”Best of Avi Perez ”
イスラエルのポップス歌手、Avi Perez が数年前に出したベスト・アルバムだそうです。もちろん、これが初聴き。
考えてみればユダヤ民族の音楽というもの、東ヨーロッパをさすらった人々が生み出したクレズマーやら南ヨーロッパを流れた人々の間で生まれたセファルディなどと聴いてきたのだけれど、イスラエルの音楽となるとまるで未知だったりするのだった。いやそもそもイスラエルの音楽と言ってもどのような素性のものか。
国を失い各地に流れた民の築いた国の音楽ということは、クレズマーやセファルディのような、他の土地からの”お持ち帰りもの”の音楽なのだろうか。
ところがとりあえず聞いてみたその音楽の感触は、イスラエルを囲むアラブ諸国のものに普通に通じる”中東のポップス”の響きそのままなのだった。
打ち込みと民族打楽器がカチカチと火花を散らして打ち出すリズムに乗って、メリスマのかかったボーカルがうねりながら流れて行く。なかなかかっこ良い音楽なのですが、あれ?
なにやら戸惑ってしまうのは、聴こえてきたこの音楽、彼らイスラエル国民と敵対関係にあり、たびたび戦火を交えている周辺のアラブ諸国のそれと一まとめに”アラブポップスの一種”と呼びたくなる性質のものだけれど、そうも行くまい。どう呼んだらいいんだろう、とりあえず。
よく分からないのだけれど、この音楽はどこでどう育ってきた音楽なのか。
だってこれ、ユダヤ民族が今イスラエルのある土地に昔からず~っと住んで来たのならこのような音楽を持っていて当たり前であろう、というような音楽なのですよ。周囲のシリアやらレバノンやらエジプトやらって国々のそれと当たり前の顔して連なり、そのあたりのポップス・シーンの一角を担っている、そんな音楽なんだ。
イスラエルという国が出来てから周囲の国々の音楽に影響されて出来上がったって感じでもない。民衆の中でしかるべき歴史が流れた末に生まれ出て来た、地に根を生やした音楽の手触りがある。
これはつまり、当方がイスラエルやユダヤの歴史に無知であるって事なのでしょう。
亡国の民となって四方に散って行った人々がいる一方、”居る権利”を失った土地にとどまり、父祖の地において流浪の民としての立場を生きる、そんな微妙な歴史を生きた人々もいたんだろうか。これは、その人々の育んだ大衆音楽なんだろうか。
なにをいまさら、ってなことを延々と書いてるけど、この辺の歴史をあまり勉強してませんでした、すまん。この辺の歴史に詳しい人は「アホか」と鼻で笑っているんだろうなあ、これを読んで。まあ、しょうがないや。
と頭を抱える当方を尻目に、Avi Perez の歌声は結構ソリッドな出来上がりでかっこ良い””中東ポップス”を織り成しつつ流れて行くのでありました。