「国際調停院」主導の中国、背景にある思惑は 識者が危惧する未来

香港に置かれる中国主導の「国際調停院」本部ビル。年内の始動に向けて整備が進められている=2025年5月29日、ロイター
香港に置かれる中国主導の「国際調停院」本部ビル。年内の始動に向けて整備が進められている=2025年5月29日、ロイター

 中国政府が国際紛争の解決を目指す新機関「国際調停院」の設立に動いた背景には何があるのか。国際法や海洋権益を巡る中国の動きに詳しい神戸大の坂元茂樹名誉教授に話を聞いた。

 ――「国際調停院」設立の狙いをどう見ますか?

 ◆中国は現行の国際法秩序に「不公平で不合理な欧米中心の体制」との認識を持っているようだ。そのうえで、新たな国際制度を作る力を自らが備えていることを誇示しようとしているのだろう。

 中国政府は「現状の紛争解決制度を補完する」と主張するが、むしろ「法の支配」に反対する存在になり得るという危惧を覚える。

 調停による紛争処理について、中国が強調するのは、手続きの開始や調停内容の受け入れが当事国の意思に委ねられる点だ。それは裏を返せば、自国の同意を経ずに他国から一方的に提訴された紛争の司法的解決を認めないという立場を鮮明にしたと言える。

 2016年、フィリピンの提訴による仲裁判決が南シナ海の大半に権益が及ぶとする中国の「九段線」の主張を無効だとする判決を下したが、中国は国連海洋法条約に基づくこの司法判断を受け入れていない。

 ――南シナ海仲裁判決の衝撃は大きかったのでしょうか。

 ◆「共産党に誤りはない」とする政治体制にもかかわらず、仲裁判決では中国の主張が全く採用されなかった。重大な痛手だと受け止めたはずだ。

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