「ブルーカラービリオネア」時代におけるホワイトカラーの生存戦略
かつて、エリートコースの象徴であったホワイトカラー。しかし、AIによる業務自動化の波が押し寄せ、キャリアの危機感を煽るニュースも増えていまう。
一方で、人手不足と高い専門性を背景に、現場の技術者が高い報酬を得て富を築く「ブルーカラービリオネア」という言葉が、にわかに注目を集め始めました。
この大きな変動の時代に、私たちホワイトカラーは自身の価値をいかに再定義し、市場で生き残っていくべきか。本noteでは、そのための具体的な生存戦略を論じます。
「ブルーカラービリオネア」現象の正体と誤解
この言葉が注目されるきっかけとなったのは、以下の日本経済新聞の記事でした。
日経記事の概要
米国では、建設作業員やトラック運転手、配管工といった、いわゆるブルーカラー職の賃金が急上昇している。四年制大学の学位を必要としないこれらの職業で、年収10万ドル(約1500万円)を超える「ブルーカラービリオネア」が続々と誕生。その上位層は年収100万ドル(約1.5億円)に達し、「ブルーカラービリオネア」とも呼ばれている。この背景には、ベビーブーマー世代の大量退職と、若者の現場離れによる深刻な人手不足がある。AIや自動化がホワイトカラーの仕事を脅かす一方で、高い専門技能を要する現場の職人たちの価値が相対的に高まっている。
この現象の背景にあるのは、AIや自動化がホワイトカラーの定型業務を代替し始めた結果、相対的に、供給が不足している一部のブルーカラー職の希少価値が高まっているという構造です。
ただし、「ブルーカラービリオネア」という言葉は、ミスリーディングです。
本質はブルーカラー全体の希少性が上がっている訳ではなく、高度な専門技能を持つ熟練技能者の人材プレミアムが高くなっている「アルチザンビリオネア」という方が正しい理解です。
給与は、人材の希少価値によって決まります。同じブルーカラーの中でもざっくり以下の3カテゴリーに分けられ、それぞれで様相は大きく異なります。
①単純作業
配送や清掃など。これらは給与は低く、将来的には真っ先にロボティクスによって代替される対象です。②高難易度(作業知識)
配管修理や太陽光発電の設置・保守など。これらは複雑な知識を要するため、短期的には「ブルーカラービリオネア」が生まれる領域。しかし、中長期的にはAIグラスをかけて作業知識を補完した未熟練労働者や、よりロボティクスによって代替される可能性が高いです。③高難易度(熟練の技能)
精密機器の修理、鉄道やエレベーターなど複雑な機械の修理など、熟練の技能(手先の器用さ)を要するという意味で高難易度のブルーカラー領域。これらの領域は、ロボティクスによる代替はかなり先になり、「ブルーカラービリオネア」現象が最も長く持続する領域でしょう。
ホワイトカラーが直面する「静かなる危機」
一方で、ホワイトカラーの安泰神話は、データ上でも静かに崩れ始めています。
学位プレミアムの停滞
「大卒は高卒より生涯賃金が高い」という事実は今も変わりません。しかし、米ミネアポリス連銀の調査によると、その賃金格差(学位プレミアム)は、2000年以降ほぼ横ばいで、伸びが完全に鈍化しています。一方で、大学の学費は高騰し続けており、多額の投資に対する回収効率は悪化の一途をたどっています。
大卒労働者に対する需要の鈍化
米クリーブランド連銀のレポートは、さらに厳しい現実を示しています。21世紀に入り、大卒労働者に対する需要の伸びが、供給の伸びに追いついていないのです。大卒者が増え続ける一方で、彼らを受け入れるハイスキルな雇用の口は、もはやそれほど増えていない。これが、大卒者の相対的な価値を希薄化させています。
エントリーレベルの「はしご外し」
ここから先は
1,000円分のAmazonギフトカードが当たる!
頂いたチップはフィールドリサーチのための費用やAI領域の実験費として活用させて頂きます!



購入者のコメント