尖閣問題時には中国からの訪日客数は1年間で25.1%減少
2012年9月に、日本が尖閣諸島を国有化したことをきっかけに、中国国内で大規模な反日デモが発生した。さらに、中国政府は自国民に対して、日本への渡航を控えるよう注意喚起を行った。これにより、団体旅行のキャンセルが急増し、訪日中国人観光客が大幅に減少した。この際には、中国の訪日客数は1年間で前年比25.1%減少した(図表)。
インバウンド消費の減少額は2兆2, 124億円、実質GDPを0.36%押し下げる計算
2012年の尖閣問題の際と同様に、向こう1年の中国からの訪日客数が前年比25.1%減少すると仮定すると、インバウンド消費の1年間の減少額は2兆2,124億円となる。これは1年間の実質GDPを0.36%押し下げる計算となる。
内閣府の試算によると、日本経済が1年間で成長できるポテンシャルである潜在成長率は、2025年4~6月期で前年同期比+0.6%である。これに基づくと、中国からの訪日客数の減少は、日本の1年分の成長率の半分を超える押し下げ効果を持つことになる。この先の日本経済や物価高に苦しむ国民生活を考えるうえで、大きな懸念材料が加わった形だ。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。