える2つの一族に内紛が起きた。片方の一族が、朝廷より天下を奪わんとして反乱を起こしたのである。
平安京を恐怖に陥れ、血の雨を降らせた2つの骨嵬を操っていた二人の嵬。それが、ユウシロウとミハルの前世だった・・・。

時は流れた。嵬の一族は、殺戮の歴史を封印し、21世紀─ごく近未来─の日本で生きている。
彼らは、「豪和」と名乗り、多国籍企業・豪和インダストリーを経営している。豪和インダストリーは、軍用兵器を製造・販売している大企業である。
そしてまた豪和一族は、日本の政治・経済を背後から操る隠然たる勢力となっていた。
その豪和インダストリーは、新設された「特務自衛隊(特自)」と共同開発で、二足歩行型兵器を開発・研究していた。それは、「タクティカル・アーマー(TA)」と呼ばれていた。
このTAは、搭乗員の意志を的確に反映し、素早く動くことができる。それを可能にしたのは、豪和が開発した人工筋肉・マイル1(ワン)である。
しかし、マイル1の正体は、豪和一族が1千年ひそかに伝えてきた骨嵬の組織の一部を培養したものである。それは、到底地球上のテクノロジーでは作りえないものだった。

豪和とTAを共同開発しているのは、特自の中でも「実験中隊」と呼ばれる部署である。豪和一族は、当主の四男であるユウシロウをこの実験中隊に派遣し、TAを試乗させていた。なぜなら、ユウシロウほどの「TAの乗り手」は存在しないからである。搭乗時のユウシロウが「ハイ」になる時、その周囲にいる他の乗り手にまで影響が現れる。他のTAも、きわめて優秀な成績を上げるのである。
民間人、しかも17歳の少年。にもかかわらず、ユウシロウは便宜上「大尉」の身分で日々兵器開発の任についている。当然、他の隊員たちには釈然としないものがある。
しかし、ユウシロウはおとなしい「お人形さん」のように、不平不満を漏らすわけでもなく、あるいは仲間たちと打ち解けるわけでもなく、父や優秀な3人の兄たちの言う事を聞き、従うばかりである。
ユウシロウの身を案じるのは、3歳年下の妹、美鈴だけ。じつは、3人の兄とユウシロウ、美鈴は母親違いの兄弟である。二人の母は、父の後添えなのだ。
意志のない人形。そんなユウシロウに転機が訪れる。

長兄の一清は、野心家だった。1千年間途絶えていた餓沙羅の神事を蘇らせ、かつて一族が手にしていた強大な力を再び呼び戻し、歴史の表舞台に出ようとしていたのだ。
豪和家の中で、唯一「嵬」の力を有しているのは、ユウシロウだったのである。
一清は、TAの開発が一段落したことを知り、ユウシロウを特自から呼び戻して餓沙羅の神事を行う。
神事は、嵬が神の力をその身に降ろすものである。その際、嵬は命を落とすこともある。だから一清は、TAの開発が一段落するまで待ったのである。ユウシロウが死ぬことを想定して。

餓沙羅の神事は、能楽の舞という形で行われる。ユウシロウは、幼い頃から余流(あまりりゅう)能楽の宗家・空知検校(そらちけんぎょう)の元で厳しい稽古を積んでいた。
嵬が、餓沙羅の力をその身に降ろす。その舞台は、豪和一族のもともとの屋敷があった場所、石舞台と呼ばれる地だった。
屋外に設けられた舞台で、ユウシロウは舞う。舞いながら、次第にトランス状態に入る。
次兄の清継(きよつぐ)は根っからの科学者で、マイル1研究をはじめとする豪和インダストリー科学部門を総括している。その清継が、舞うユウシロウのメディカルデータを逐一チェックしている。
心拍数が、脳波が、常人の域を超えていく。ユウシロウのトランス状態が最高潮に達した時、天空に特異点が出現する。異次元の扉が開いたのだ。
まさに「ガサラキ」が出現しようとしたそのとき、ユウシロウの脳裏に一人の少女が現れる。
少女は叫ぶ。
「やめて!『恐怖』を呼び戻さないで!」
─誰だ?お前は誰なんだ!
ユウシロウはトランス状態から覚醒し、「ガサラキ」の出現は今一歩のところで頓挫する。
これが、運命の二人。ユウシロウとミハルの、現世における最初の接触だった。
そして、ユウシロウの長い旅がここに始まった。


どうですか、結構「燃え!」なストーリーじゃないでしょうか
以下、次回へつづく。

2 コメント(10/1 コメント投稿終了)

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ガサラキ1~4感想 (ryu)
2010-04-20 22:50:00
むくつけきおっさんたちが画面を占有することが多い高橋監督作品の中で、異例と言っていいほど女性たちが前面に出てくるガサラキ。
真面目なストーリー紹介や解説は管理人様に任せ、オレはリピドー全開な感想をば(笑)

あれ、安宅大尉のCVって体は子供、頭脳は大人な探偵少年の人だったっけ?
どうもミ○トさんのイメージが強すぎて(笑)

1話~4話は美鈴無双ですなあ。ヒロインは誰だ?って感じ。
他のキャラが説明台詞の多い中、唯一と言っていいほど生の感情をユウシロウにぶつける姿に妹属性ないオレも萌え萌えです。
しかもCVはこうろぎさとみ!
こうろぎさとみさんは大ヒットしたPCゲーム「同級生」でメインヒロインを抜いて一番人気だったキャラを演じられていました。そんな過去もガサラキとかぶる?
美鈴のユウシロウへの想いはブラコンの域を超えているように見えますね。
自らの思いを抑え、愛しい男を戦地に送り出す姿は戦時中の日本女性を髣髴させます。
のちにクーデター未遂があることもあり、美鈴は戦時中の女性のイメージを反映していたんでしょうか?
であるなら私服も和服であってもよかったのではないかなあ、自宅も和風の豪邸だし、おかんも和服だし。

しかし、おかん怖すぎ。
ユウシロウに向ける視線、あれは人を見る目ではない。なにか忌まわしいものを見る目。

特自ギャルズ、安宅大尉もムラチューもまだ目立った活躍はないんですが、鏑木大尉がやってくれました。
神殿の丘でガサラの舞を舞い始めるユウシロウのもとに身の危険を顧みず駆けよる姿にちょっとびっくり。
思えばユウシロウの身を案じる発言をこれまでも繰り返してるんですよね、鏑木大尉。
そんな姿をユウシロウの前では見せない彼女はいわゆるクーデレってやつなのでしょうか?
そういや、ムラチューのCV丹下桜は、その当時カードキャプターさくらで大ブレイク中だったので、ガサラキみたいな作品に出演したことに驚いたことを思い出しました。

さて、4話のラストでようやく再登場のヒロイン・ミハル。
次回はミハルの魅力を語れたらいいなあと思いつつしめることにします。
お待ちしてました (一人虫)
2010-04-21 21:30:29
ryuさん、ありがとうございます。素直に嬉しいです。
なんせ「ガサラキ」が好き、って人間はものすごい少数派ですから、他人様の感想を聞きたくてもかなわぬ夢なんですな。

ええと、第4話といえばどのあたりだろう(と、解説本を引っ張り出す)。
おお!ベギルスタンでユウシロウが舞うところだ!最初の山場─って、全部ヤマなんですが。

声優さんに注目されるとは、なかなか鋭いですな。上手な人ばかりなので、私もそこんとこは気に入ってます。
とくに鏑木さんですが、声優さんが重要な伏線です。このあとの通称「平安編」でも声に気をつけていてくださいな。なぜ鏑木さんがユウシロウに絡むのか、その謎(?)がわかります。
で、安宅大尉ですが、今気づいた(おい)、高山みなみさんだったとは
安宅サンの外見がまんま葛城ミサトなんで、「エヴァ?」ってなデジャ・ヴ状態になりますね。でも、安宅&鏑木コンビの友情は、葛城ミサトと赤城リツコのような、どこかどろりとしたものが流れているような人間関係じゃなくて、実にすがすがしい感じがするんですよ。
ちなみにユウシロウの髪型は、完璧に綾波レイですよね、髪の色が違うだけ(爆)。

それにしても、古見由美子さんをはじめ、フィアナさんも美鈴も、どうして萌えヒロインはみな「前髪まっすぐのストレートロングヘア」なんでしょうか。ガキんちょの頃、ワカメちゃんカットだった私の経験では、まっすぐに切りそろえた前髪って手入れが大変なんですよ。すぐに伸びてきちゃうんで。
(ヂヂリウムに浸っている場合じゃないぜ、フィアナさん!美容室に行かなきゃ)

さてさて。前半戦は戦闘シーンもクールですので、このあとの感想もよろしく、です