林雄司さんの『「面白い!」を見つける』という本。
副題に「物事の見え方が変わる発想法」とあって、その題の通り日常から自分なりの面白さの見つけ方が詳しく解説されている。方法が、実感を伴っていて具体的で面白い。上を見ようとかちゃんと調べようとか人と話すとか。
僕のデイリーポータルZで書いた記事も出てきて嬉しかった。意外なところで意外な記事が登場した。
グッときて考え込んでしまったのが『「面白い」の探し方』というパートの『感想のセリフから探す』のところ。「全然違うね」「今こうなってるんだ」などのセリフを言えていたらあなたはそれを面白がれる。そう言わせてくれるものを探しましょうという内容。セリフの中に「そういえばあったね」があるのだけど、僕はこのセリフから面白がるパターンが多いなと思ったのだ。
キッチンの隅にある小さい棚とか、エレベーターで知らない人と乗り合わせると上見ちゃう習性とか、ビールの缶に書いてある英語とか、ずっとあったのにちゃんと気にしたことがない対象が好きだ。本では、インターネットに記事を書くことを落とし穴を掘ることに例えていたけど「そういえばあったね」の場合、のほほんと暮らしてきてふと振り返ってみると無数の落とし穴が勝手に掘られていたような感覚に近い。この道をふらふら歩いてきちゃったのかよと愕然とする。面白いし怖い。
昔鍾乳洞を見学した時、帰り道に上を見たらフナムシがたくさんいて、すごく怖くなって鍾乳洞から飛び出したことがあった。虫は特別苦手じゃないんだけど、その時は「これが最初からずっといた」という事実が怖くてたまらなかった。怖がる対象も「そういえばあったね」なのだ。
何がそんなに面白くて怖いんだろう。細部を見逃して暮らしちゃうがさつな日々を面白く感じるのかもしれないし、気づかないままその細部を傷つける恐れがあったことを恐ろしく感じるのかもしれない。